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読書記録

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ジャンル問わず。読んだ本の記録、紹介。
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2022年8月の記事一覧

ガラスの地球を救え~読書記録159~

ガラスの地球を救え~読書記録159~

1989年に書き下ろされた手塚治虫先生のエッセイであるが、執筆中に先生が急逝された事で、編集部が一部を追加している。

60歳で胃がんで亡くなられたのだが、私は当時、連載中の「ネオファウスト」を読んでいたのだが、手塚治虫先生の死により未完となり残念だったことを覚えている。
手塚治虫先生はまだまだ描きたい事があったのだろうな、と思うのだ。

さてさて、この本が書かれた1980年代は、まだまだネット社

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アンクルトムの小屋~読書記録158~

アンクルトムの小屋~読書記録158~

アメリカ奴隷解放宣言のきっかけともなったストウ夫人の名作。

初老の黒人奴隷トムの数奇で不幸な半生を描いている。シェルビー家に仕えていた黒人奴隷トムは、主人の息子ジョージから慕われて幸福な日々を送っていたが、そのシェルビー家が困窮したためにジョージと別れて売られていくことになる。売られていく途中、船で出会った白人少女のエヴァンジェリンを救ったことで仲良くなり、彼女に友達として愛される。しかし、その

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蟹工船~読書記録157~

蟹工船~読書記録157~

昭和4年に小林多喜二が発表した作品であるが、今何故か読まれているのだそうだ。

『蟹工船』(かにこうせん)は、文芸誌『戦旗』で1929年(昭和4年)に発表された小林多喜二の小説である。いわゆるプロレタリア文学の代表作とされ、国際的評価も高く、いくつかの言語に翻訳されて出版されている。

1929年3月30日に完成し、『戦旗』5月号・6月号に発表。「昭和4(1929)年上半期の最高傑作」と評された。

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ブッダ入門~読書記録156~

ブッダ入門~読書記録156~

1991年に発刊された東京大学名誉教授・中村元先生による書。
講演会で語られたものをまとめられたのだが、実にわかりやすいものであった。

やたらと難しく自分を高く見せようとする人が多い中、中村元先生のこの書は、優しい言葉で「ブッダ」について、誕生から亡くなるまでを書いておられた。中村元先生のお人柄にもよるのだろうが、それこそが、釈尊の望まれた事ではないかと思った。

御朱印巡りなどしたり、ちょっと

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人はひとりで死ぬ 無縁社会を生きる為に~読書記録155~

人はひとりで死ぬ 無縁社会を生きる為に~読書記録155~

2011年 宗教学者の島田裕巳先生による著。

「人間が生み出した一つの知恵の体系が教えてくれるのは、人は必ず死ぬという事実であり、その死は本質的に孤独なものだということである」
(本書 おわりにより)
この最後の言葉こそに、この本の要点はあると言える。
どのような生き方、死に方をするにしても、人は必ず死ぬし、死ぬ時には独りなのだ。
それが怖いから太宰治は、愛人を誘ったのであろうか?

戦後、結び

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反資本主義の亡霊~読書記録154~

反資本主義の亡霊~読書記録154~

昭和25年生まれ、東大卒と同時に当時の経済企画庁に入庁。もちろん、官僚だ。元日本銀行製作委員会の原田泰による著。

アベノミクス効果についてはほぼ賛成出来る。確かに、最低賃金は上がっている。不満な人らも多いだろうが。
だが、小泉純一郎改革を何故に評価するのかは理解出来ない。

人口の増加、減少についても、2ちゃんねる元管理人のひろゆきとは、違った角度から観ていて面白い。

「仏教は生けるものへの憐

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村岡花子著 ハリエット・ストー伝記 ~読書記録153~

村岡花子著 ハリエット・ストー伝記 ~読書記録153~

原書は昭和30年に刊行された村岡花子が書いたストウ夫人の伝記だ。

ストウ夫人と言えば、「アンクルトムの小屋」が世界各国で翻訳されて有名な作家である。本書は、その作品が世に出るまでの出来事を丁寧に描いている。
私も含め、世間一般が知らなかった事を知り、感謝の1冊でもある。
ハリエット・ストウは、父親、夫と共に牧師なのだ。
日本や韓国などでは、「なんちゃって牧師」なんかは、かなり見受ける。
宗教法人

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公明党VS創価学会~読書記録152~

公明党VS創価学会~読書記録152~

2007年、宗教学者の島田裕巳先生による書。

この本が書かれた時期は、第1次安倍政権の時で、自公連立の話である。
それを踏まえて読んだのだが、先生の予言が当たったのかと思うように、麻生政権で野党に下野し、民主党政権時には、公明党は民主党、社民党らとは連立は組まなかった。そして、再びの安倍政権。自民党が与党に返り咲いた時に再度の自公連立だ。

「公明党」という名であるが、池田大作が創価学会の会長に

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日本の戦争の何が真実なのか~読書記録151~

日本の戦争の何が真実なのか~読書記録151~

東北大学の田中英道先生の著。

氏が書かれており、納得したのは
「本来、人間は争わないものというのが、日本人の基本的な考え方である。人間の体を見ると、他の動物のような鋭い爪も牙もない。人間というものは人を攻撃するようにはできていない。裸の人間とはそういうものである。人はそうした自然のあり方に一番忠実でなければならない」(本書より)
である。

肉食動物は、このような鋭い牙と爪を持っている。

しか

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パレアナの青春~読書記録150~

パレアナの青春~読書記録150~

「少女パレアナ」の続編で、村岡花子さんが昭和30年代に訳されたエレナ・ポーターの作品だ。

前作では、交通事故に遭い、足が動かなくなってしまったパレアナ。しかし、叔母のかつての恋人の医師の紹介により、ボストンの療養所にてリハビリを重ね歩けるようになった。
その医師、チルトン先生は、パレアナの叔母と結婚し幸せな結末を迎えたのだった。

そして、今回は、その療養所で看護師をしていた女性が「自分の姉の所

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少女パレアナ~読書記録149~

少女パレアナ~読書記録149~

中学生の時に「あしながおじさん」から始まり、村岡花子訳にハマった。
その中でも一番好きな物語が「少女パレアナ」だ。

最近では、他の方々の訳された現代版もあるが、私には、やはり村岡花子訳!なのだ。

パレアナは、早くに母が亡くなり、牧師だった父と暮らしていたが、その父が亡くなった時に母の妹バレー・ハリントンに引き取られる事になった。
町でも有名な頑固な意地の悪い女性であり、脇役や読者からすると、

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創価学会―もうひとつのニッポン 島田 裕巳/矢野 絢也【対談】~読書記録148~

創価学会―もうひとつのニッポン 島田 裕巳/矢野 絢也【対談】~読書記録148~

2010年に発行された元公明党委員長・矢野絢也氏と宗教学者・島田裕巳島先生の対談集。

大変面白かったのだが、この対談の時点では、ちょうど民主党政権になり、自公さ連立与党からの野党になったばかりの頃で、その前提での対談となっている。
この本が出されてから2年後の2012年に安倍晋三氏が自民党総裁となり、総選挙において自民党が再び与党となる。その際に、公明党・山口代表も再び連立を組むのだ。

世間で

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笑顔の介護力~読書記録147~

笑顔の介護力~読書記録147~

2009年に出版。

副題は「妻たちが語る我が夫を見守る介護の日々」で、大島渚監督夫人の小山明子さんと野坂昭如夫人の野坂陽子さん(元宝塚歌劇団)の対談集である。

お2人とも実に美しい。やはり、昭和の女優さんは綺麗だ。

大島渚監督、野坂昭如氏というと、「朝まで生テレビ」での激論が懐かしい。テレビが面白かった時代であったと思う。

大島渚監督は1996年に脳出血、野坂昭如氏は2003年に脳梗塞、と

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小公子~読書記録146~

小公子~読書記録146~

『小公子』(しょうこうし、原題:Little Lord Fauntleroy。「小さなフォントルロイ卿」)は、フランシス・ホジソン・バーネット(バーネット夫人)が1886年に書いた児童向け小説。『小公子』の訳題は、最初の日本語訳者若松賤子が、1890年(明治23年)に付けたものである。

他の訳でも、さらっと読んでみたのだが、やはり村岡花子訳がいいのだ!
私が図書館で見つけたのは、昭和の終わりに村

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