夏の終わり
夏は一瞬で終わる。
そんなこと毎年同じこの時期に言っている気がする。もはや恒例行事だ。
8月31日と9月1日には大きな溝があると思う。
9月1日はどれだけ暑かろうがどれだけ日が照っていようが「秋の始め」というイメージがある。
8月31日までは普通に流れている川が9月1日になると同時に滝つぼに落ちていく滝に早変わりする。そしてあっという間に急加速、一瞬で「秋真っ盛り」という滝つぼに落ちる。こんな感じだろうか。
8月の終わりはあまりにも早い。儚くちってしまう。まるで線香花火のように。
結局今年も夏を満喫するに至らなかった。夏らしいことはいくつか出来たが、スイカを食べる、祭りに行く、その程度だ。
海にも行っていないし、花火もできていない。
一瞬で過ぎてしまう貴重な時間、どうせなら濃い内容を過ごしたいのだが。
誰もが一度は夏を満喫する前に夏が過ぎてしまうことを経験しているだろう。
だが僕はそれ自体が夏の風物詩なのではないかとも思う。
多少無理矢理な気もするが夏を逃すことを悔やんでいても仕方が無いので、ポジティブに捉えてみる。
それに儚く散ってしまうと言っても、ある意味潔いではないか、しつこく長期にわたって居座る冬より随分とすっきりしている。
三寒四温という言葉があるように、冬は消えたと思ってもまだ居座っていることがあるが夏はすっと消え、秋に交代することが多い。(残暑のケースもあるが)
そのため、秋へのスイッチの入れどきを迷うこともない。秋物の服を買ったり、扇風機をしまったり、タイミングをはかりやすい。
なんだ、そう考えると暑いだけの嫌われ者の時期というイメージが崩れていくじゃないか。
そう考えるのも夏の終わりを楽しむ一つの方法になり得るのではないかとふと思った。