2025年4月から新たに創設される雇用保険の育児関連給付
今回は、労働者がもらえるお金について改正がある点についてご紹介したいと思います。
2025年4月からの育休給付の改正点
2024年6月に、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案が成立しました。こども未来戦略の「加速化プラン」の実現のため、子育てにかかる経済的支援が強化されます。
以下、この法改正の一部として2025年4月から新たに創設される雇用保険の育児関連給付について解説します。
①出生後休業支援給付(新設)
この給付は、子の出生直後の一定期間内に取得する育児休業に対して支給されるものです。
具体的には、男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合、被保険者の休業期間について28日間を限度に、休業開始前賃金の13%相当額が支給されるようになります。
つまり、共働き夫婦が産後初期に2人とも育児休業を取得する※ことで、通常の育児休業給付(休業開始前賃金の67%)に13%上乗せして支給されます。
この給付の創設により、出産直後の男性育児休業取得がさらに後押しされることとなり、「子どもが生まれたらパパも2週間育休を取得する」などといった動きが一般的になるでしょう。
①の効果・・・手取りが一定期間減らなくなる!
育児休業給付は、育児休業に入る前の賃金よりも当然少ない金額となりますが、今回の改正により、一定期間の手取りが減らなくなります。
どういうことかというと、毎月給与から控除されている社会保険料が、産前産後休業期間・育児休業期間については免除される仕組みがあることがポイントです。条件に当てはまる期間に育児休業を取得すると、保険料の支払いが免除される制度を活用することによって、休んだ分給与は少なくなっても、ある程度相殺の効果があります。場合によっては、休んで給与が減った分よりも、手取りが多くなることもあり得ます。*試算は事前に社労士に依頼しましょう。
ikukyu-chirashi.pdf (nenkin.go.jp)
つまり、
育児休業給付67%+出生後休業支援給付13%+免除される保険料
≒休業前の賃金100%
という計算式が成り立ちます。今後は配偶者に育児休業を2週間以上とってもらうことが当たり前になる理由がよくわかりますね。
ちなみに、出生後8週間以内に男性が育児休業を取得するとき、2回に分割して取得することもできるため、仕事の調整もつけやすくなっております。
妊娠がわかったら・・・一番金銭的にもベストになる休み方はどんな休み方なのかをぜひ社労士に相談しましょう!
②育児期時短就業給付(新設)
この給付は、雇用保険被保険者が2歳未満の子を養育するために時短勤務をした場合に、時短勤務中に支払われた賃金額の10%を支給するものです。
つまり、時短勤務によって下がった賃金を一部補填することで、育児休業中の時短勤務を奨励するものでしょう。
通常の所定労働時間が8時間の場合、その10%は48分にあたりますので、イメージとしては「約1時間時短勤務をしても従前の手取り額が維持される」という状態になります。
この給付の創設により育児期間の時短勤務がさらに促進されるかは未知数ですが、「保育園送迎などのために少し早く帰る」などの使い方が想定できますね。
②の効果・・・時短勤務を選んでも、手取りの減少を抑える仕組み!
一般的に現在は女性労働者が時短勤務を選ぶケースが多いですが、男性が育児休業を取得して復帰したあとに時短勤務を選んでも、もちろんこの仕組みは活用できます。
結論専門家に相談を
育児休業関連の法律は、ハイペースでどんどん改正が進んでおり、人事労務担当者であっても内容の変更に理解が追い付いていない会社が多いです。分割で育児休業が取得できるようになっていたり、保険料免除のルールが変わったり・・・近年はどんどん内容が変わっています。2024年現在妊娠中の方に今回の改正は直接影響を及ぼす内容です。また、もし第1子出産のときに育児休業を取得したからだいたい分かっているという方についても、今までと比べて労働者有利に、かつ、かなり複雑に制度が変わっているため、必ず専門家に相談してください!!
あなたの家族がどんな休み方をしたいか、どんな働き方をしたいかによって、もらえるお金がフローチャート形式でどんどん変わる時代です。
今回の記事の内容以外にも、来年は改正が目白押し
令和7年は改正が目白押しとなっておりますので、また別の記事を書かせていただけたらと思います!