2020年4月、いよいよプログラミング教育が始まります。(第一弾)
久しぶりの記事投稿です。
皆様、新年、あけましておめでとうございます。
2020年、世の中、大きく変革していきそうな気がしています。
その一つとして、タイトルにあるように、2020年は4月から小学校で「プログラミング教育」が始まります。そして2021年4月からは中学校ではこれまでのプログラミングに関する内容が拡充されるそうです。
これまでの自分自身の振り返りをしつつ、2020年4月から小学校でプログラミング教育が始まるのだけども、一体どんなことすればいいのか、と不安の声も聞こえてくるので、僕の個人的見解が参考になれば、と思い、noteに記事を久々に書こうと思いました。
特に小学校の先生方や教育委員会の方々は各自治体などが主催するセミナー等で研修、勉強会などに参加してみたけれども、あれをすべき、これをすべき、こういうのがいいよ、など講座を受け、そこでもらったたくさんの資料を抱えて、悩んでらっしゃる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
どうか、駄文ですが、最後までお付き合いいただければと思います。
まずは、「遊びの中でテクノロジーを学ぶこと」になれる。それが「ふれる。あそぶ。プログラミング。」
さて、浅岡が仲間とともにやっている活動「ふれる。あそぶ。プログラミング。」(通称:FAP「エフ・エー・ピー」)についてのご紹介。
2020年4月から小学校のプログラミング教育がいよいよ導入される、ということで、金沢市を中心に、仲間とともに2017年から開始した有志による活動です。金沢市では翌年事業化、「金沢市キッズプログラミング教室(2019年からは金沢市キッズプログラミングスクール)」となり、一般社団法人FAP(エフエーピー)を立ち上げ、流れのまま、浅岡が代表理事に。金沢市からの委託事業を中心にこれまで活動を続けてきました。それから3年。
学校での「プログラミング教育」の導入がスムーズにいけばいいな、プログラミングが嫌いにならないといいな、という純粋な想いで始めました。今もこの気持ちは変わりません。
この活動は2018年には、金沢市内の公民館や民間企業ではPTAや保護者の方々(大半がプログラミング経験のない方)がメンターとなって実施されるようになり、また、中学校の授業でも実施されるように。2019年にはお隣の富山県氷見市でも「氷見市プログラミング教室」として、3回開催いたしました。
一回につき、大体参加人数は金沢では200人ほど(氷見では100人ほど)で、おかげさまで毎回盛況です。
ただ、皆さん勘違いされるのですが、「ふれる。あそぶ。プログラミング。」というのは、「プログラミング教育の導入」をサポートし、地域の人々(子供だけでなく大人も含む)ITリテラシーを向上を目指す活動であり、民間企業や自治体が実施しているようなレッスン形式の、いわゆる「プログラミング教室」とは異なります。なので、決して、教える方も「プログラミング経験者」である必要性がありません。最低限の機材の使い方さえ覚えてもらえれば、あと子供が嫌いでなければ、だれでもできるようにマニュアルも完備されています。
なぜ、こんなことを始めたのか。3年間通じての感想は思った以上に、地方においてITのリテラシーが低い、ということです。
例えば、iPadなどのタブレット一つにしても「どうせ、ゲームしかしないんでしょ」「動画しかみない」ということで、嫌厭されることがありますが、実は無料でプログラミングを勉強できるアプリケーションはたくさんあるのです。
①ゲーム簡単につくることができるiPadアプリ「Springin'」(無料アプリ)
こちらは、自分で書いた絵や文字などを配置して簡単にゲームを作ることができます。無料ですので、iPadやiPhoneをお持ちの方はご自宅でも気軽にできます。(ちなみにFAPでは人気コンテンツの1つになっていて、自分でつくったゲームを見せたくて、毎回楽しみに参加してくれる子供もいます。見せ合いっこする、というのも一つの楽しみのようです。そのうち、作品展をして、お互いのゲームをプレイしあう、という大会をやってもいいかもしれません。)
②あっという間にデジタル水族館が。「Viscuit」(無料アプリ)をつかったお絵描きプログラミング。
こうやって、タブレット上で絵をかいて、眼鏡で動きをつけて、送信。
パソコンに移った画像をプロジェクタや大型ディスプレイなどで映してあげると、まるで水族館のようになります。
このように「FAP」ではこんな簡単にテクノロジーに触れることができるんだよ、ということを知ってもらう「場づくり」を行っています。
自宅でも気軽にできる、しかも使い方は簡単、だけども知らない。
そこを「知る」、「触れる」、そして遊んでいる中で「学び」を発見し、「プログラミング」≠「難しいもの」ということを自然に身に着けていく、そういう「場づくり」、そこから簡単にテクノロジーにふれる「文化」をつくることから始めていくことが、まず、プログラミング教育への第一歩ということだと思います。
「これを使えばいい!」「これをやればいい!」という正解は「プログラミング」にはない。
これはとある保護者の方から聞いたことなのですが、某所で実施されたとあるガジェットをつかったプログラミング教室に参加し、そこで完成させたガジェットを持って帰ってきたのだけども、息子が結局やらなくなって、家でホコリがかぶっている、というお話をされました。飽きてしまうと、もういいや、になってしまう。そして、その子にとってその体験した「ガジェット」=「プログラミング」となり、「プログラミング」=「飽きるもの」と定義されてしまっている。それは非常に残念なことだと思いました。
また、某所でも子供のころから「これをやればいい!」「この言語をマスターすればいい!」「これこそが…!」という意見も聞こえてきました。僕は現役のプログラマーのはしくれとしていいますが、これは絶対に違うと思います。
ここから何を言いたいかというと、いろんなものに触れる「機会」と「選択肢」を増やしてあげることが大事、ということです。
なので、「FAP」ではできるだけ、1回のイベントで複数のコンテンツをなるべく用意するようにしています。それは、ある子は「ゲームを作りたい!」ある子は「ロボットを動かしてみたい!」ある子は「アニメーションを作りたい!」…いろんな子がいて、興味はそれぞれ。なので、まずは「飽きない」ように複数のコンテンツをできるだけ用意するようにしています。
だって「ゲームを作りたい!」って言ってる子に「ロボットプログラミングしてみよう!」でやらせても飽きるのは目に見えてますよね。
もちろん、「FAP」でやっているものだけが正解ではありません。それ以外にも正解はあります。「やりたいこと」「実現したいこと」それによって手段は違うものだと思います。プログラミングは手段なのですから、実現するためにはいくつも正解があるものだと思います。なので、「これをやりないさい!」「やればいい!」というものはないと思っています。
「現役のエンジニア」だから言えること。
一般社団法人FAPの強み。それは所属するメンバーが、僕を含め、メインコンテンツを手掛けているのは、現役のエンジニア、ということです。分野はビジュアルプログラミングから組込みアプリケーションなど多岐にわたるのですが、ここで大事なのは「プログラムを書き、そして世の中の製品としてリリースしたことのあるものづくりの経験者」であり、今もなお、それを実施している、現役のエンジニアということです。
僕も自慢ではありませんが、たくさんのプロジェクトにかかわってきましたし、もしかしたら、皆さんの生活で使っているような製品も開発してきました。だから、AIやらIoTやらたくさん言われる中、どんな人材が必要とされているのか(何を目指せばいいのか、どんな技術を身に着けたらいいのか、今、どんなプログラミング言語をマスターしたらいいのか)ということについては、理解しているつもりで、意識してFAPの活動を行っています。
これは、子供、ではないのですが、とある情報系の学校の方に言われたのですが、今の時代どんな人材を育てたらいいですか、という驚くべきご相談を受けたことがあります。話をよく聞くと、今、民間企業で求められている即戦力というものと学校で教えていることが乖離しすぎていて、卒業してから生徒が苦労している、即戦力にはならない、というものでした。それは仕方のないことなのかもしれませんが、これからの時代に何が必要かはやはり現場のエンジニアだから話すことができるのだと思います。現役でコードを書いている方々と学校の先生が連携して、一緒に人材を育成していくことが大事なのではないか、と思います。(僕が、毎年、同志社女子大学で講義しているのも目的の一つです)
まず、現役で製品開発をして、プログラムを書いている方のお話を聞かれるのが一番いいと思います。そういった機会は結構、イベント等であると思いますし、浅岡でよければ、個人的にFBのメッセやTwitterのDM、またはFAPのお問合せでご連絡いただければ、お答えいたします。
「プログラミング教育」さて何をするか?
いろいろ議論されていますが、僕自身は小学校で始まるプログラミング教育については、文部科学省や各自治体の教育委員会で決めたカリキュラムで実施されるもので、このカリキュラムをどうこう言ったりするつもりは全くありません。(アンプラグドがいい、いやアンプラグドはだめだ、プログラミング専科にすべきだ、いやロボットをやるべきだ、高学年ではコードを書かせるべきだ、いやいやブロックプログラミングだろう、こんな議論どうでもいいと思っています。)
それよりも、学校では先生が「こういうの子供たちにやってみたら喜ぶんじゃないか、算数や理科が楽しくなるんじゃないか」「どの機材をつかって、どういったことができるのか」、また「これ動かなくなったんだけどどうしよう」技術的なことについての相談を受けられるような、学校の先生と現役エンジニアが連携できるような体制づくりが必要だと思っています。
また、入門編は必要だと思います。もっと地域コミュニティ(PTAや保護者会などの方々)が公民館等の場所をつかって、「寺子屋」的なものがもっとできるといいなと思っています。そして、そこと学校がうまく連携していく、そんなことができれば、一番いいのではないでしょうか。
そこをサポートする活動をFAPはやっていきたいと思います。
(まだまだ、書きたいことがあるので第二弾につづく)
記事を読んでいただきありがとうございます! いただいた投げ銭はプログラミングスクールの運営費(修理や機材購入)に使いますので、よろしくお願いします。