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目からウロコの本シリーズ 「イナンナの冥界下り」安田登
こんばんは。本日もおつかれさまです!
ダンサーのShala(シャーラ)です。とても興味深く、まさに目からウロコが落ちるような本を時々紹介しています。
こちらは、能楽師の安田登さんの著書です。イナンナの冥界下りの物語をテーマに、舞台公演を行っている方でもあります。
最初から最後まで新鮮な驚きに満ちて、コーヒーなどいただきながら、あという間に読めてしまいます。
世界最古の神話である、シュメール神話。その代表的な女神イナンナの物語。世界中にある冥界下りのお話〜日本にも古事記などがありますが、こちらの主人公、女神イナンナの個性はまた強烈です。偉大な神々である父上もお爺さまもうっかり大きな権力を彼女に与えてしまい、そのせいで大変手を焼いてと、まさにやりたい放題の女神ですが、それはなぜかというと。。。最初に驚きの時代背景が明かされます。
物語の背景を、漢字でもまだ「心」という文字のなかった「心の前の時代」と捉えているところが慧眼です。ヘレン・ケラーが、文字を知ったことで「後悔」と「悲しみ」の感情を知ったと言ったように、文字ができたことで「時間」が生まれ、「〜故(ゆえ)に」という原因と結果が生まれ、時間の経過からくる感情も生まれたと。心が生まれる前は、不安も存在しなかったと。その結果としての現代があるわけですが。
幼い頃、時間を忘れて遊んだり、遊んでいたかと思うと気絶するように寝てしまったり、生き物たちに残酷なことを平気でできてしまったりという、私たちも経験してきていることは、考えてみればまさに心を知らない、文字を知る以前の感覚なのでした。
なので、「心の前の時代」の女神イナンナもただやりたいからやるといったふうで、脈絡なくやりたい放題なのですね。そんなところを面白く読みながら、それぞれの重要な漢字の成り立ちなども図解されていて、大変勉強になりました。
「心の前の時代」の主役は女性たちであり、母系社会であり、男性たちは、王ですら力を霊力を女性たちから得ていた(「聖婚」という儀式がありました。)、そんな時代のお話。性愛に関しても非常に開放的で自由な価値観を持っていたのが、後世どのように変わっていったかも明かされます。思いのままありのままパワフルに生きていた女性たちの力を全て集めたような、女神イナンナは、生き生きとしてとっても魅力的です。
太古からの伝統を大切にするベリーダンサーたちの中には、イナンナをテーマに踊る方々も多く、もちろん私も!シュメール神話のイナンナは、のちのギリシア神話における「アフロディーテ」や、キリスト教の「聖母マリア」にも連なる源流ですから、神話の力を借りて、具体的な女神の名前に依らずとも、女性の原型をいつだってパワフルに舞いたいと思っています。
今となっては決して過去に戻ることはできないし、「心の前の時代」に戻るることはできなくても、どうしたら良いのだろうかと考えるきっかけとなる本でした。
それではまた!!良い日々をお過ごしくださいね。
しおりもカワイイよ!♪
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