旅に出られない今、ぜひ味わいたい写真集〜「天涯」沢木耕太郎
こんばんは!本日もおつかれさまです。
ベリーダンサーのShala(シャーラ)です。
ある日ふと本棚から取り出して開くと、そのまま熟読してしまいました。
作家の沢木耕太郎が、旅において撮りためた写真の数々に、彼自身のエッセイと、他の作家たちの文章を引用、一つの世界観が構築され写真集となったものです。
90年代後半、阿佐ヶ谷パール商店街の古本屋で購入。今読み返すと、当時よりもずっとずっと深く心に染み入るのは、簡単には旅行に行けないからかもしれません。年齢と経験を重ねたこともあるかもしれません。
香港、リスボン、ラスベガス...。さりげない世界中の旅の風景に加え、ボクサーのジョージ・フォアマン、アスリートのベン・ジョンソン、さらにはキューバのカストロの近影などもあり、懐かしい思いに包まれます。それらは、エッセイと相まってとてもステキです。
トルーマン・カポーティ、トーマス・マン...。引用された作家たちの文章は、引用元の作品をぜひとも読みたくなりますし、彼自身の内面を綴ったエッセイの中では、購入した当時も、そして今も、こちらの言葉が感慨深く心に響きます。
p.338より
旅は素晴らしく、同時に無残なものである。長い旅をしていると、旅人の背中にその無残さが張りついてくる。それを避けるためには、貼りついてこようとする無残さより速く移動することしかない。
確かに、長旅の最中にあっては、このような焦燥が僅かに感ぜられるものかもしれないですね。
以下は、Amazonレビューより。
沢木耕太郎と旅
この写真集には写真だけが掲載されているのではない。沢木耕太郎自身が旅先で書きとめたと思われるメモや、あるいは彼の心情を代弁するような作家の言葉を引用して随所にちりばめてある。「深夜特急」の作者が撮った「風景の描写」と、その他のエッセイやノンフィクション作品で人間の内面を鮮やかに描き上げる彼一流の「内面の描写」との二つが味わえる作品である。
ここには一人で旅をする事の魅力が見事に描かれている。それは楽しさだけではなく、時には哀しさに似た感情でもある。全体を通じていえば、旅と人生をなぞらえるような、深夜特急後半のすこし物悲しい雰囲気が強い。旅をした事がある人でも、またこれから旅をしようかという人にも、この写真集ほど魅力的な本は他にないだろう。
ついでに、この写真集シリーズには沢木耕太郎の他のエッセイ作品と重なる写真がいくつかある。そのため沢木耕太郎ファンにとっては、他のエッセイ作品を読みながら同時にこの写真集を眺めるのもまた一興であると思う。
旅に出られない今だからこそ、きっかけさえあれば羽ばたこうと待ち構えている想像の翼を、写真集を通して思い切り羽ばたかせるのもステキな時間の過ごし方と思います。
それではまた!良き日々をお送りくださいますよう!
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