創造の源泉は、感謝その７　ロンドンダンス留学で何を学んだか

こんにちは！

大学時代の終盤でダンスに目覚め、プロを目指しロンドンでダンススクールオーディションを受け、合格するまでを綴ってきましたが、今日はダンサーにとって大切な勉強について書きたいと思います。

ロンドンコンテンポラリーダンススクールでのスケジュールは、実際のダンステクニックを習うのは1日5〜6コマのうち2〜3コマで、その他のアカデミックな授業が充実していました。学位も取れるということで、大学の授業のようでした。

最初に驚いたのは、アナトミー、解剖学の授業です。今でこそ、ダンサーが身体について理解することは、当たり前のことになっていると思いますが、当時ダンスを習うといえば、バーレッスンに振付と、ひたすら技術を磨くものというイメージしかなかったので、知識的にも広範囲に学ぶ大切さを、ここで初めて知りました。大学を卒業後そのまま渡英、8月末には専門学校が始まったので、なんだか大学の続きのよう、それがただ英語であったという感じで自然に受け入れもしました。そして、社会の一員として活躍できるダンサーを育てようという姿勢に、大変感動しました。

ダンサーって、社会において決して地位が高かったとはいえないですものね。元はといえば、今に名を残す稀代の素晴らしいダンサーたちの中には、ストリッパーのような要素を含む方々もいたし、当時は単純に娯楽だったのであって、既に芸術とされていたバレエ以外で、舞踊が芸術として認められるには、モダンダンスの母、イサドラ・ダンカン（1877〜1927）などの出現を待たなければなりませんでした。

また、ベリーダンサーとして言えることは、ベリーダンスの本拠地のアラブ各国では、社会一般的には娼婦のようなものと捉えられるという現実があります。（現地でも実感、また別の機会に！）これまでも、ベリーダンスがバレエのような芸術からは一段低く見られているのを体感することは度々ありましたけれども。ダンスの歴史を学んでいくと、ダンサーが社会的に認められるには、インテリジェンスも欠かせないのではと。過去にダンサーの地位を高めるため大変な努力をされた方々がいて（踊ることを愛しひたすら踊り続けたということとは別に）、のちにこうした専門学校が創設され、そこに乗じる形で学ばせてもらう喜びを感じました。

身体がどのような仕組みになっているのかを学び、理解を深め、怪我を防ぐことに繋がったりと、模型を使い、質問の飛び交う解剖学も新鮮で楽しかったですが、ダンスヒストリーはさらに好きな授業でした。まだまだ一般的にはダンスが芸術とはなり得なかった時代に、踊ることを愛した大先輩たちのことを学んでは、憧れで胸がいっぱいになりました。エッセイの提出などもあり、その中の一つに私は、授業で知って大好きになったルース・セント・デニス（1879〜1968）を選びました。そうしたモダンダンスの黎明期のダンサーの一人です。

Wikipediaより

図書室も完備、資料が充実していたので、会話はどうにかできても書くことが難しかった私は、図書室の先生にも大変お世話になりました。昼休みの僅かな時間にエッセイのための参考映像を見たいと前もってお願いしておくと、到着時には全てセッティングがなされていて、あとはスタートボタンを押しさえすれば、時間いっぱいまで見られるという配慮に感動しました。また、私の拙い英語の文章を添削してくださったりと、サポートは常に全面的なものでした。

こうして黎明期に活躍したダンサーたちのことを知ったおかげで、帰国後翌年、東京でイサドラ・ダンカンのテクニックを継承する先生に出会った時にも、全く違和感がありませんでした。非常に心惹かれ、真っ直ぐにその世界へと飛び込んで行きました。これも後述したいと思います。

ロンドンでは、ダンスに限らず、学ぶというのは環境が大切なことを身をもって知りました。ダンスのテクニックがまるでなく、オーディションでは走ることしかできなかった私に、門戸を開き、ひとまず経験するという機会を与えてくれた学校、入学後に親身になってサポートしてくださった先生方、励ましてくれた同級生たちに心から感謝しています。型にはめようとするのでなく、大らかに個性を受け入れる校風の中で、のびのびと過ごすことができました。書きながら、ユーモアたっぷりな授業を思い出しては、非常に懐かしいです。

のびのびと楽しく大らかに！の姿勢は心身に刻まれ、この6年後には今度は日本で、ダンスを教えることをスタートした私に、自ずと大きな影響を与えていきました。また、解剖学を学んだことは、レッスンに整体や整体的アイディアを取り入れていくことへと繋がり、日本でのさらなる出会いを呼び込んでいきました。それまたいずれ！

それではまた！！

Wisdom Comes Dancing　　美しいですね！！芸術は人生より長し。。。