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#02 だれでもできる「ツボ療法」/ 基本治療の方法・手順_治療に使う道具と扱い方


1 基本治療の方法・手順

1* 治療に使う道具と扱い方

治療の道具として、次のものを使用します。
① 鍼治療:鍉鍼ていしん円鍼えんしん円皮鍼えんぴしん
② 灸治療:点灸(透熱灸とうねつきゅう・半透熱灸)・知熱灸ちねつきゅう
灸治療に用いる材料は艾と線香ですが、点灸には知熱灸よりも良質の文を使用します。

1 鍼治療の方法・手順

(1) 鍉鍼の扱い方

ここで使用するのはSJ式鍉鍼といい、鍼先を皮膚に押し付けて刺激するもので、鍼先は体の中には入りません。

この鍉鍼の鍼先には独特の丸みがついてあり、その感触は他のものでは代用できません。

また材質の硬さにも工夫がしてあり、皮膚に与える刺激量が加減できるようなっています。

鍉鍼の頭の方の部分を、円鍼とします。

① 鍉鍼の構え方

利手ききてこれを刺手さしでといいます)に鉛筆を持つ要領で鍉鍼の鍼体をもち、反対の手(これを押手おしでといいます)の母指(親指)と示指(人指し指)でその先をはさみ、鍼先を皮膚上に固定します。

ただし鍼を固定する手順は、次のようにします。

① 穴にあてた押手の示指を起こす。
② 刺手の鍼先を穴におくと同時に、押手の示指に添える。
③ 押手の母指を鍼先に近付け、示指と鍼先をはさむようにして添え、鍼を固定する。
④ 押手の残りの三指を、軽く相手の皮膚上にのせる。

SJ式鍉鍼・円鍼


鍉鍼の扱い方 ①
鍉鍼の扱い方 ②
鍉鍼の扱い方 ③
鍉鍼の扱い方 ④

② 鍉鍼の操作のしかた

刺手で鍼体を静かに皮膚に押しつけ、徐々に皮膚に圧迫感を与えます。

同時に鍼をはさんだままで、押手の母指と示指の皮膚に接する面を広げるようにして皮膚に緊張を与えます。

この圧迫感の与え方にはコツがあり、不愉快でない程度の痛みを感じるまで圧迫します。

そのようにして、刺激が体の奥の方にしみ透るようであれば効果的です。

体への影響力は、鍼を使用する時間の長さに比例するものですが、常に適量が好ましいもので、むやみに強くすればよいというものではありません。

なお、鍼をするということは、鍼をする部位つまり、つぼに気の力を充実させるということです。

要所となる穴の気の力の充実は、気の乱れである病を調整する力になると考えます。

(2) 円鍼の扱い方

円鍼としては、逆さにもったSJ式鍉鍼の頭の部分を使いますが、本来は独立した鍼で、これも皮膚の中に入るものではありません。

① 円鍼の構え方
刺手の母指、示指それに中指で、逆さにもった鍼体の下部をはさみ持ちます。

② 円鍼の操作のしかた
この鍼はつぼという一点を刺激するのではなく、皮膚面をなでこするものです。

手足では、体幹(胴体)に近い方から指先の方へとなでおろします。

胸・腹・背中では、上から下へとなでおろします。

円鍼をなでおろすたびに、押手の母指を除く四指でその後を軽くさすります。

いずれもほんのりと皮膚が赤くなるまで、繰り返し行います。

円鍼の扱い方

(3) 円皮鍼の扱い方

円皮鍼の鍼先の長さはいろいろありますが、ここでは1ミリのものを使用します。使い方はいたって簡単で、画鋲を押込む要領でつぼに円皮鍼をあてればよい。鍼を押し込むときに、皮膚が動かないように注意します。

本書で使用する円皮鍼は絆創膏と一体ですので、鍼を押し込むと同時に絆創膏で鍼を固定できる利点があります。絆創膏は、できるだけ体の曲面に沿ってつけるようにします。

固定する期間はおおむね一週間を限度とします。一度使用した鍼を他人に使用することは避けます。

また、絆創膏にかぶれやすい人は、使用期間を短くします。

なお、円皮鍼の鍼の長さが1ミリということは、体の表面の浅い気を操作するのに適しているということです。しかし円鍼よりは、気を動かす力が大きいとみます。

さらに深い気を操作するには長い鍼を深く刺入する技術が要求され、それは専門的な分野に属します。

円皮鍼の構造
円皮鍼の扱い方 ①
円皮鍼の扱い方 ②
円皮鍼の扱い方 ③
円皮鍼の扱い方 ④
円皮鍼の扱い方 ⑤
円皮鍼の扱い方 ⑥

2 灸治療の方法・手順

(1) 点灸の扱い方

点灸とは、一般にお灸といわれているものです。

米粒大べいりゅうだいの良質のもぐさを円錐状につくり、つぼにのせて火をつけるものですが、艾が全部燃えつきるまでおくものを透熱灸とうねつきゅうといい、途中で熱くなったら取りさるものを半透熱灸はんとうねつきゅうといいます。

|艾柱《がいちゅう》のつくり方……円錐状につくった文のことを艾柱といいます。両方の掌で適量の艾をはさみ、上の方の掌を前後に軽く動かして艾をよるようにして円柱状にし、先から適当にちぎって艾柱にします。あるいは、2枚の厚紙の間に艾をはさみ、上の方の厚紙を軽く動かしてもつくれます。また、あらかじめ一定の大きさに艾をきざんである市販の切り艾も使えます。

大事な点は、艾柱の先を円錐状にすることと、艾柱の底面をいつも一定の広さにすることです。

点灸のしかた……右手でつまんだ艾柱の底面を、水を含ませた綿などで少し濡らして穴におきます。

次に、よく灰を落とした線香を艾柱に近づけて火を移します。何度か続けてこれを繰り返しますが、艾柱をおく位置がズレないように注意します。

なお半透熱灸であっても、刺激の量は鍉鍼よりも強いとみます。また熱刺激ですので、冷えている体、つまり熱を外から与える必要のある体の状態や部位に適しています。

点灸のしかた ①
点灸のしかた ②
点灸のしかた ③
点灸のしかた ④
点灸のしかた ⑤
点灸のしかた ⑥
点灸のしかた ⑦

(2) 知熱灸の扱い方

これは半透熱灸の応用ですが、違う点は、やや質のあらい低い艾を使うことと、艾柱の大きさを一辺1〜1.5cmの三角錐状のものにするということです。

艾柱のつくり方……適当量の艾を取り、両手の母指と示指の間にそれを入れ、左右の指に力を入れて押しつけると、艾は三角錐状になります。

このとき、艾の硬さができるだけ均一になるように、指の力の入れ具合を工夫します。

点火のしかた……三角錐状の艾の頂上に線香で火をつけます。相手が熱いと感じるところで艾を取り去ります。

なお知熱灸は、透熱灸と半透熱灸の中間の熱刺激量と考えて下さい。

知熱灸のしかた ①
知熱灸のしかた ②
知熱灸のしかた ③
知熱灸のしかた ④
知熱灸のしかた ⑤

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