シーカヤックツーリングにおける先導の難しさ
②紀北”海と川”コース 第3回 2020年 12月12~13日
みなさんこんにちは~ 三重県大好き芸人こと,shakuです!笑
私は三重大学生物資源学部に在籍している大学生です.海なし県の埼玉出身で,三重県に来て4年が経とうとしています.自然環境リテラシー学は受講生として1年,学生スタッフとして2年携わっています.
この記事を読むと,シーカヤックでのパッキング術とシーカヤックツーリングの先導について知ることができます!
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さて今回のプログラムは,紀北町小山浦(おやまうら)から大渡鹿(おおとうか)という無人浜へのカヤックツーリング.大渡鹿へのツーリングは今回で通算3回目!「まあ,そんなに距離はないし,いつも通り漕いでいけば何も問題はないだろう」と思っていた.(これが後々大きなミスを引き起こす原因になるとは,この時は思いもよらず…)
↑プログラム当日の紀北町小山浦
小山浦でカヤックアクティビティを行う際にいつもお世話になっているのが,「シーカヤックステーション小山ハウス」の森田渉さんだ.私をはじめとする学生だけでなく,先生方も絶大なる信頼を置いているガイドさんだ.
今回の受講生は皆1年生.シーカヤックでのツーリングは初挑戦である.ツーリングとは,カヤックのハッチ(カヤックの荷物を入れる部分の名称)にキャンプで必要になるものを自ら詰め込み,移動することをいう.限られたスペースに必要なものだけをいかにうまく詰め込むか,その技術が重要である.
ここは学生スタッフとして,パッキング術を伝授しよう!
①天敵は空気!できる限り圧縮すべし!
圧縮袋を使い,極限まで空気をなくす.また,デッドスペースが生まれないようにパズルの要領でハッチの中を埋めていく.
②前と後ろで重さが均等になるようにパッキングすべし!
カヤックに乗ってみると分かるのだが,重さが均等でなくてもカヤックは漕げる.しかし,安定させるに越したことはない.
③液体はなるべく中心部に配置すべし!
動くものをカヤックの端に配置すると,遠心力などがかかりやすく,カヤックを漕ぐことを邪魔しかねないので,中心に配置するのがベター.
↑ (行きではなく,帰りの写真だが)パッキングの様子
なんとか,パッキングが完了し,いざ出廷!1日目は,shakuが先導を担当した.シーカヤックにおける先導とは,その時のチームの先頭で漕いで,みんなを率いる役目を担う存在である.今回は「皆の行きたい所へなるべく連れて行ってあげたい」という自分の気持ちも上乗せされていた.新型コロナウイする感染拡大の影響で,自宅でのオンラインでの講義ばかりである1年生には,存分に紀北の自然を味わってほしいと感じたからだ.
「shakuさん,あの洞窟行きたいです!」
「こっちに行ってもいいですか?」
「岩から滝が流れている洞窟がある!」
みんな積極的に意思を持って自然でのアクティビティを楽しめている感じがして,なんだか嬉しい気持ちになった.そう,あの岬までは.
”ゆるポタ”ツーリング(ゆるーくポタリングをすること!略してゆるポタ笑)をしていると,気づいたら時間が押してしまっていた.2日目は学生主体のツーリングであったため,自分たちがどれくらいの速度でカヤックを漕いでいるのか明らかにする必要があった.岬から灯台まで,一直線に漕いで,時間を計測し,あとで海図を見ながらどのくらいの距離を進んだのか計算する.それをするために岬のところで集合をかけた.
「今からあの白い灯台まで一直線に漕ぎます.今の時間と灯台についた時間を各自メモしてね!」
そう伝え,岬を抜け,漕ぎ始めると,今まで山が守ってくれていた風が,風速をまして山を越えて,一行を襲った.そう,今までのゆるポタツーリングは,山が南西からの風の盾となり,我々は守られていたため,できていたのだ.風にあおられ,一団となっていた一行はバラバラに.特に,まだ漕ぎ方に慣れていない学生はどんどん北東の方へと流されてしまった.しかし,一度指示を出し,ついてきている学生もいる中でどうすればよいのか分からなくなってしまった私は,そのまま灯台の方へと漕ぎ続けた.次第に一行の距離は離れていき,声も届かない距離となってしまった.私は,目標にしていた白い灯台にまで行くことは諦め,近くの赤い浮きでUターンをする決断をした.なるべく近くにいる学生をまとめようと声がけしたり指示を出したりしたが,遅れている学生はガイドの森田さんに任せる形になってしまった…
ほどなくして,一行は無事合流でき,目的地である大渡鹿にはたどり着いたのだが,先導していた私としては後悔が残り,納得できなかった.
「あの岬でどうしていれば…」
すかさず,ガイドの森田さんに聞いた.
「あの岬で集合した場所が悪かったね.もっと岸寄りで,風の当たらない所で集合をかけておけば,もう少しバラバラにはならなかったかもね.でも,灯台ではなく,浮きでUターンした選択は正解.浮きの近くで,近くにいた学生をまとめたのも正解だよ」と優しく声をかけてくださった.
↑ 1日目,先導を担当したルートの概略図
まだまだ,学ぶことは多い.3回目のコースだからといって毎回”海気”が同じであるはずがないじゃないか!
またひとつ教訓ができた.それは,
「いかなる時も,自然は同じ表情を見せない.」
分かっていたつもりだったが,身をもって経験した.学生のみんなにヒヤッとする経験をさせてしまったことは先導者としては大きなミスだが,今後の私にとっては成長のきっかけとなったのであった.
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P.S. 2日目朝,大渡鹿の浜から見えた美しい朝日とカヤック
「やっぱり三重県の海,自然は雄大で素晴らしい!」
では,また~✋(@^^)/~~~