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ネット情報の見極め方(その2)

情報が「正しい」か見極めるのはとても難しいですが、その情報が「怪しいか」どうかを見極めるポイントはあります。
目にした情報を「本当か?」と立ち止まって「ツッコミポイント」を考える習慣を身につけることが大事です。

ツッコミポイントは大きく分けて二つあります。

論理的ツッコミ(ストーリーの怪しさ)

・根拠はあるか?
・偏った情報ではないか?
・原因はそれだけか?
・原因と結果はつながってるか?
・メリットとデメリットの両方を考えられているか?
・必要以上に煽ったり驚かせたり急かしたりする内容になっていないか?

科学的ツッコミ(数字の怪しさ)

・数字の印象に惑わされてないか?
・分母は意識されているか?
・比較されているか?
・前提条件は示されているか?

今回は「論理的ツッコミ」の方を説明したいと思います。

今年2月末のトイレットペーパー品薄騒動を例に考えてみようと思います。https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2003/12/news047.html

※当然ながらこの後に続く事例の説明は、デマが確定してからの解説なので、いわば「後だしジャンケン」です。なので、実際に不明確な情報をその場で判断する際にヒントとなる【じゃあどうする?】を最後に記載します。

根拠はあるのか?

・2/28に「トイレットペーパー」「品薄」に関するSNSの投稿が急増した際、多くの投稿は根拠もなく、品薄になることを恐れたり、売切ている様子を投稿しているだけで、何が理由かは書かれていなかった。
★発生した状況だけの情報で判断するのではなく、そう言えるのは何故か、その根拠となる説明が情報の中にあるかを確認する。

偏った情報ではないか?

・多くの投稿は、誰がどこから発信しているかわからない。在庫切れの店頭画像が添付されていたとしても、自分の地域の話なのかもわからない。
・特に初めのうちは、在庫があるのを見た人は安心して、わざわざ写真を撮ってSNSに投稿するまで行動しない方が多い。「在庫がない!」状況の方が異常であり、人は投稿し拡散しようと行動してしまう。**
★生の声や現場の写真は訴えかける力が強い。でも、それは不特定の個人の発信の場合もある。また、フェイクも含まれやすいことにも注意する。**

原因はそれだけか?

・デマ発端となった投稿では、「マスクが品薄なので、次はトイレットペーパーが品薄になる」という理由が添えられていたらしい(未確認)
・マスクはパルプ繊維を重ねた不織布である一方、トイレットペーパーは再生紙を原料にしているので原材料が違う。また、マスク製造企業が、皆トイレットペーパーも製造しているわけではない。  https://www.nishinippon.co.jp/item/n/587598/
・実際に品切れた理由として、トイレットペーパーはかさばるので、倉庫や小売店で保管できる量、また一度にトラックで運べる量に限りがあり、急激な需要にすぐに対応できないという事情もあった。
https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2020/04/0404.html
★今起きている状況を説明できる原因は、伝えられたものの他にもないか、と可能性を考える。

原因と結果はちゃんとつながってるか?

・また、デマ発端のツイートには、「多くの製造元が中国で生産が滞る」という理由が添えられていたものもあったらしい(未確認)
・後に「多くの製造元が中国」は明確なフェイクだったことが示されている。(ほぼ国内生産、原材料の輸入も北米・南米中心)
https://www.meti.go.jp/covid-19/mask.html
・トイレットペーパーが一時品薄になったことで、「あの噂は本当だった」と買い占めに走った人もいる。
・またデマだとわかっていても、実際品薄になったら困るからという不安から買い占めてしまった人もいる(原因とは無関係な、不安という行動心理から買い占めが始まる余波)**
★情報に対して冷静になるためには、情報で示されている結果(状況)と原因が繋がっているかを考える。**

(少し脱線)相関関係はあっても、因果関係がないことは良くある。
例えば「チョコレートを多く食べる国ほど、ノーベル賞受賞者が多い」という話。データ上で相関は見られても、「チョコを食べればノーベル賞が取れる」という因果関係はない。
https://diamond.jp/articles/-/124862

利益とリスクの両方を考えられているか?

・「品薄になるから買った方がいい!」と言われて、多くの人が買い占めた結果、本当に品薄な状態が続いて、一時的に手に入れられた人(=利益を得た人)ですら、品薄で困ること(=損害を被った人)になる。
★その情報を元に行動することで、良い効果だけでなく、どんな悪い影響を及ぼすか、それが元の情報に書かれているかを確認する。

必要以上に煽ったり急かす内容になっていないか?

・「在庫がなくなる!」という切迫感が、判断力を鈍らせる要因になった。
・デマを広める人のほとんどは、「伝えないよりはマシ」という善意から。
・信頼できる人・偉い人・有名な人であることと、発信する情報は分けて考えるべき。
★煽る驚かす急かす内容は、人間の判断力を鈍らせる。「あなただけ」「絶対に」「とにかく」と言った言葉や、「今すぐに」「早くしないと」などの煽り言葉には、動揺しないように注意する。そして安易に他人に伝えたりシェアしない。

【じゃあどうする?】

基本的には上から優先順に確認することをお薦めします。
●脊髄反射的にシェアしない
●公的機関の情報を確認、もしくは、問い合わせる
例えば、デマ情報であれば以下のところで確認や問合せができる
・居住地域の消費生活センター http://www.kokusen.go.jp/map/
・迷惑メール相談センター(総務省から委託を受けた組織) https://www.dekyo.or.jp/soudan/index.html
※お店や企業に直接電話するのは迷惑になるので控える

●自分で調べてみる(WEB検索)
・今回のデマであれば「トイレットペーパー 品薄」でWEB検索してみる。
報道機関や政府・自治体、業界団体など、SNSよりは信用度の高い情報源で同じ内容が複数あるかを確認する。
・日用品の品薄なら、地元のスーパーやドラッグストアのWEBサイトやSNS公式アカウント等を確認する。

●自分で深堀してみる(少し難しい方法)
・トイレットペーパーなどの日用品の場合なら、過去に品薄になったことが何度かある(直近では2019年5月)。その時の原因や発端は何だったのかは、ニュースなどで後日報道されていることが多いので、検索条件の期間を指定して過去に遡って確認してみる。
・海外で似たようなデマ事例が起きていないかを探る(2020年2月上旬、香港・シンガポールでデマを発端とした買い占めがおきたというニュースは既にあった)。

●さらに自分で調べる(ある程度の経験則を必要とするので、非推奨)
・発信元が辿れて明らかな場合は、アカウントのプロフィールを確認して実名かどうかを確認する。または、そのアカウントの他の投稿を確認し、「バズる投稿」ばかりしていないか、直近の無関係な投稿があるか、あたりを確認する。
・画像・映像であれば、全く同じものばかりが拡散していないか、他の角度や他の地域で撮影された投稿はないかを確認する。
・デマの場合、ほぼ同じ文章がコピペ拡散されるケースが多いので、「“製造元が中国で生産が滞る”」と“”をつけてWEB検索し、同じ文章ばかりが投稿されていないかを確認するという手もあります。

※但し、すぐに命に関わる情報は、周りに悪い影響やパニックを与えない範囲で冷静に速やかに行動をとることも大事。災害時の避難など、結果的に取り越し苦労になったとしても行動をとることで命が守られる場合がある。

ここまで読んでいただけた方ならわかると思いますが、当然これは「一個人の見解」です。自己矛盾ですが、ここまで書いた文章の中にも当然「ツッコミポイント」はいくつもあるはずです。どの部分を信じてどの部分を信じないかは、一人ひとりの判断にかかっています。
ただ、もし一つだけ、信じてほしいお願いがあるとするなら「良い内容、悪い内容関わらず脊髄反射的なシェアはしない」ということです。(その3へ続く?)

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