【アコンカグア】メンドーサで行う登山準備まとめ【2023/24シーズン時点】
南米最高峰アコンカグアへ、自己手配で登山した際の記録です。
今後アコンカグア登頂を目指す旅行者・登山者の参考になれば幸いです。
この記事は個人登山に関する内容の為、パッケージ登山については現地エージェントのホームページ等を参考にしてください。
こちらの情報は2023/24シーズンの情報です。
アコンカグアに関する料金やルールは年度毎に変更される事があります。
アルゼンチン入国前にすること
登山用品の購入・準備
アコンカグア登山の拠点となるメンドーサには登山用品店が数店舗あります。
しかしながらどの店舗も日本の登山用品店と比較すると小規模であり、品揃えも決して良いとは言えず価格も高いです。
また、レンタルでほぼ全ての装備を揃えることも可能ですが、こちらも非常に高額です。
日本から直接来る場合
装備を持っている方は自前で持ってくることをお勧めします。
装備を持っていない方の場合はインナーや靴下などは事前購入を。
(現地購入も可能ですが、サイズ等選べない可能性があるため)
高所用ダウンジャケットやハードシェルを除くウェア類も自前で準備するのが良いでしょう。
冬靴やハードシェル、テント等は高額な為、購入するかレンタルか迷う方もいると思います。
・メルカリ等で中古品を購入する。
・新品を購入して売る
などの方法がレンタルより安くつく可能性も大いにあり。
チャリダーやバックパッカーで隣国等からくる場合
冬山登山靴、アイゼン、寝袋などはレンタルが良いと思います。
インナーやトレッキングパンツ、靴下などウェア類や保温ボトル等、現地での購入は選択肢がかなり限られます。
安いもの、体のサイズに合うものが必ずしも購入できるとは限りません。
事前に近隣国の首都やアンデス地域の登山拠点の町などで、良いものがあれば購入しておくのが吉。
🇨🇱チリ/ サンティアゴ
登山用品店や自転車屋、スポーツ用品店のみが集まった大型モール。
🇵🇪ペルー / リマ
チリ発のアウトドアショップ。クスコにも店舗がある。
🇵🇪ペルー / ワラス
ワスカラン国立公園を観光する際、拠点になる町。登山用品店は数軒あるがここが品揃え多め。
🇪🇨エクアドル / キト
チリ発のアウトドアショップ。Tatooの店舗の中では1番大きいと思う。
🇧🇴ボリビア / ラパス
この通り沿いに登山用品店が集中している。
🇦🇷アルゼンチン / ブエノスアイレス
ブエノスアイレス市内にもいくつか登山用品店あり。
米ドルの準備
これに関しては必ずしも必須ではありません。
実際、僕達はほぼ全てカード払いにて完結することが出来ました。
しかしながら2023/24シーズンでは、登山エージェントやレンタル用品店において、米ドル現金払いのみ可能というケースが多々ありました。
2024/25シーズン以降の対応はどのようになるかわかりませんが、米ドルをあらかじめ準備しておいた方が確実です。
メンドーサのATMでは基本的にアルゼンチンペソしか下せません。
両替商にて「アルゼンチンペソ→米ドル」換金はできますがかなりレートが悪いのでオススメできません。
メンドーサでの準備
この記事におけるメンドーサの中心部とは、観光・商業の中心となるPlaza Independencia(独立記念広場)周辺の事を指しています。記事の後半に地図も掲載しているので参考にしてください。
荷物を保管できる宿泊施設の確保
メンドーサはワインの名産地でありワイナリー巡りなどの観光もあるため、バックパッカー向けの安宿から、シェラトンのような高級ホテルまで宿泊施設は数多くあります。
アコンカグア登山の準備に必要な施設や店舗は中心部に集中しています。
街の中心部に近い宿であれば全て歩いて行くことも可能です。
また、メンドーサではUberなどのライドシェアも利用出来るので、中心部に近い宿であれば基本的に困ることはないかと思います。
荷物の保管に関しては宿に確認するしかありません。
予約サイトでは預かり可能となっていても、長期間可能とは限りません。
宿を予約しておく場合は事前にWhatsAppなどで、荷物の保管が可能か確認しておくのが良いでしょう。
僕たちは自転車もあったため数軒現地で聞き込みをして決めました。
アコンカグア登山後すぐに移動される場合などは、登山エージェントに荷物預かりをお願いするのもひとつです。
メンドーサの治安
メンドーサの治安についてネットで検索すると「安全」という文言をよく目にします。実際、僕達の体感としても中南米の都市としては割と安心して過ごせる印象です。しかしながらそれはあくまで中南米の中ではです。
最低限の注意はもちろんのこと、気を付けないといけないエリアもあるのでサクッと紹介します。
アコンカグア登山の準備で動き回る市内中心部や、一般的に観光客が訪れるエリアはスリなどには警戒が必要なものの、日中であれば基本的に歩き回れます。
またシエスタの影響で、街の中心部には深夜まで営業しているお店も数多く、22時〜23時頃までは人通りも結構あります。
夜も歩いて行動できるエリアもそこそこありますが、歩く場合は必ず人通りの多い道を歩いて下さい。
宿まで距離がある場合や、宿周辺の人通りが少ない場合はUberなどを利用するのが良いでしょう。
バスターミナル周辺は治安があまり良くないです。
標高6000mで出会ったガイドさんには、天気や道など登山に関してではなく、「バスターミナル周辺を大きなザックを持って歩くと拳銃強盗に狙われるから気をつけろ」というアドバイスをいただきました。
泊まっていた宿のスタッフからは、日中であれば歩いて行っても大丈夫とのことでしたが、周囲に十分警戒の上、万が一強盗に遭遇した際は抵抗せずに物を渡すこと。
早朝や夜間など暗い時間帯のバスで出発もしくは到着する場合は、必ずホテルで呼んでもらえるタクシーやUberなど安全な手段での移動を。
また、中心部から外れた地域には治安の悪いエリアもあります。
普通は用もないと思いますが中心部から外れた地域に行く場合は、宿のスタッフなどに行ってはいけないエリアや、通らない方が良い道を必ず事前に確認して下さい。
ワイナリー巡りが出来るエリアは割と治安良いです。
登山エージェントで入山許可の取得・荷物運搬の契約
メンドーサには大手から小規模まで登山エージェントが多数あります。
登山エージェントでは様々な事を依頼できます。
ここでは個人登山に関する部分のみ紹介します。
まず最も大切なこと。
個人登山であってもエージェントを通さないと入山料が非常に高額になります。
下の表は2023/24シーズンの入山料ですが、エージェント無しの場合は1300USD、エージェントを利用する場合は800USDとなります。
その差はなんと500USD!!
「登山口からベースキャンプへの荷上げ利用」のみでもエージェント利用の金額となります。
何かしら特別な事情がない限りはまず間違いなく、エージェントを利用するのがよいでしょう。
それではここから詳細について説明します。
登山許可の申請
2023/24シーズンはローシーズン/ハイシーズンの設定はなく、一律で800USDでした。
登山許可の発行には条件を満たした山岳保険への加入が義務となっており、こちらの保険料が200USD。
海外旅行保険では高所登山は補償対象外であり、日本の山岳保険は物によるので現地での加入が確実です。
以前は入山許可の取得にあたって、登山エージェントでの申請→金融機関での支払い→観光局での許可証受け取りと複数施設での手続きが必要でしたが、2023/24シーズンは登山エージェントで全てが完結しました。
登山許可証の受け取りまでは2日前後かかります。
当初は申請2日後にINKA社のオフィスで受け取る予定でしたが、3日かかったため宿まで持って来てくれました。
なお、申請に関する方針や金額は年度毎に変更されるので、メンドーサ州のホームページや登山エージェントで確認して下さい。
登山口からベースキャンプへのムーラでの荷上げ
登山口からベースキャンプ「プラザ・デ・ムーラス」までは距離25km・標高差約1450m。一般に2日、高所順応で南壁へのトレッキングを挟む場合は3日かかります。
ベースキャンプ以降の食料や高所でしか使わないブーツやアイゼンなどを、エージェントに預けてムーラでベースキャンプへと運搬してもらうことができます。
荷物の運搬は重量ごとに金額が決められており、複数人でその枠をシェアすることが可能です。僕達は夫婦+友人の3人で最も安い「60kg / 340USD (INKA社の金額・1人あたり113USD)」を依頼しました。
エージェントに荷上げを依頼することで、各キャンプでトイレを利用できたり、水やお湯をいただくことが出来ます。
また、下山時もムーラによる荷下げが可能です。事前の申請もできますが、ベースキャンプで直接申し込む事もできます。
通信障害等が無ければクレジットカード払いもできますが、荷下げの依頼も考えている場合は米ドルを準備していく事をおすすめします。
メンドーサから登山口への送迎
メンドーサの街から登山口は約200km離れています。エージェントで送迎を依頼する事もできますが非常に高額です。
個人で移動する場合はタクシーのチャーター、Uberなどのライドシェア、バスの3択。バスが最も安くオススメです。
バスターミナルは中心部から東に2km弱。僕達はAndesmarという会社を利用し片道4750アルゼンチンペソ。レートによりますが日本円で650円〜800円ほどで移動できました。
各キャンプ地や登山口での宿泊・食事
ここでは初日のキャンプ地となる「コンフルエンシア」及びベースキャンプ「プラザ・デ・ムーラス」についての情報のみ紹介します。
ご覧のように非常に高額となっております。なので僕達は利用しませんでしたが、体力に不安がある場合などはコンフルエンシアで宿泊・食事を利用することで、ほぼ荷物を持たずにベースキャンプまで歩く事も可能です。
ベースキャンプより上部の食事や、荷上げもエージェントによっては依頼可能。なお、金額…
入山前、入山後に登山口での宿泊も可能です。
アコンカグア登山の大手エージェント
INKA
2023/24シーズンは全ての支払いをクレジットカードで済ませることができました。日本人の大半はここかLANKOを利用している印象。僕達が利用したのもINKAでしたがスタッフの対応もよく、ガイドの皆さんも天気やルートについて快くアドバイスをしてくださり助かりました。
LANKO
2023/24シーズンは全ての支払いで米ドルの現金払いのみでした。日本人の利用者も多く、利用した友人からもとても良かったと勧められました。金額的にはこちらの方が安かったのですがカード払い不可だったので諦めました。
他にも多数のエージェントがありますが、個人登山の場合はこの2つのどちらかに依頼するのが確実かと思います。
登山用品店にて装備品のレンタル及び購入
メンドーサ市内で登山用品のレンタルを行っているのは3店舗(2023/24時点)。2023/24シーズンは全ての店舗が基本的に米ドルの現金払いのみの対応でした。
交渉次第でカード払いが可能な場合もありますが確実ではありません。ユーロ払いももしかしたら可能かも。
割となんでもレンタルできます。レンタル期間はアコンカグア登頂を目指す場合「1週間以上20日以内」の金額になるため、数種類借りる場合はかなり高額になります。とはいえ、無いと命に関わるものはケチらず必ず借りるか、自前で準備しましょう。
ハイシーズンには希望の品がレンタル出来ない事もあるそうです。
複数店舗にまたがってレンタルしないといけない場合もあるので、想定外に時間を取られることがあります。
レンタル品の状態については正直、当たり外れがあります。新品に近いものに当たる事もあれば、同行した友人の様に寝袋・テントのジッパーが壊れてしまうなんて事もあります。
自前の装備で挑戦するのに比べるとアクシデントも起こりやすいので、やや難易度が上がってしまう部分もあるかと思います。
そこも考慮して買ってくるのか、借りるのかを考えると良いでしょう。
20日分の食料の準備
メンドーサは大きい街なのでスーパーなどの食料品店は多数あります。中心部から歩いて行ける範囲にカルフールが複数あるほか、市場もあります。
なので一通り現地でも準備はできますが、日本と比べると食材の種類も調味料の種類も少ないです。
高所では思うように食べられないこともあるので、不安であれば日本からある程度持ってくるのが良いでしょう。
その際はアルゼンチンはもちろん、経由地となる可能性が高いアメリカに持ち込みが可能な食材かのチェックを忘れずに!
サンティアゴやブエノスアイレスでも日本食材は手に入りますが割高です。
Carrefour Hipermercado
中心部から歩いて行ける範囲でおそらく最も大きいスーパー。食料品の他、生活雑貨も幅広く取り扱っている。水筒やジプロックなどもここで買える。なぜか「だしの素」が売っていた。中心部に近いところには食料品のみ扱うカルフールも2店舗ある。
Mercado Central
野菜の種類はスーパーより豊富。肉類や魚介類も充実している。乾燥椎茸や乾燥トマト、調味料類を量り売りしてくれる店がある。
メンドーサ中心部の地図
ざっくり現地で必要な経費
アルゼンチンは経済が不安定な為、1年で大きく変動している可能性があります。あくまで参考程度に見てください。
さいごに
登山エージェントやレンタル店など、オンラインでのやり取りもできるので事前にある程度の準備も可能です。
とはいえ最後はメンドーサで、現地でどうにかしないとなことも多々あり。
スペイン語圏にしては英語でもなんとかなる率の高い街ではありますが、「スペイン語わからんすぎて困った!」「どこいけばいいねん!」って時に、助けとなれば良いなーと。
ただ、何度も言うてますけど「アコンカグア登山に関する手続きや金額は毎年変わる」ので鵜呑みにはしないように!
それからメンドーサの「カルフール」はヨーロッパや台湾と違って品揃えがあんまり良く無いです。ほんまに。
棚の端から端までおんなじ物が陳列されてたりします。アルゼンチンのスーパー南米で1番ワクワクしない…でも肉とワインはめっちゃ美味しいんで。
登頂できた方も、残念ながら撤退になった方も
ぜひメンドーサの街で美味しい牛肉とワインでお疲れ様会を!
それでは!よい登山を!
メンドーサから登山口への移動や登山の流れも気が向いたら記事にするかもです。