KADOKAWAサクラナイツ優勝 朝日新聞Mリーグ2021-2022
筆者が大好きな麻雀の欠点、それは時間がとにかくかかることだ。
最近は麻雀を打つことはもちろんできておらず、観戦もままらない。以前はあんなに観ていたMリーグもあっという間にセミファイナル、ファイナルと進んでいき、優勝チームが決まった。
2021-2022シリーズ優勝はKADOKAWAサクラナイツ。
最終半荘で三チームに現実的な優勝の可能性があったが、接戦の中、ゴール前でぐいっと抜け出した。
今シーズンは最終半荘しかほぼまともに見れていないが、それでも満足できるほどの濃い展開。優勝のみを目指すが故に生まれる緊張感という点において、2019-2020シーズンの最終半荘と同等以上であったと思う(U-NEXTパイレーツ優勝)。
サクラナイツは魅力に溢れたチームである。個人的に過去1番の名シーンは内川選手の四暗刻単騎放銃だ。皮肉でもないし、貶めているわけでもない。
あのシーンはプロ野球に例えれば
巨人槙原 甲子園バックスクリーンへの本塁打3連続被弾
日本ハム片岡 松坂投手デビュー戦で剛球ストレートをフルスイングで空振り三振
に匹敵すると言っても過言ではない。
トータルスコアを戦略的に考えた上での上がり見逃し。大長考の末に放たれた河底の西。そしてその後の苦悶の表情。
様々な要素が絡み合って生まれたあの名場面は繰り返し観られてもその価値が失われることはない。今後もMリーグの歴史を語る一場面であり続けるだろう。
そして、そのような名場面を生んだサクラナイツ。個人的にそれに匹敵する良いシーンがあったので紹介する。
優勝後のインタビュー。足の負傷のために座ったままの堀選手に各場面の思考を聞く中、内川、岡田の両選手が我慢できないといった感じでこう聞いた。
『ほら、あれ、六萬、あのカン六萬は?』
南4局トップ目の親番でツモってきたカン六萬で上がらない選択があったかを確認したかったのだ。
優勝後の歓喜から徐々にプレッシャーから解放されていく安堵感も混じった雰囲気の中で、堀の答えは
『人として、、あれはねー・・・、上がるよね。』
と選択肢にあったはものの、リスキーな選択を取れない心情を吐露した。
一つの選択を皆で検討する楽しみを麻雀に没頭したことのある人なら分かるだろう。
まるで控室で交わしているような、あのさりげない会話に、麻雀の魅力が存分に込められていた。
Mリーグが始まって早4年。
今後、Mリーグの浮沈を握るのは、記録ではない。どれほど視聴者の記憶に残るシーンを生み出し続けられるかだろう。
そのようなシーンの一つに、私は優勝後の三人の会話を推す。