2019Mリーグ最終戦を振り返って

6月23日火曜日の夜、2019シーズンのMリーグが終わった。まだ、結果を知らない人はぜひAbemaTVで見てほしい。以下は最終日の結果を書いており、ネタバレとなるのでご容赦を。




結果はパイレーツの優勝。レギュラーシーズンはもとより、昨シーズンから派手さがなく、どことなく地味な印象が拭えなかったチームが最終日の主役として躍動し、光輝く優勝プレートを手にした。

ドラ単騎のチートイダマ、9sを押しての6p単騎テンパイ取りなど、戦術的な話は他の人に任せ、戦術以外で印象的な場面を振り返りたい。

『試合が終わってすぐ、チームメイトと会ったとき』


通常とは異なり、チーム全員で優勝インタビューを受けるパイレーツ。松本アナから上記の感情を聞かれ、感情の起伏の少ない小林剛プロはこう答えた。

『泣きそうな人が二人と、能天気な人が二人がいて。大体予想どおりだな、と。ただ、(チームのメンバーを見て)ちょっとゾクッとしましたね。』

長くMリーグを見たファンであればより楽しめたコメントだったと思う。麻雀の『流れ』を単なる偶然と切って捨て、捨てた牌を連続でツモってきても平然としていられる小林剛プロの発言なのだ。

それぞれの性格を理解しあい、優勝の喜びを分かち合えた気持ちが現れており、麻雀が団体競技として発展していく可能性を大きく感じたのは筆者だけではない。

『優勝を確信した瞬間』

表彰式の壇上で聞かれ、小林剛プロはこう答えた。

『最後、魚谷プロが残念そうにツモ切るまで確信はなかった。これだけ流局まで緊張しながらベタオリして、長く感じたのは競技人生で初めてだった。』

これは一番目にあげた松本プロとのやり取りではなく、優勝決定から1時間以上経った上でのコメントである。これまで輝かしい成績と様々な経験を積んできたプロをしてこの台詞を言わしめたMリーグという大舞台。

発言しながら、やや感極まっているように見えたのも私だけではないはずだ。


そして、あと一歩、オーラスの条件を満たした瞬間で言うとあと半歩で優勝だったセガサミーフェニックス。

最終日、ラスを避けたい一戦目で起用された近藤プロのラス(連続放銃)。果敢に局を流ししに行ったが、ドラ南で痛恨の放銃となったシーンなどはファンでなくとも顔を歪めてしまう、辛い展開だった。

ただし、チーム名であるフェニックスの名に劣らず、オーラスで跳満ツモ条件(満貫直撃条件)を満たし、小林剛プロを追い詰めたその戦いは2019Mリーグの価値をさらに高めたといっても過言ではない。一牌の後先で優勝が決まるという麻雀の醍醐味を体現してくれた。

今日の敗北が、未来の勝利への伏線だったと言えるよう、来年以降に期待したい。

また、渋谷アベマズ・KADOKAWAサクラナイツの両チームは親が流れてからは現実的な優勝可能性がなく、ある意味難しい麻雀となった。

ただし、黒子として徹したその麻雀は明らかに洗練されており、あのオーラスの場面を作り上げた一員であった。目立ちはしないが、実況、解説ともにその振る舞いにも触れていて報われたのではないだろうか。


以前から筆者は、良き敗者たれ、と書いている。https://note.com/shakegohan777/n/nd42e18c56745

2019Mリーグの最終戦、良き敗者が良い半荘を作り上げた。この半荘は長く記憶に刻まれることになるだろう。

そして、来シーズンもそのような半荘が見られることを期待している。Mリーグの一ファンとして。


あー、おもしろかった。

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