きみたちにサンタは来ない なぜなら俺がトナカイを食べたから
どうも、シャカ夫です。
皆さんのところには、サンタはやってきますか?
私のところには、私が小学3年生のとき以来やってきていません。
そのせいで小学4年生からは、サンタが来てくれない私を哀れんだ両親がプレゼントを買ってくれるようになりました。
以降もプレゼントをもらい続けた私ですが、それは両親が懐を痛めてくれたおかげに他なりません。
もし、ずっとサンタさんが来てくれていたなら、両親がポケットマネーを切り崩すこともなかったのです。
そして、私のもとに来なくなった後も、依然としてサンタは私以外の子どもにはプレゼントを届け続けました。
サンタはいい子のところにしか来ない……とはいいますが、当時10歳程度に過ぎなかった自分の素行に、大きな問題があったとは到底思えません……。
どうして? どうして他の子のところにばっかり行ってしまうんだ?
どうして私のところには来てくれなくなったんだ?
こうしてサンタへの不信感は毎年積もりに積もり、サンタに見放されて16年経った今年、恨みを抑えきれなくなった私はこう思いました。
全ての子どもたちのもとにサンタが行けなくなったら、私だけプレゼントをもらえない苦しみを味わうこともない。
そう、サンタがどこにも行けなかったら、不幸という平等が世界中にもたらされるんだ。
この「答え」を得た私は、横浜のある店に向かいました。
それが……
珍味、奇味、怪味なんでもござれ、ジビエ専門店「珍獣屋」です!
ここではスズメからウーパールーパーまで様々な珍味が味わえます。
そして何より、今の季節限定でこんな料理が提供されているのです。
見た目ではわかりにくくても、話の流れでこれが何かは大体予想がつくでしょう?
そう、トナカイのしゃぶしゃぶです。
一夜にして高速で移動するサンタにとって、ソリを引くトナカイの存在はまさに生命線。
そのトナカイを食べることによって、サンタが子どもたちの家を回ることをできなくするのです。
残念ながら、今年のクリスマスはあなたの家にサンタは来ません。
なぜなら俺がトナカイを食べるから。
というわけで、専用のお出汁に火をつけて肉を投入していきます。
ちなみに、団子状になっていたのはトナカイ肉ではなくリスのチタタプ。リスの肉をつみれ状にしたものです。これもうまそう。
いい具合に煮えてきましたので、トナカイの肉をしゃぶしゃぶして食べると……
美味い!!
臭みのない素直な風味に、濃厚な舌触り。奥深い脂のなめらかさが華やかな食体験を演出します……!
いつか食べたシカ鍋よりおいしいですね。味噌が効いたつゆも絶妙です。
リスのチタタプも良い~~~!
イメージよりもずっとしっかりとした力強い味。肉って感じですね。やはり、食べる割合が「全身」に近いほど、感じる生命力も強まるのかも。
冗談抜きでおいしいので、日本酒も進む進む。
すぐに霜降りトナカイ肉をたいらげた私は、当然のように追加のジビエをオーダー。
うっひょ~~~~~!!!!
カンガルーは中東風の味付けですねぇ!
多様なスパイスが、私の食欲をさらに高めてくれます。
そして特筆すべきはハクビシンのおいしさ!
家畜がもつようなある種の臭みが全くなく、そのうえで濃厚な脂としっかりとした赤みの触感。がっつりな炭火焼にもかかわらず、すんなり喉を通っていきます。
ハクビシンは、肉としてのレベルが一段高いと感じました。
牛ではなくハクビシンを家畜にした方がいいのでは?……と感じたほどです。
そして、最後はこちらを注文。
「人食いザメのから揚げ」とのこと。
おどろおどろしい名前とは裏腹に、その味は実に淡白で上品。
外洋を荒々しく泳ぐ海のギャングではなく、清流をたゆたう川魚の方がイメージにあっているでしょう。
揚げ物にもかかわらず、脂を含んだ口腔内を整えるのに最適な一品でした。
最後は鍋をおじやにして〆てフィニッシュ。
トナカイおよび数々の「命」を心ゆくまで堪能したのです。
ふぅ~。
…………………………………
こうして私は、きっちりとサンタの「足」を奪いました。
今年はソリの引手は誰も現れないことでしょう。
私の勝ち、そして全世界の子どもたちの敗北です。
世の親御さんたちは、潔く自腹で経済を回していきましょうね。
それでは皆さん、寂しいクリスマスをお過ごしください。
~ Not enough Christmas to you ! ~
それでは。
(終)