#107 西サハラでは何が起きている?

地図帳で白色になっている西サハラ。モロッコとの国境は点線で記載されている場合が多い。西サハラでは何が起こっているのか。

西サハラは、元々スペインが領有していた地域である。1975年に、モロッコの国民が西サハラの領有を主張するための行進(緑の行進)を行うと、スペインは領有権を放棄、その後、モロッコとモーリタニアが西サハラを分割したが、モーリタニアは1979年に領有権を放棄した。
モロッコの領有に対し、ポリサリオ(西サハラ民族解放戦線)が抵抗し、戦闘が発生した。ポリサリオはモロッコと敵対していたアルジェリアの支援を受け、アルジェリアの首都アルジェで亡命政府をつくり、サハラ・アラブ民主共和国として独立を宣言。アフリカ諸国などおよそ40か国が国家として承認している。日本を含めた先進諸国はモロッコとの関係を考慮し、サハラ・アラブを国家として承認していない(しかし、モロッコの西サハラ併合も認めていない)。
西サハラの所有をめぐって国民投票も計画されているが、投票権を誰が持っているのかについて議論がまとまらず、実現には至っていない。

モロッコとポリサリオの紛争は1991年に国連の仲介で停戦したが、モロッコは南北2700㎞に及ぶ「砂の壁」とよばれる分離壁を建設し、実効支配が続いている。砂の壁付近では、現在でもモロッコとポリサリオとの小規模な衝突が発生しており、民間人が巻き込まれるケースもあることから、外務省はポリサリオの勢力下である砂の壁以東の地域には渡航中止勧告を出している。

このように、日本は西サハラにおけるモロッコとポリサリオ双方の領有権を認めていないため、地図上で西サハラは白色になっているのである。

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