#185 地中海性気候はなぜ夏に雨が少ない?
中学校の教科書には、「地中海性気候は夏に雨が少なく、乾燥に強いオリーブやかんきつ類などの栽培がさかんである」といった記述はよく見かけるが、そもそも地中海性気候ではなぜ夏に雨が少ないのだろうか。
地中海性気候が分布するのは、大陸の西岸の緯度が30度から45度の地域である。地域の分布には亜熱帯高圧帯と亜寒帯低圧帯が大きく関係している。
赤道付近の空気は強い太陽光によって熱せられ、上昇気流をつくる。赤道付近で上昇空気が吹き下ろす場所が亜熱帯高圧帯である。亜熱帯高圧帯の分布する緯度が30度前後の地域では、下降気流によって雲が発生しづらいため、降水量が少なく、砂漠が形成されやすい。
一方、赤道上や亜寒帯低圧帯では雨が多くなりやすい。
この低圧帯と高圧帯の分布は、太陽の当たる角度によって決まるため、季節によって微妙に位置がずれる。
地中海性気候が分布する北緯30度から45度の地域では、気温が高い夏に亜熱帯高圧帯の影響で雨が少なくなり、冬は亜寒帯低圧帯の影響で雨が比較的に少なくなるのである。
また、熱帯のサバナ気候で雨季と乾季がある理由も地中海性気候と同じである。サバナ気候では北半球では7月ごろに熱帯収束帯が北上するため雨季となり、1月ごろは亜熱帯高圧帯が南下するため乾季となる。そのため、サバナ気候と地中海性気候の降水量の年間の分布は真逆となる。
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