#95 なぜ日付変更線は曲がっている?

日付変更線は、1884年にワシントンで開かれた万国子午線会議で、ロンドンンのグリニッジ天文台を通る子午線を本初子午線(経度0度)と定めたのと同時に、東経・西経180度の経線に沿って引くという原則が定められた。
しかし、日付変更線が陸上に引かれてしまった場合、同じ国の中でも日付や時間に差が出てしまう。日付変更線を管理する国際機関はないため、日付変更線上の国では、日付変更線をどこに引くかは自由に定めて良いということになっている。

日付変更線の最も大きな屈折をつくっているのが太平洋の島国キリバスだ。小さな島々からなるキリバスは、国家の領域が東経170度付近から西経150度付近にかけて広がっている。
ロシアやアメリカなど国土が大きい国では複数の標準時を定める場合があるが、キリバスは標準時に加えて国土内で日付も変わってしまう。このことで、キリバス内の日付変更線の東側の地域と西側の地域で役所間で連絡が取れるのが双方が平日の週4日しかないという状況になってしまった。

そこで1995年1月1日、キリバスは日付変更線の東側の地域の時刻を24時間(1日)進める措置を取り、国内の日付を統一すると国際社会に通告した。(ちなみにキリバスの首都タワラは日付変更線の西側にある)
その結果、日付変更線はキリバスの国境線に沿って大きく東に屈折した形となり、キリバスは世界で最も早く日付が変わる国となったのである。

キリバス東端のカロリン島(西経150度)では、時差が基準となるイギリスと比べて+14時間となっており(経度は180度までなので本来は±12時間以内になるはずである)、世界で最も日が昇るという意味で「ミレニアム島」と改名された。

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