#89「日本」の正しい読み方は?
「日本」の正しい読み方は「ニホン」か?「ニッポン」か?
結論はどちらも正しい。
「日本」という国名が使われるようになったのは、律令制が成立した700年ごろと言われている。それ以前は「大和」を国名としており、中国からは「倭国」と呼ばれていた。
「日本」は平安時代に訓読みで「ヒノモト」と呼ばれていたように、太陽が昇る国という意味である。当初は「ニッポン」と呼ばれていたようだが、江戸時代ごろに「ニホン」という呼び方が広まったという。
1934(昭和9)年に文部省が「ニッポン」に統一表記する案を政府に提出したが、正式決定には至らなかった。
1946年の日本国憲法発布の際も議論されたが決定されず、東京五輪を控えた1961年に検討された際も統一には至らなかった。
1964年の東京五輪では、選手のユニフォームの国名をローマ字表記する必要があり二者択一がせまられたため、「NIPPON」に統一した。それを踏まえ、1970年に佐藤栄作内閣が「ニッポン」と読むことを閣議決定したが、強制力をもつものではなかった。
今日でもNHKでの報道や切手、お札などは読み方が「ニッポン」で統一されている。
しかし、日常会話では日本酒、日本料理、日本語など、「ニホン」と読む単語も多く、「ニホン」と「ニッポン」が併用されているのが現状である。
なお、日本国憲法や大日本帝国憲法についても読み方は統一されておらず、どちらも正解である。(が、政府としては憲法に限らず「ニッポン」をおすすめしている)
例として、NHKでは「だいにっぽんていこくけんぽう」と呼んでいるのに対し、国立国会図書館のアーカイブでは「だいにほんていこくけんぽう」と表記されている。政府関係の機関でも齟齬があるという現状だ。
【参考】