第21話 未だに続く南京事件否定本の大量発行の背景
南京事件なかった説の流布は、歴史修正主義者の愚かさを証明するために大事な点なので、引き続き解説を続けます。
まず、この愚論が広くネットに拡散されたのは、産経新聞がヤフーなど主なポータルサイトに対して無料で(愚論の)記事の全文公開を行ったからだ。その記事を鵜呑みにする情報弱者が、どんどん洗脳されネトウヨになった。これは、ヤフーの投稿者がネトウヨだらけなのと表裏一体である。また、twitterのネトウヨが、彼らを洗脳した産経新聞の(愚論の)記事を引用拡散し、どんどん洗脳を続けていった。ねずみ算式に。
彼らは産経新聞に洗脳されたことにさえ、気づいていないのである。
ちなみに、同じフジサンケイグループであるフジテレビが韓国ドラマを放送するようになったときには、裏切られたとデモをしている(笑)。実に愚かだ。
2007年に発行された笠原十九司著『南京事件論争史』より、これらの動きが政府主導であることを解説していますので引用します。
(引用開始)
南京大虐殺事件の歴史像については、その歴史的遠因ならびに近因の分析もふくめてほぼ明らかになり、現時点での到達点をまとめたものとして、藤原彰『南京の日本軍』と拙著『南京事件』がある。この二書を読めば、歴史事象としての南京事件の全体像がほぼ理解できるはずである。(中略)
ところが、巻末の年表に明らかなように、昨今では、南京大虐殺否定説の本が史実派の本を上まわって、発行されている。
このような現象が起きるのは、現在の日本では「侵略戦争反省・謝罪決議」阻止勢力が政府の中枢を占めており、日中戦争が侵略・加害の戦争であったことを否定するためには、どうしても南京大虐殺は「なかった」ことにしなければならないからである。今後とも、文科省の教科書検定によって、現行の歴史教科書に記述されている南京大虐殺の記述を少しずつ弱め、将来的には削除させていくことがめざされるであろう。そのためには、否定論者、それも学者、メディアを通して流布、宣伝させておくことが必要となる。現に、2006年版の中学校歴史教科書の南京事件の記述は軒並後退させられ、2006年度の高校日本史教科書の検定では、南京事件をめぐり否定論もあることを書き、論争がつづいていることを記述せよという検定意見がつけられた。
このような時代状況のなかで、出版不況ということもあって、南京大虐殺否定本の出版に、老舗の文藝春秋、産経新聞社、新潮社に加えて、小学館、PHP、草思社、幻冬舎なども参入するようになり、出版メディアにおける否定派の巨大メガホンは増加傾向にある。
(引用終了)
その後、笠原氏の憂いは現実のものとなった。
加害国である日本の本屋には、嫌韓・嫌中のヘイト本が山積みされているのである。
この出版業界の恥ずべき状況を批判した山崎雅弘氏のtwitterでの投稿をまとめたものがあるので、ご覧いただきたい。
極論・暴論の「痛快な」出版物と、それが生む「憎悪」について 山崎雅弘
(これは、togetterというtwitterまとめサイトなのだが、コメント欄もあるので、そちらもお読みいただきたい。山崎氏を批判する #安倍ポチ の情報弱者のネトウヨがうじゃうじゃいるのである(キモイ)。
togetterで「ネトウヨ」のタグづけさえたまとめ一覧
↑これが反知性のネトウヨのカオスな世界なのである。どうして、こんなに馬〇なんだろう?
この〇鹿達に対して、正面から論破をしているのが山崎雅弘氏であり、これがそのtogetterまとめ(←プロフのリンク先にリンクあり)である。山崎氏の奮闘の中でも、下記のまとめは慧眼であり、知多郎 護憲君 も危惧している点である。
(PS 言葉が汚いところは、私、護憲君が書いています。私はネトウヨが大嫌いなのです。)
「歴史修正主義」の政治家に国政を委ねるリスクについて 《山崎雅弘》
どちらが賢者で、どちらが馬〇か、一目瞭然である。
↑前述の「極論・暴論・・・」のまとめは「霊に語らせる」などカルト宗教そのものの、産経新聞の愚かさを糾弾しているので是非読んでいただきたい。
なお、上記のまとめは、2014年のものであるが、実は、これは産経新聞が「歴史戦」を本格的に開始した年なのである。
産経新聞の「歴史戦」
の愚かさについて、山崎雅弘著『歴史戦と思想戦』より引用すると、
(引用開始)
歴史研究とは、過去の出来事について、その全体像を解明するために細部の事実関係を丁寧に検証していくことであり、研究の成果がどんな結論になるのかは、作業を進めている時点では誰も把握していません。あるひとつの新事実の発見により、それまで信じられてきた「こうではないかという仮説」が土台から崩れることも多々あります。
言い換えれば、歴史研究が尊重するのは個々の「事実」であって、最終的に導き出される「結論」ではありません。まず、「事実」があって、それを適切に配列した結果として導き出されるのが「結論」です。
これに対して「歴史戦」は、まず「日本は悪くない」という「結論」を立て、それに合う「事実」だけを集めたり、それに合うように「事実」を歪曲する手法をとっています。
(引用終了)
私 #知多郎 は「事実」を知り、それが日本の汚点であっても、後世に同じ過ちを繰りかえすことのないように願う反戦平和の社会科教師の端くれなので、この産経新聞の手段を選ばぬ「歴史戦」を忌み嫌っている。
もう一点、知多郎が安倍首相を嫌っているのは、二枚舌だからだ。国外には、政府見解として村山談話を踏襲しますといいながら、国内では加害の歴史をなきものにしようとして、侵略したことも認めない「歴史戦」を主導している。完全な嘘つきではないか?
安倍首相は、本心では、村山談話が大嫌いなのだから、これを破棄すれば良いのだ。しかし、そんなことをすると、アジアの国々を怒らせて、日本製品不買運動が起きて大変なことになってしまう。結局、二つの立場を巧妙に使い分けて、国内でのみ排外主義の信者を増やしているが、一歩間違えば戦争の原因にもなりかねない。むしろ、それを望んでいるようにさえ思える。こんな好戦的な指導者が首相を務めているのは、実に危険である。
賢いアジア人は、彼の本性を見抜いている。
このインスタ小説も、産経新聞や歴史修正主義者に対する #レジスタンス 活動なのである。