第3話 Google検索上位を妄信する情報弱者達
(著者注: #知多郎 は所謂ミリオタ(失礼な表現なら訂正します)ではないので、現実の海上自衛隊員の生活は知らない。隊員も架空である。おかしなところは、コメントで「紳士的に丁寧に」教えてください。修正すべきは修正します。
PS 自衛隊を批判する小説ではありません。自衛隊が戦争に巻き込まれないための小説です。誤解しないでください。)
第3配備で午前中の訓練も終わり、今から一時間強は昼食を兼ねた自由時間である。限られた楽しみである昼食を終え、自分の船室に、隊員たちが戻ってきた。
西郷は誰よりも早くベッドに横たわり、ヘッドホンで何か聴き始めた。
坂本は、持参した本を読み始めた。
麻生は、ベッドに腰かけ、独り言をつぶやき始めた。
「ああ、最初に叩き潰したかったのは、韓国なのに、なんで中東に向かっているんだ?それって何の意味があるの?わかんねえ!」
坂本が茶化す。
「また、麻生の韓国嫌いが始まった(笑)。こいつは、馬鹿だから、全く本を読まない。好きな本は何だと聞いたら、『鬼滅の刃』だと答えやがった(笑)小説かと聞いたら、勿論漫画で、全巻読破したそうだ(笑)本を読んだこともない幹部候補生とか、ありえんだろ?一般大学卒だとしても?
憲法が改悪されて、一般からの応募者が激減したとはいっても。」
司馬が補足する。
「こいつの家は、地元の名家で、こんなところに来る必要も勉強をする必要もなかったそうだ。しかし、あまりに不勉強な上に素行不良だから、さすがにどんな役職にもつけることができず、更生のために強制入隊させられたそうだ。コネでね。どんな手を使ったのか知らないが、海上自衛隊幹部候補候補生学校には入れたみたいだ。自衛隊で首になったら、絶縁されるらしい。こいつなりに、よく辛坊しているんだよ。」
麻生が反論する。
「確かに俺は、本は嫌いだ。でも、薬学の本だけは読んだし、マンツーマンの英才教育でその分野だけは詳しいのだよ。コネがなかったとはさすがに言わないが、俺なりに努力したんだ。薬学は入りやすいのも事実だったしな。また、勉強を始める前は、ほぼ24時間ネットサーフィンをしていたので、誰よりも真実を知っている。お前達が知らない韓国や中国の悪業も。日本がはめられたことも。知らないのは、お前達の方だよ。」
坂本が反論する。
「ネットで真実がわかると本気で思っているのか?」
「当たり前だ。googleで検索した上位に、真実のサイトが並んでいる。検索の一面を読めば、全てが分かる。当たり前だろ?」
「馬鹿だな(笑)。日本でgoogle検索すれば、日本人好みのサイトが上位に並ぶ。日本礼賛の情報しか上位には表示されないのだよ。耳の痛くなる負の情報は下位に沈む。例えば、『ユダヤ人を救った東条英機説』というのが、ネトウヨの間では通説になっているのだが、それがデマであるという反論は、google検索上位3面にやっと一つ出るだけだった。そんな具合だ。
俺はそれを自分で調べたことがあって詳しいんだ。そんな調子で、これから説明する日本会議が発信源のデマ情報が上位に並ぶようになっているんだよ。彼らがそのように誘導しているのだ。ほとんどの日本国民はそれに気づかないので、国民全体の右傾化が進んでしまっているのだ。そして、『まともな本』や『まともな新聞』も読まず、ネットの洗脳情報を鵜呑みにしていれば、自動的に反韓・反中の安倍支持者になる。お前のようにな。お前は典型的なネトウヨだよ。」
「何だと?!坂本はアンチ安倍首相なのか?そもそも、その日本会議って何だよ?俺はそんな組織は知らんぞ?」
「大きな声では言えないが、俺は安倍首相が大嫌いだ。残念ながら、俺の最高司令官だけどな。
はっきり言えば、彼のせいで、俺たちは、加わる必要のない戦争に駆り出され、命を賭けて戦わないといけないのだ。
愛する日本のために捧げるのなら、この命も惜しくはない。しかし、この戦争は米国が勝手に始めただけだ。イランと戦う必要などないんだ。なぜ、日本人の私が、トランプのために、そして、安倍首相の米国への忠誠のために命を捧げなければならないのだ?死んでも死に切れん。これから二週間は同じ船室で過ごすお前だから、安倍首相やその仲間達、つまり日本会議がどうやってネット民を洗脳したのか説明し、脱脳させてやるよ。日本会議の存在も知らず洗脳された、お前みたいな無知な奴が戦友だと、一緒に死ぬのも嫌だからな。」