第29話 憲法改悪のプロセス
下記はジャパンハンドラーズでもあるランド研究所(=尖閣諸島の中国漁船拿捕でも暗躍)のレポートだ。その解説を鵜呑みにせずに、逆に日本に憲法改悪をさせるためのシナリオであると逆読みして小説に活かすことにする。
参考資料 尖閣で日中開戦「5日」で敗北!米国に見捨てられる驚愕のシナリオ
https://ironna.jp/article/3692?p=1
坂本が嘆く。
「今回の憲法改悪は、領土問題がきっかけになってしまったな。
日本の極右が尖閣諸島に日本国旗を立てたことに対し、中国が軍艦を派遣して日本の活動家を拘束した。日本は海上保安庁が警戒にあたっているだけなので、軍艦と戦うことなんてできないから当然だ。
結局、右翼活動家は、未だに中国の刑務所にいるが、このことを産経新聞他、歴史修正主義者が大問題にしてプロパガンダを行った。
あれ?アフガニスタンで日本人が拘束されたときには「自己責任」と叫んでませんでしたか?右翼活動家は、同じ思想だから、救いたいのですか?本当にろくでもない奴らだ。
政府は直ちに緊急事態宣言を発令して、安倍首相に全ての権限が集約された。国会を開くこともなく、安倍内閣がこの問題に対処することになった。マスコミには、日本のためにならない報道は控える(安倍内閣の行いにとやかく言わない)ように指令が発動された。
この緊急事態宣言は、2020年の新型コロナウィルス問題のときに、国会で決められたものだ。伝染病のパンデミックを防ぐには、国の権限を強くすべきだと、野党もこの法案に賛成した。俺は反対だったがな。「ショック・ドクトリン」いう言葉があるが、知っているか?
これは、大災害などに乗じて、政府や大企業が、その被害の大きさを誇張し、国民にショックを与えて、自分達の都合のよいように国を動かすという手法なんだ。日本語訳すれば、「惨事便乗型資本主義」といったところだな。日本会議の重鎮でもある伊吹文明元衆院議長が、この新型コロナ騒動に乗じて「緊急事態の一つ、改憲の実験台に」と発言していたんだが、まさにその通りになったということだ。
安倍総理は衆議院を解散し、総選挙が行われた。
中国の脅威を煽り、平和憲法では日本を守れないと訴えた。
自民党別動隊の対米隷従派野党と、共産党は各小選挙区に必ず候補者を立てた。立憲民主党と国民民主党の連合もできなかった。裏ボスの菅直人が、小沢一郎と一緒になりたくないと最後まで反対したそうだ。
小選挙区制で、野党が統一候補を立てなければ、自民党が勝つに決まっている。中国の脅威を感じた国民は、ことごとく自民党に投票し、歴史的圧勝をさせてしまった。その勢いにのって、直ちに憲法改正の発議、国民投票と進んで、憲法が改悪されてしまった。
俺は逆だと思ったよ。自衛隊への憲法明記こそが、戦争の道だと。
ところが、先の戦争に続き、それでも、日本人は「戦争」を選んだんだ。歴史に何も学ばないからさ。」
麻生が反論する。
「あの軍事衝突を見れば、自衛隊を軍隊として憲法に明記しようと国民が思うのも当然なのではないか?」
「だろうな。しかし、これは一つのチャンスだったんだ。俺がもし首相なら、中国との関係を改善する機会にする。右翼活動家が勝手なことをしてすいませんでした、中国の法律でどうとでも裁いてくださいと。何であんな馬鹿のために、日本の国体を変えなきゃいけないんだよ。戦後75年以上、専守防衛の平和国家としてやってきたじゃないか?中国もそれを望んでいた。これからも、自由貿易の最重要相手国として仲良くしましょうと、平和的な解決に徹しただろう。
安倍総理にとっては、憲法改正の好機だったのだろうが、愚かなことだ。中国を仮想敵国ではなく敵国にしてしまったんだから。それを後押ししたのが、愚かなアメポチメディアなんだがな。尖閣諸島なんて、あんなちっぽけな島はどうでもいいんだよ。中国との自由貿易こそ、日本の生命線だったんだ。
中国との関係悪化で深刻な不景気が続いている。軍艦や戦闘機を増産しても、経済は明らかにマイナスだ。赤字だらけで、中国と軍拡競争する力はない。
俺の調べたところ、右翼活動家はアメリカのネオコンとつながりがあるらしい。尖閣諸島中国漁船衝突事件と同じく、ヤラセだったんだよ。結局、また、日本はアメリカに操られたんだよ。アメリカが仕組んでおいた領土問題が計画通りに機能し、邪魔な第9条を無効化したんだよ。」
「何で、そんなことを知ってるんだ?」
「『属国日本論』を知っているから、いろいろ深読みできるだけだよ。実は、今回の騒動は、アメリカのランド研究所(軍産複合体がスポンサー)による、尖閣諸島での軍事衝突を想定したレポートが元になっている。そのレポートでは、米中の軍事衝突と、中国による米国本土へのサイバー攻撃が想定されているのだが、その設定自体がおかしいんだよ。米中が軍事衝突したら損じゃん?米ソが一度も軍事衝突しなかったのは、経済的に損だからだ。なぜ、尖閣ごときのちっぽけな島を巡って、米中が戦うというのだろうか
?茶番である。このレポートは、単に、中国の脅威を煽り、日本政府に、早く自衛隊を憲法に明記し米国の武器を買えという脅しだったんだ。日中戦争は、その後に決まっているだろ?自衛隊を正式な軍隊としてから、大量に武器を売りつけてから代理戦争させる方が、アメリカにとって得だろ?そんなこと、誰でも分かるよ。アメリカの研究所のレポートは常にアメリカの国益のために書かれている。「アメリカ・ファースト」だ。日本のためだと鵜呑みにしてたら、そこらのアメポチと一緒だよ。」
「そうか。そんな風に日本は騙されて、米国のためにイラン戦争に参戦させられてしまったという訳か?虚しいな。ところで、何でアメリカはイランと戦争をするんだ?」