パパを見送る①
パパが亡くなってすぐ、あたしは無になった。パパに寄り添うお母さんはそっとしておいてあげたかった。すぐ親戚や、関係者に電話をし、葬儀社に連絡をし迎えに来てくれるようお願いした。
パパが入院していた病院は市立病院だったが、全てにおいて丁寧だった。
エンゼルケア(パパについていた機械や器具を外し、身体を綺麗にして着替え化粧をしてくれるなどの処置)の後も、葬儀社が迎えに来てくれるまで、十分に時間を取ってくれた。
そしてパパが病室から運ばれる時は、廊下全てにパーテーションが置かれ、他の病室から、パパが運ばれるのを見られないように配慮していた。そして地下の霊安室に連れて行ってくれた。看護師さん達は皆頭を下げていた
身内がお線香をあげた後、担当医、婦長さんもお線香をあげてくれた。ほんの数十分の為に、パパを霊安室に安置してくれた。そして、霊柩車が迎えに来てくれて、パパとお母さんを乗せて出発した。先生と婦長さん最後までパパを見送ってくれた。そしてあたしに「これから大変だと思いますが、お母さんを労ってあげて下さい」と先生は言った。あたしは心からお礼を言った。涙がこぼれちゃったけど…
病院の名前も、先生の名前も言えないけど、本当に感謝している。「私が最期まで診ます」と言ってくれたのは本当だった。今でも先生の名前は忘れない。他の病院に行ってしまったみたいだけど…
そして、パパが自宅に帰ってきた
時間が経つにつれて表情がどんどん柔らかくなっていく…
おかえりパパ