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国交委:奄美・小笠原特措法改正案 質疑(広田一2019/03/13)

奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(衆議院国土交通委員会)※要旨

特措法の目的・達成度

○広田一委員 いわゆる奄美及び小笠原振興開発特別措置法について我が会派は賛成だ。その上で何点かお伺いをしたい。
 まず目的についてお伺いしたい。両法律では第1条に奄美群島と小笠原諸島の自立的発展が目的の一つとして規定がされている。この自立的発展とは何かという問いに対して、過去の答弁を見ると、例えば平成26年3月10日、衆議院国土交通委員会の質疑では、「地域の魅力と資源を活用して、公共事業に過度に依存することなく内発的産業による雇用が創出され、経済社会の面で発展することが継続的に期待できる」としている。
 現状、いろいろな施策を講じて成果も上がっていると承知をするが、この奄美群島と小笠原署諸島の自立的発展の達成度についてはどう評価されているのかお伺いしたい。
○石井啓一国土交通大臣 両地域とも港湾等のインフラ整備は着実に進んだものの、地理的要因による自然災害への対応が引き続き必要であるとともに、生活面でも依然本土との格差が残されている。
 奄美群島では、前回改正で奄美群島振興交付金を創設し、農林水産物の輸送費や航路・航空路運賃の軽減を支援してきた。依然として人口流出は続いているが、社会減は縮小傾向にある。また、世界自然遺産登録に向けた取り組みとも相まって、入込客数が着実に増加し、平成30年には過去最高の88万人台を記録した。
 小笠原では、本土と1000キロメートル離れており、交通アクセスや医療等の生活環境面になお課題があるが、Iターンが盛んで、人口はわずかながら増加傾向が続いている。
 今後は、災害対応に万全を期すとともに、観光等の豊かな地域資源を生かした産業の振興や、交通アクセス等の定住環境の改善にハード・ソフトの両面から取り組んでいくことが重要と考えている。このため両法律の期限を延長し、その目的に明示されている地域の自立的発展に向けた取り組みを引き続き行うことが必要と考えている。
○広田一委員 奄美においては社会減が縮小している、小笠原諸島においては人口がわずかだが増加している、そういった成果等についてのお話があったわけだが、これは麦島局長で構わないが、そういった取り組みを進めながら何年後にいわゆる自立的な発展を実現すると予測しているか。
○麦島健志国土交通省国土政策局長 いつの時点で自立的に発展になるのかという点については大変評価が難しいと思っているが、いずれにしても今回法律の延長を審議いただいているが、この5カ年における取り組みについては、その効果について十分に把握に努め情報提供しながら、一方で条件不利性の改善状況等々のデータも揃えながら、その時点時点で皆様のご判断、ご審議を仰ぎたいと思っている。
○広田一委員 いつ達成するのかは非常に難しいことなのだろうと思うが、しからば、いつ達成するかわからないのに、離島振興法とか沖縄振興特別措置法は10年だが、どうしてこの二つの法律だけ5年になってしまったのか。確かに限られたエリアだが、奄美群島も小笠原諸島も非常に幅広いエリアを対象としている。これらも踏まえてご所見を伺いたい。
○麦島健志国土交通省国土政策局長 5年の有効期限の理由については、我々としては、奄美についても小笠原についても、一定の限られた地域を対象としている中で、やはりそれを取り巻く経済・社会環境の変化が非常に局地的に起きるということも踏まえ、我々の意識としては、少なくとも5年についてその成果を十分に検証しながら、そのときのあり方をご審議賜りながら法律のあり方を検討していただくというつもりで、この施策について取り組みを進めている。
○広田一委員 繰り返しの答弁なので、これ以上は聞き直さないが、不断に、5年であるということのメリット逆にを生かし、適時適切な対応ができるように各施策講じていただければと思う。

離島航路・代替船建造に対する補助率の低さ

○広田一委員 次に、代替船の整備について伺いたい。
 東京から父島を運行する定期船の「おがさわら丸」が経年劣化し、代替船である「新おがさわら丸」が平成28年に就航した。これは新船効果もあり2年連続で利用者もふえている。我が高知県でも宿毛から鵜来島間もそうだが、今後ほかの地域においても老朽化の進んだ船舶の代替として新造船の建設が進められるのだろうと思う。
 一般的に新造船をする場合は、地域公共交通確保維持改善事業費、この補助金の中のメニューの一つである離島航路構造改革補助金を利用することになるわけだが、離島航路事業者が市町村の場合、その補助対象事業、事業補助対象経費、そして補助金の額、つまり補助割合は現状はどのようになっているか伺いたい。
○水嶋智国土交通省海事局長 離島航路の補助制度においては、唯一かつ赤字の離島航路における船舶を代替建造する場合、一定の割合の補助を行っているが、公設民営の場合には補助率は3割になっている。
○広田一委員 公設民営ではなく、まさしく離島航路事業者が市町村である場合だ。
○水嶋智国土交通省海事局長 一定の要件を満たす船舶については、補助率は1割となっている。
○広田一委員 1割、10%だ。一方、電車の車両や、路面電車、バス、こういったものの購入に当たっての国の補助割合は実は30%だ。離島を結ぶ船舶と、鉄道や電車、これは同じ公共交通だ。特に離島を結ぶ船舶の場合、それが内地からの代替手段のない唯一の交通手段ということになれば、これは人を運ぶだけではなく、その島に住む皆さんの生活必需品を運ぶなど、島民の皆さんの日常生活を支える、まさしく命の航路だ。その意味においては、電車や鉄道以上に公共性が高いと言えるのではないか。しかも離島航路の場合は、宿命的に赤字が常態化しているところが多いと承知をしている。だからこそ離島航路の運営費補助金という制度もあり、実績の欠損額に対する国や自治体からの一定割合が50%だとお聞きしているが、支援措置がある。
 離島航路の代替船の整備に対する支援は経済政策というより社会政策であると考えているが、鉄道や電車と比べて補助割合に3倍もの差があるのは余りにも合理性に欠けバランスが悪いのではないか。少なくとも、この補助割合を電車や鉄道と同等の3割に引き上げるよう検討すべきではないか。
○水嶋智国土交通省海事局長 ご指摘のとおり、離島航路が地域の住民の生活の足として果たす役割は非常に大きいものと考えている。このため、離島航路についてはさまざまな補助制度がある。先ほど申し上げたように、船舶を代替建造する場合、公設民営の場合は最大3割の補助をしているが、実際各地域において船舶の高齢化を踏まえて代替建造を行いたいというニーズは高まっており、多くの事業者の方々にこの補助制度をご活用いただいている。
 離島航路の補助制度全体を考えると、実はこの船舶の代替建造のほかにも、運営費補助、あるいは離島の住民の方に対する運賃補助なども行っていると。そういった全体の予算をどう考えていくかだと思っているが、予算の制約もある中で、代替建造については最大で船価の3割という水準になっている。
 いずれにしても、全国の離島航路を維持していくためにどのような支援のあり方が望ましいかという点については、不断の検討を行ってまいりたい。
○広田一委員 財務当局との調整が必要であり、限られた予算・財源の中で非常にやりくりをされ、近年の予算額を見ても、非常に厳しい財政制約の中でやられていることは十分に承知しており、海事局中のそういった予算のやりくりというのは非常によくわかるが、公共交通という観点に立ったときに、ほかのものとのバランスを考えたときに、唯一の交通手段でもあるわけで、そういったことを踏まえると、1割というのは余りにも低すぎるのではないか。せめて同じぐらいの引き上げが必要ではないかなと思うので、最後もう一度ご決意も含めて伺いたい。
○水嶋智国土交通省海事局長 ご指摘のとおり、さまざまな財政的な制約があるわけだが、そういった中でどういった支援のあり方が最善の方法であるか、引き続き検討を深めてまいりたい。

(以上)

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