砂になる
近頃、自分の心から湧出する言葉が、月並みな言葉ばかりになってきたように感じる。
どこかで聞いたことあるような、"JPOPあるある"みたいな、子供の頃教師に押し付けられたような、普通でつまらない言葉。
昔は漠然と自分が特別な気がしてた。
自分だけに生み出せる何か、他の人は持っていない何かを持っているような気がしていた。
だから発信したいことがたくさんあったし、発信することに躊躇いがなかった。
色々なことにぶつかって、削れて、角が取れて丸くなって、どこにでもある形に近づいていく。
石が川を流れ下り続けて、一個体として認識されない砂粒の1つになるように。
わたしもそんな何者でもない砂粒になるのだろうか。
わたしはまだ、砂粒なりの幸せを素直に喜べるほど大人になれない。
消えたいほど苦しまなくなったけど、沸き立つような喜びも少なくなった。
仕事への情熱も、恋愛で感じる激情も、薄れていくばかりで、まだ先が長いかもしれない道のりに辟易する。
発信したって意味のない、誰かが既に言っていたような言葉しか湧き出てこない。
言いたいことも伝えたいこともなくなって、自分が自分として存在することに虚しさが募る。