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2022/6/19 鍋島焼―200年の軌跡―@戸栗美術館 絵のある陶磁器ー仁清・乾山・永楽と東洋陶磁ー@三井記念美術館

展覧会のはしご、ということで、都内へ。
渋谷駅の人混みを抜けて高級住宅街にある戸栗美術館へ。旧藩主やら身分の高い方のお屋敷跡地ともあって、同じ渋谷なのに東急本店の表と裏で全く表情が違う。
なくたって固定資産税高いのに、よくこんな広い戸建という名の邸宅を持てるよな~、と閑静な町並みを抜けながらため息。

戸栗美術館は「鍋島焼―200年の軌跡―」。
江戸時代、佐賀・鍋島藩で栄えた鍋島焼を歴史の変遷と共に展示していた。
正直、伊万里焼と区別つかないのだが、現在の佐賀県有田市近辺で生産されていた伊万里焼(江戸時代、明治以降は有田焼)から藩の窯元が抜けてお抱えになったのが鍋島焼とのこと。
武家お抱えのせいなのかは知らないが、有田焼よりもルールが細かいようだ。表面だけでなく裏にも染付の文様があり、高台も高く文様が描かれている。初期は表面の文様も規則的なものが多い。
有田焼も鍋島焼も赤、青、緑の使用率が高い。
九谷焼は有田に修業に来ていた職人が加賀で発展させたけれど、初期の有田焼には九谷様式の文様もあって、面白いと思った。
裏地や高台もポイントともあり、展示では作品を傾けて展示しつつ、斜め後ろに鏡を置いて高台や裏地の文様をじっくり見られるのもいい手法だ。
古い建物だしさほど広くもないが、ドアノブが有田焼の絵付けをした焼き物になっているのがまたニクい。
小さな庭は隣のマンションと共用のため立入禁止とあり、中には入れず。
マンションと共用ってどんな贅沢なマンションだよ!とツッコミ。(多分、2億は下らないだろうな)

日本橋に移動して、千疋屋とマンダリンオリエンタルに後ろ髪を引かれつつ今度は三井記念美術館の「絵のある陶磁器ー仁清・乾山・永楽と東洋陶磁ー」へ。
展覧会の会場に行くと、三井の7代目?の絵を切り抜いて11代目の奥様が障子にした作品が。
立派な虎と牡丹の絵が障子から浮き上がっていて美しかった。奥様もこういう技術を身に着けることが求められており、いいところに嫁ぐのも大変なのね、と感じたのはやっかみか。
こちらの展示は茶道具メインのため、柄はさほど華やかで目を惹くものはあまりなし。
まあ、茶道において道具はあくまで引き立て役、主張が強かったら駄目なのは致し方あるまい。
器の形状もあまり特徴的なものもなく、覚えているものといえば、蜜柑やら茄子やらを模した香合くらい。
お茶をかじった程度の知識ではあの展示の値打ちを理解出来ないらしい。五島美術館の展示は面白いと思ったのに、何が違うのだろう。
そさくさと展示室を後にして、一番びっくりしたのがミュージアムショップの茶箱セット。
一式で17万とか!まあ、全て集めればそんなもんだよなぁと思いつつ、去年京都で買った茶箱がうらめしい…。
一度も使っていないだけでなく箱からも出していないので、久しぶりに点前してみるか。

しかし、なんでこんなに焼き物に興味があるのか。
正直いつから好きなのか記憶にない。
高校の修学旅行で京都に行った時に清水焼をお土産に買ったのが焼き物に触れたほぼ最初の記憶。
大学最後の旅行では萩焼が欲しくてわざわざ萩に行ったくらい。
社会人になって、デパートの趣味の店でビンテージの有田焼やバカラを冷やかしてたし、ハウステンボスの有田焼美術館も楽しめた。
暗くて苦手だった九谷焼も徳田八十吉や高聡史の作品を知ってからは好きになった。
とはいえ、備前とか瀬戸とか常滑とかああいった(失礼だけど)無骨な焼き物はさほど興味がなく、シンプルですっきりしたフォルムと単純に華やかに描かれた絵付けを観るのが好きなのかもしれない。

展覧会とか映画とか、一日に複数観てしまうと必ずどちらか(ひどい時は全て)レビューがおざなりになってしまう。
それだけ集中していないし、消化できていないということだろうが、ここにも体力や気力が減っているのが影響している気がしてならない。
もう、都内に出るのしんどいし、しんどいからこそ出る時はあれやこれやと予定を詰めるし、そもそも予定を入れないと出ることもない。
本当は映画も観たかったが、時間が遅くて帰れないので断念したくらいだし。
生活も気持ちもメリハリつけて過ごしたいな。