「UXって何で必要なの?」な話。

会社の偉い人から「UXって何?必要?」と聞かれたら

「必要です!」と答えます。
「何で?」と尋ねられます。
「それはですね、云々…」
「へー…」

そう、うまく伝えられないんです。

ちなみに、Wikiにはこうありました。

「UX」の定義
日常用語としてのユーザーエクスペリエンスは「利用者の経験」「製品・サービスを使用する際の印象や体験」と定義される。
専門用語としてのユーザーエクスペリエンスには広く合意された定義が存在しない
大まかな共通認識として、「ユーザーと外部(対象物や環境)とのインタラクション」により「ユーザーの内面で心的プロセスが発生」し「結果としてユーザーが得る記憶や印象」がユーザーエクスペリエンスとされる。

wikipedia

ここでも書かれているように「合意された定義が存在しない」「大まかな共通認識として」と。

なので、これから書く内容は、あくまでも、説明するために、UXを違う角度から見てみたよ!というお話です。

前職も、前々職も、マーケティング部を兼務しながらデザイン業務をしてきた時期もあったので、マーケ目線で見てみようかと思い、コトラー先生のマーケ理論で自動車産業の変革を追ってみました。ついでに、WEBで調べながら、その時に使われていたであろうフレームワークも書いてみました。そう、今現在、調査フェーズで使うフレームワークも、実は、昔から存在していたはずなんですよね。多分。

それでは、いってみましょう。


1900’s マーケティング1.0「作れば売れる」時代

T型フォード(出典:https://www.webcg.net/)


利益の最大化が求められた産業革命の影響から、企業優位で製品志向の時代、作れば作るほど車は売れた。

▼フレームワーク
•4P分析(product/price/place/promotion)
•SWOT


「顧客は、好きな色の車を買うことができる。好きな色が黒である限りは。」
byヘンリー・フォード


1970’s マーケティング2.0「作っても売れない」時代


シボレーカマロ(出典:https://b-cles.jp/)

製品のコモディティ化が進み、人々に物が行き渡った時代、作っただけでは車は売れなくなった。この時、STP分析の先駆けとなる顧客セグメンテーションをGMのアルフレッド・スローンが提唱。その人それぞれの生活スタイルに合った車を作る多品車種量産により、GMはフォードを抜いた。

▼フレームワーク
•STP分析(segmentation/targeting/positioning)
•カスタマージャーニーマップ
•ペルソナ
•3C


お洒落なデートカー HONDA インテグラ
「カッコインテグラ!」
by マイケル・J・フォックス


1990’s マーケティング3.0「ビジョンがなければ売れない」時代


初代プリウス(出典:https://global.toyota/)

インターネットの普及し、人々が様々な情報を簡単に得られる時代、環境問題が取り沙汰され、社会的価値、企業のビジョン、ブランド価値への共感が購買動機に繋がってった。


▼フレームワーク
•3iモデル(integrity/image/identity)(ポジショニング/差別化/イメージ)
•ストーリーボード

「自分が気持ちいいことと、環境に気を配ること。両立するには、どうすればいいと思う? ぼくの答えは、このハイブリッド。」
byレオナルド・デカプリオ


2010’s マーケティング4.0「ビジョンがあっても売れない」時代


出典:https://business.nikkei.com/

そして、今、SNSの普及や、自己実現の欲求が高まる中、ビジョンへの共感だけでは、物が売れない時代へ突入。コトラー先生曰く、ファンになってもらうことが求められていると言う。


▼フレームワーク
・5a理論

イーロンマスクは、自らSNSを積極的に使うことでメディアへの露出強化を図り、そこで、直接ユーザーと繋がることで、ロイヤルティの高い顧客の創出に成功し、リファラルマーケティングを行うことで、広告費を使わないマーケティングが実行できている。

「需要が生産を上まわている。広告を出す必要なんてない。」
「明らかに、将来のある時点で、従来のような広告ではなく、人々に情報を提供し、彼らが製品を認識していることを確認するための広告を行う可能性はあるが、一般的な広告のようなトリックを行うことはない。」
by イーロン・マスク


まとめ

ということで、まとめると、製品(企業)中心だった1900年代から、買い手中心へと移りかわり、ビジョンへの共感のみならず、企業と顧客を結びつける質の良いコミュニケーション(顧客体験)が、ロイヤルティを向上させ、SNSによって顧客が広告塔になりかわり、企業をより繁栄させる時代になった。

この「質の良いコミュニケーション(顧客体験)」を生み出すことこそが、企業が求めるUXの価値であり、必要な理由となる。

では、あらためて、

「UXって必要なの?」

「必要です。なぜなら、作れば売れる時代ではありません。さらには、様々な情報を簡単に手に入れることができる今、その人に合ったサービスやモノを作っても、ビジョンを掲げても、簡単には選ばれない。企業と顧客の間でなされる様々なコミュニケーション(体験価値)の質をどのように上げ、顧客の企業に対するロイヤルティをどのように向上させるのかが、今、問われています。その解決の糸口として、顧客体験の価値向上に特化したデザインプロセスが必要なんです。」

へー!なるほどー、って言ってくれるかな?

最後に

そして、今のUXデザイナーに求められているのは、今までとは違うスピードで変化する世の中への対応力。

どれくらい先を見据えてデザインすればいいのかを判断するために、日常的に情報収集し、学び、吸収し、練習して、どのような状況においても的確なプロセスで対応できるように、常に臨戦態勢でいる。

もう、アスリートですやん。


なお、ここでいうUXデザイナーは、主に以下の方々を指していますが、書き切れていないと思います。ビジネスアーキテクト、リサーチャー、インフォメーションアーキテクト、UIデザイナー、グラフィック・デザイナー、エンジニア、スクラムマスターの方々、などなど。みなさん、すごいっす。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?