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第19回 TOP面談で買い手企業から実際に聞かれた7つの質問

TOP面談、いざ出陣!俺、震える。

まさかの強敵、睡魔という珍事があったがついにこの時がやってきた。TOP面談の初オファー。全てが上手くいくとはポジティブな俺でも思ってはいないが期待をしてしまうのは正直な感情だった。

相手はうちの会社よりも長く、そして社員数も圧倒的に多く、売上規模も相当に大きな会社だ。うちの会社とのシナジー?そりゃもう、バター醤油や明太マヨネーズなみの最高コンビだろ!と勝手にウキウキしていた。それくらいお互いの得意だけで切り取れば相当に相性が良い。

しかし初めてのTOP面談どんな雰囲気なのか想像もつかなかった。

だって相手は役員4名の精鋭部隊だぜ?一方の俺は孤軍奮闘の1人。いや、正確には仲介会社の代表と担当者が横にいてくれたけど、あの時のプレッシャーはやばかった。

心の中では、「これ、フルボッコにされる未来見えてるよな?」と震えが止まらなかった。「へいへい、M&Aを考えちゃうなんて社長の能力が足りないんじゃないのー!?」なんて言われないかを勝手に想像して震えていた(笑)

でも、面談が始まった瞬間、「あれ?かなり穏やかじゃね?」という雰囲気に救われたんだ。


質問攻め?いやいや、意外とシンプル。TOP面談で実際に聞かれた質問7選

仲介会社が司会進行をしながら双方の簡単の企業紹介と自己紹介。事前にお互いの資料ももらっているので、ここはすんなりと終わった。さあ今日のメインとなる質疑応答のスタートだ。

TOP面談で何を聞かれるか不安な経営者も多いと思う。だから、俺が実際に聞かれた質問を7つまとめておく。これで少しでも面談のイメージが掴めれば嬉しい!

  1. 「自社の強みと弱みは?」
     これは鉄板中の鉄板。SWOT分析がここで大活躍する。漠然と話すんじゃなくて、具体的にどう強いのか、弱点をどう改善しようとしているのかを伝えられると好印象だ。そして自社の弱みに関しては「御社とのシナジーで解決!」が一般的かつ最良の回答だと思う。

  2. 「市場環境はどうなっていますか?」
     これも必ず聞かれる。業界の成長性、競合の状況、今後の展望などを説明できるようにしておくと安心。俺は「市場の脅威」を包み隠さず正直に伝えることを意識した。異業種からの参入であればなおさら市場を誤解している可能性があるので、あまりにポジティブに伝えるのは危険だ。

  3. 「なぜM&Aを検討したのですか?」
     これも大事なポイント。ここで「キャッシュが欲しいだけです」とか言っちゃダメだぞ(笑)。なぜ今なのか、なぜ買い手が必要なのかをちゃんと整理して伝えよう。

  4. 「現場の実務はどうなっていますか?」
     この質問、俺もビビった。営業や経理のやり方、在庫管理、人事体制、顧客との契約書など、細かい実務の話になることもある。ここで慌てないために、事前に社員と情報共有しておこう。経営者は意外と現場の業務を知らなことが多いからな。そして先方のニーズは属人性の排除。つまりしっかりとスキームがあるのかを気にしているはずだぞ。

  5. 「M&A後のシナジーは何だと思いますか?」
     買い手が最も気にするポイント。自社が相手にとってどんなプラスをもたらすかを明確に答えたい。俺は「バター醤油の法則」を頭に思い浮かべて乗り切ったよ(笑)。

  6. 「売却後、どれくらい会社に残れますか?」(ロックアップ期間の話)
     ここは相手次第だけど、長く残る方が好感を持たれやすい。自分がどれだけ協力する気があるかを正直に伝えよう。

  7. 「売却後、どんな役割を担いたいですか?」
     社長として残るのか、顧問的なポジションになるのか、それとも経営から完全に退くのか。自分の希望をある程度決めておくとスムーズだ。

これらの質問に対して、自分なりの答えをしっかり準備しておけば、TOP面談も怖くない。相手が何を知りたいかを理解し、正直でありつつも夢を語れると、相手に「この会社を買いたい!」と思わせることができるはずだ。


「M&Aを考えた理由を教えてください。」――ここは正直にいくべき

正直、この質問が一番ドキッとした。でもここで嘘ついても後からトラブルになるだけだから、包み隠さず伝えることにしたんだ。

「大手の常軌を逸した戦略による仕入れ価格の高騰。また同業他社がどんどん規模を拡大している中で、うちはこのままの体制だと厳しいと感じました。正直、脅威を感じています。」

隠し事はナシ。取り繕う気もゼロ。自分自身の無能も伝えた。だって、この場で無理にポジティブな話をしても、後々ボロが出るだけだしね。

すると先方は「なるほど、そういう状況なんですね。」と納得した様子。この一言でだいぶ気持ちが軽くなった。隠さず話すことで、相手の信頼を得られるっていうのをこの場で実感したよね。

でも、俺が思った以上に先方はこの答えに反応してたんだよね。ちょっと困惑したような顔でこう言った。


「御社の業界、右肩上がりで順風満帆だと思ってました。」

おいおいおい、ちょっと待ってくれ。俺のHSPレーダーが強く反応した。どうやら先方の頭の中には「M&Aさえすれば、売上が勝手に増えていくシンデレラストーリー」が広がっている印象が見えた。

「この業界、膨張してるんでしょ?営業が強い会社を買えば勝ちでしょ?」っていう雰囲気が伝わってきた。

ここは冷静に事実を伝える必要がある。M&Aを無理やり成約させたいからって甘い言葉は避けるべきだ。いやいや、現実はそんな甘いもんじゃないぞ、と。

俺は冷静に事実を並べた。

「確かに表面上は右肩上がりに見えるかもしれません。ただ、実際には仕入れ価格の高騰や、競合他社による価格競争が激化しています。一部の協業先が価格を釣り上げている状況もあり、このままでは利益を確保するのが難しいです。」

先方の役員たちは一瞬「え?」という顔をした後、真剣な表情に切り替わった。やっと現実に引き戻されたって感じだよね。

「なるほど、そういうリスクがあるんですね。」

そう、これなんだよ。表面だけを見て、「お得そうだから買おう」という発想ではM&Aは成功しない。俺の説明を聞いて、先方もようやく現実的な目線に切り替わったようだった。


「たとえ1社が仕入れ価格を下げたとしても、他の協業先がまた値上げしたらどうするんですか?」

内心、「ほら来た!」と思ったよね。だって俺もそのリスクは常に感じていたから。これはもう、避けて通れない道だ。

「もちろん、そのリスクはあります。ただ、価格だけに頼らず、私たちはサービスの付加価値や独自のマーケティング戦略で差別化を図っています。価格競争が起きても、それだけに引きずられないような基盤を作っているつもりです。」

この場ではあくまで冷静に、事実を個人的な見解を丁寧に話す。それが俺なりの戦略だった。感情的になったり、上手く乗り切って説得しようとすると逆効果だと感じたからだ。実際に一緒にスタートした時に社員にも迷惑をかけると思ったからだ。


ロックアップの話が出た瞬間、心が揺れる

「M&A後、一定期間は会社に残ってもらいたいと考えています。」

そう――これが噂に聞いていた「ロックアップ」ってやつだ。ロックアップって言葉、最初に聞いたとき俺は正直こう思ったよね。
「え、なに? 監禁されるの?」って(笑)。

でも安心してくれ。これはビジネス用語であって、俺が地下室に閉じ込められるわけじゃない(多分)。

ロックアップとは、M&Aが成立した後、「すぐに会社を辞めたり、別のことを始めたりしないでね」って約束のことだ。要するに、「せっかく船買っんだから、オペレーション含めて、もうちょい、この船に乗ってくれ!」ってこと。

ロックアップのメリットやデメリットに関しても仲介会社に教えてもらったので俺の経験を含めて別の回でしっかりお伝えしよう。


素朴な疑問――なぜうちの会社を選んだ?

ある程度質問が終わったら、ここからは俺のターンになった。
ここで俺は気になってたことをついに聞いた。

「なぜ、うちの会社に興味を持ってくれたんですか?」

これ、ずっと聞きたかったんだよね。だってさ、普通に考えたらウチみたいな零細企業に、名だたる企業が興味持つなんて宝くじ当たるレベルだろ?

、先方の回答は俺が想定してものとは少し乖離があった。なるほどM&Aとはこういう側面もちゃんと考えなければいけない。

次回、その回答と俺の正直な気持ちを伝えよう。

俺の旅は終わらない。

続く。

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M&Aで社長辞めた郎
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