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第4回 俺の会社は5,000万じゃない!最大手に裏切られ、No.2に夢を託す話〜社長を続けたかった俺が、M&Aの道を選ぶ理由〜

「喫茶店の待ちぼうけとイマイチな縁切り」~前回のおさらい編~


喫茶店での「運命の日」

前回、俺は人生を賭けた「M&A仲介会社との面談」の舞台として、なぜか地元の喫茶店を選んだ。そして、その日がついにやってきた。

約束の時間は14時。担当者と初めて直接顔を合わせる大事な場面だ。これで俺の会社の未来がどう動くのかが決まる。期待と不安が入り混じった複雑な気持ちの中、俺は10分前に喫茶店に到着し、心の準備を整えた。

テーブルの上には、完璧に準備された決算書のファイル。そして、目の前には湯気の立つコーヒー。俺はそのコーヒーを片手に、「きっとこの面談で道が開ける」と胸を高鳴らせていた。


担当者、現れず

14時。
担当者は、来ない。

14時10分。
まだ、来ない。

「遅れているのかな?」と思いつつ、スマホで担当者に電話をかける。しかし、繋がらない。電話のコール音がむなしく響く中、時計をちらっと見るたびに心の中で焦りが膨らむ。

14時20分。
コーヒーはすっかり冷めてしまった。冷めたのはコーヒーだけじゃない。俺の心も、すっかり冷え切っていた。

「これって…どういうこと?」
コーヒーカップの底をじっと見つめながら、思わず独り言が漏れた。


電話が鳴るも、まさかの展開

そんな中、突然スマホが鳴る。画面に表示されたのは担当者の名前。心の中で「ようやくか!」と安堵しながら、俺は急いで電話に出た。

「申し訳ありません…日程を間違えていました。」

は?
今、何て言った?

「日程を間違えた」――この言葉が俺の脳内で何度もリフレインする。いやいや、そんなことある?俺の会社の未来を左右する大事な面談の日程を、間違えた?しかも、それを当日の14時20分になって言う?


イマイチな担当者との縁切り

その瞬間、俺の中で何かが崩れ落ちた。
「大手なら安心」という幻想が、完全に消え去った瞬間だった。

担当者の名前はここでは伏せるが、まあ名前がイマイチすぎたのも一因かもしれない(これが伏線だったとは…)。現実に目の前でこんなことが起こると、笑うしかない。

「こんな人に俺の会社を託せるわけがない。」

喫茶店で冷えたコーヒーを前に、俺はそう確信した。そして、ある意味では、100万円の手付金をまだ払っていなかったことを、心の底から感謝した。


100万円が俺を救った話

振り返ってみれば、この「100万円を払っていない」という事実が、俺のM&A物語の中で最も大きな救いだったかもしれない。もしもあの日、手付金を支払ってしまっていたら、俺はこの担当者に振り回され続けていたかもしれない。冷えたコーヒーを飲み干しながら、俺はそんなことを考えていた。


「最大手だから安心だよね?」という幻想

M&Aを決断して真っ先に頭に浮かんだのは、「最大手のM&A仲介会社にお願いすれば間違いない」という、よくありがちな固定観念だった。会社を売るなんて人生で一度あるかないかの大決断だ。だからこそ、信頼できるところに頼みたい。そう思って、意気揚々と最大手のM&A仲介会社に連絡をした。

「ああ、やっぱり大手って違うなぁ!」と、最初は感心していた。

でも、冷静に振り返ればこの感心は5分で終わる。

「御社の直近の決算書をご用意いただけますか?売上、営業利益、純利益が分かれば、すぐに査定いたします!」

たったそれだけ!?
俺たちの会社、そんな薄っぺらい3項目で語れるほど安っぽくないぞ?でもまあ、ここはプロに任せるべきだと思い、言われた通り提出することにした。


「査定額、まさかの5,000万円」

数日後、ドキドキしながら電話を待った。自分が7年間築き上げてきた会社がどんな評価を受けるのか。ある種の「親バカ」みたいな気分だ。どんなに低くても俺の会社は素晴らしいと思っている。

電話が鳴る。
「結果が出ました!」という声に胸が高鳴る。息を飲んで聞き入る。

「査定額は5,000万円です。」

えっ?5,000万円?
思わず「あの…それ、もう一回確認してもらっていいですか?」と聞き返した。彼は丁寧に説明してくれる。

「はい、売上、営業利益、純利益の3項目を基に算定しています。ご安心ください、買い手は必ず見つかります!」

いやいや、「安心してください」じゃないんだよ!
俺の会社には内部留保が5,000万円近くあるんだぞ!それに、5000名もの専門資格者が登録しているメディアを2つも運営している。SEOのビッグワードでトップページにずっと居座り続けてる実績もあるんだ。なのに、どうしてこの評価額なの?

そもそも役員報酬や削ることができるコストもある。それらを聞かずに査定を出すとは、今思えば体の良い断り文句だったのかもしれない。

真剣に一緒に考えてくれると持ったが、売り上げが低ければ日程を間違えて忘れるという珍事さえも起こすレベルにしか考えられていない。

そして謝罪はその時あったがそれ以降はイマイチな担当者から連絡がなく、しれっと別の担当者から「会社を売りたいって聞きました!面談日程可能日を教えてください!」としれっと聞いてくる始末。そりゃないぜ。


「5,000万で売って2500万取るの?」

さらに衝撃を受けたのが、手数料のシステムだ。

「売却額が5億円以下の場合、手数料は2,500万円です。」
とんでもない金額だ。もしこの査定額通りに5000万で売れたとしても、手元に残るのは2,500万円。そして税金も取られるわけだ。俺が7年間必死で働いて築き上げてきたものの半分が、最大手の手数料として吸い取られるわけだ。

もう一度いうが俺の会社には5000万あるのに、査定も5000万で、手元に残るのは2500万だ。こんなものなのか俺の企業からの7年は…涙でメガネが曇りそうだ。

M&Aを考えている零細企業の経営者がいたら、会社の売り上げ規模、そして自分がいくらでバイアウトしたいのかをシミュレーションして欲しい。中には3000万で売れたら十分だと思っている方もいるだろう。

しかし手数料を考えると希望額に届かない可能性もある。自分のライフプランや、家族のライフプランなど細かく「これでもか!」ってほど抜け漏れないない支出を見える化して欲しい。


「くそー最大手め!」

オフィスに戻り、俺はひとり、コーヒーを飲みながらソファに沈んだ。
「くそー最大手め!日程忘れるとかそりゃないだろ。」と、思わず口に出る。

でも、ここで諦めたら俺がただの負け犬だ。やっぱり「大手は大手」。最大手がダメでも、次に頼るべきは「No.2」だろう。次点で実績のある企業なら、きっと俺の会社の価値をもっと正当に評価してくれるはず。

俺は「No.2」と言われる企業を検索。サイトには簡易査定フォームがあり、「30秒であなたの会社の価値が分かります!」なんて文句が書かれている。これ、怪しい婚活アプリと同じ雰囲気だけど、今はそんなことを言っている場合じゃない。


「査定結果、まさかの8,000万~1億2,000万」

「直近の売上」や「純利益」をサクッと入力して、フォームを送信。画面に表示された結果を見て、俺の目が飛び出しそうになる。

「8,000万~1億2,000万円」

「だよね!」
思わず叫びそうになった。最大手の5,000万円査定とは比べ物にならない夢のある金額だ。この結果が正しければ、俺の会社がちゃんと評価される未来が見える。やっぱりNO1を追うNO2の方が追いつこうとサービスレベルを上げているはずだ!さすがNO2だぜ!

フォームの最後に、「担当者に相談する」というボタンがあった。俺は迷うことなくクリック。最大手では味わえなかった期待感が胸を膨らませる。

しかし今思えば最大手と同じ簡易的な項目しか入力してないのに、査定額が倍以上違うなんてそれはそれで不思議だよねと感じてします。

「今思えば」だ。やっぱり現在進行形で悩んでいると冷静ではない。


No.2との連絡、遅っ!

だが、No.2とのやり取りは、また違う意味で驚きをくれた。あれだけテレビでもCMしてるんだから大丈夫なはずだ。そんな感情さえも肩透かしする華麗さ。


フォームを送信してから3日経っても連絡が来ないのだ。オートリプライはきますよ。「査定してくれてありがとう!」的なメールの返信はあれど、待てど暮らせど担当者からの連絡はない。M&Aの営業担当ってこんなレベルなのか?

昭和のサラリーマン、生きた化石と言われる俺だ。社会人経験は20年を超える40代の経営者さ。お問合せがあったら30秒以内に連絡しないと営業として価値がないと言われてきた。

「どうなってんだ?会社を売るってこんなに軽く思われるのか。いや、これは昭和のサラリーマンと言われる俺だから感じてしまうことで、このグツグツと煮えたぎる連絡の遅さへの怒りは、普通の人は感じないのかもしれない。」と思いつつ、なんだか期待を捨てきれない俺がいる。
連絡が遅いということは、もしかしたら細かくデータを分析して、俺の会社の強みをちゃんと考えてくれているのかもしれない。いやいや、査定フォームに入力したデータは数項目しかない。そんな細かく調べられるはずはない。

待てよ!さまざまなネットワークを使ってもう提案先の企業を探してくれているのかもしれない!いやいや…とポジティブとネガティブが10分ごとに押し寄せてきて、俺の感情は大洪水だ。

そして、4日目の昼。ようやくメールにて連絡が来た。


「希望の光?それともまた…」

「お問い合わせありがとうございます!御社の素晴らしい強みについて、ぜひ詳しくお伺いしたいと思っています!」

その瞬間、俺は心の中でこう思った。
「お願いだから夢を壊さないでくれ。」

果たして、No.2の企業は俺の期待を裏切らず、会社の価値を正当に評価してくれるのだろうか?もはや査定金額よりも、営業の質、コンサルタントの質に興味がいくようにもなっていた。

しかし胸のときめきは止まらない。だって査定は「8,000万~1億2,000万円」なんだから。

そしてそこには衝撃的な内容が記載されていた。

次回、「M&A No.2の査定額の真実が明らかに!」をお楽しみに。俺のM&A物語は令和6年12月23日も進行中だ。

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M&Aで社長辞めた郎
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