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第20回 【中小企業向け】M&A売手企業のためのロックアップのメリット・デメリットを整理

ロックアップ:自由へのリードは外れるのか?メリット・デメリットをガッツリ整理!

M&Aの契約がまとまった後に待ち構えている可能性があるのが、この「ロックアップ期間」。これが何なのか、どういうメリット・デメリットがあるのかを、俺の経験からまとめるぞ!

あくまでも中小企業の売手目線でってことを加味してほしい。


ロックアップって何?

ロックアップを一言で言うと、「株式を譲渡しても、しばらくその会社に残って働いてね!」ってことだ。

例えるなら、「学校を卒業したはずなのに、卒業式後も掃除当番に参加しなきゃいけない」みたいな感じ。あれ、一見すると卒業という名の俺の自由はどこ行った?ってなるよね。

でもこのロックアップ、ネガティブに捉えられるようなただの足かせじゃなくて、しっかりと意味がある。

ガチでFIREできるような金額で売れれば良いが、零細企業となればそうはいかないだろう。つまり人によってはロックアップがあることが猛烈にポジティブな可能性もある。


ロックアップ? いやいや、むしろありがとう案件かもよ?

バイアウトの金額が10億円とかだったら、そりゃ「即自由!」ってなりたいよね。
「はい、お疲れ! あとは南の島で優雅にバカンスだ!」ってさ。

でも、ちょっと待て。世の中そんなに単純じゃない。

社員が200人以上とかいるような企業なら、自分ひとり抜けたって問題ない。
むしろ、「社長がいなくなっても回る組織を作るのが経営者の役目!」なんて、カッコつけたことも言えちゃう。

でも俺みたいな中小企業のオーナー社長はそうはいかない。
俺がいなくなったら、取引先との関係も、社員の業務も、全部「???」状態になっちゃうわけで。
まるで「ボーカルが突然脱退したバンド」みたいなもん。
ギターもベースもドラムも揃ってるけど、「で、歌は誰がやるの?」状態になる。

だから、ロックアップがあるのはある意味当然。買い手からしたら、社長がいなくなった瞬間に崩壊する会社は怖すぎるからね。


「ロックアップ=悪」じゃない! むしろ助かるケースも?

世の中のM&Aに関する記事を読むと、ロックアップってめちゃくちゃネガティブに語られることが多い。
「せっかく会社売ったのに、まだ働かされるなんて…!」みたいなね。

でも、ちょっと待ってほしい。
実はバイアウトの金額次第では、ロックアップってむしろ『ありがとう案件』になることもあるんだ。

中小企業や零細企業で言えば、バイアウト金額が数千万円とか1億円くらいだろう。「1億当たったら何にする?」と子供の時に胸を躍らせたトークも大人になればわかってしまうはずだ。


1億くらいじゃ人生は変わらない

1億ってすごい金額!これは間違いない。でも1億から税金が引かれる。そして残りの人生を考えた時に完全に引退(FIRE)できるのかって言えばそれは無理ゲー。

「いやいや、いきなり無職になっても困るんだけど?」ってなる中小企業の経営者のケースがほとんどだろう。

「もう仕事しなくていいぜー!」って豪遊した結果、
数年後に「貯金がヤバい…!」って焦るのは、M&Aあるあるの一つ。
だったら、ロックアップ期間を利用して「次のキャリアを考える時間を確保」した方が賢いかもしれない。


「ロックアップはどう決めるべき?」

じゃあ、ロックアップが必要かどうかは何で決めるべきなのか?
これはシンプルに、以下の3つをちゃんと考えることが大事!

  1. 自分の年齢 → まだまだ働けるのか、それとも「そろそろ隠居モード」なのか?

  2. これから何をしたいのか → 次にやりたいことが決まっている? それとも未定?

  3. いくらで株が売れるのか → その金額で一生暮らせる? それともまだ稼ぐ必要がある?

「とにかく早く辞めたい!」っていう気持ちもわかるけど、その後の人生設計まで含めて冷静に考えないと、M&A後に「あれ? 俺、何したらいいの?」って迷子になる可能性大。

つまり、ロックアップをどうするかは、「M&A後の自分の人生をどうしたいか?」にかかってるってこと。

あらためて中小企業や零細企業のM&Aでのロックアップのメリットデメリットを考えてみよう。


メリット1:引き継ぎがスムーズ!買い手も安心

買い手企業にとって一番怖いのは、「会社は買ったけど、どこに何があるのかわからない」って状況になること。
だから、「元オーナーである社長が一定期間残ってくれる」っていうのは超安心ポイントだ。

例えるなら、「引っ越し先に前の住人がいて、家電の使い方やゴミの日を教えてくれる」ようなもの。ゼロからすべてを調べる手間が省けるんだよね。

特に経営者が事務も経理もマーケも営業も…それはそれは全部やっている企業はいきなり抜けるわけにはいかないのは想像に容易い。


メリット2:買い手企業の信頼度アップ!

ロックアップ期間があると、「この会社、元オーナーもまだ協力してるし大丈夫だな」と買い手は思う。
これは、買い手企業の社内でも上層部や投資家への説得材料になるし、後々の取引先との関係にもプラスになる。

「買った瞬間に社長がいなくなる」のはリスクが高すぎるからね。M&A詐欺ではないが、買い手にだって大きなリスクがあることは、売り手も忘れてはダメだよね。


メリット3:あなた自身の次のステップを考える時間が取れる

意外とこれ、メリットなんだよ。ロックアップ期間中に、「次は何をしよう?」とじっくり考えることができる。
たとえば、新しいビジネスを始める準備をしたり、趣味に没頭するのもあり。

「会社売ったら即リタイア!」なんて無理だから、計画的に次の行動に移れるのは大きなプラスだよね。

今まで社会保険関連の支払いに頭を悩ませたりしてなかった?その悩みがなくなると思えば、気が楽じゃない?

お給料を貰える。これはこれでストレスから解放されることも間違い無いだろう。正社員としてポジションを用意してもらえることだって最高の話だ。

だってそうだろ。躊躇半端なタイミングや年齢で転職活動しなくて良いんだぞ。こんなメリットはなかなか無いと思う。


デメリット1:自由が奪われる!ペットのリード状態

ロックアップ期間中は、基本的に買い手の指示に従って働く必要がある。これが意外とキツい。
例えるなら、「海辺でカクテルを飲んでるつもりが、気づいたら工事現場でヘルメットかぶってる」みたいな感じ。

「俺、会社売ったのにまだ働かされるの?」って思うこともあるよね。
経営者からしてみれば「今までだったら経費だったのに…」と感じることも増えるだろう。


デメリット2:入金タイミングに注意!

これね、かなり重要なポイント
「会社売った! 大金ゲット!」って思ってたら、通帳を見てもなぜか桁が増えてない…。

「ん? 銀行のバグか?」→ 違います、契約内容です。

そう、株式の譲渡代金が一括で全額支払われるとは限らない!
ここをちゃんと押さえておかないと、思い描いていたリタイア生活が「お金はどこ?」状態になるから注意しよう。


想定されるケース①:一部はロックアップ期間終了後に支払い

例えば、契約書に「60%は譲渡時に支払い、残り40%はロックアップ終了後」なんて書かれていたら?
つまり、ロックアップ期間中は全額もらえないってこと。

「いやいや、そんなの聞いてないよ!」ってなる前に、契約時にちゃんと確認しよう。
うっかり「仕事を辞めたら即豪遊!」なんて考えてたら、気づけばロックアップ中に節約生活突入なんてオチもあり得る。


想定されるケース②:業績条件付きの分割払い(アーンアウト条項)

さらにヤバいのがこれ。「業績が達成されたら残りを支払いますね」っていうパターン。

つまり、「売ったけど、売った後の業績次第で最終的な金額が決まる」っていう、まるで「お楽しみ袋」みたいな状態になる。

これ、場合によっては「せっかく売ったのに、前より働かされる」とかいう本末転倒な状況にもなりかねない。
「来年の業績目標達成で、追加で〇〇万円払います!」って言われても、
「それ、俺じゃなくて新オーナーの手腕でしょ?」ってなるよね。

だから、契約前に「アーンアウト条項があるか?」は必ず確認すること。


デメリット3:ストレスフルな環境になるかも(いや、なる確率高め)

新オーナーがやってきて、「これから社内改革を進めていきます!」なんて言い出した瞬間、元オーナーだった自分の心はザワつく。

「え、ちょっと待って、それ俺の会社なんだけど…」
って言いたくなるけど、もう株は売っちゃってるから口を挟めない。


想定されるケース①:ルールがガラッと変わる

例えば、新オーナーがいきなり「社内のドレスコードをスーツ必須にします!」とか言い出したら?
「え、俺、この会社作った時からTシャツ&ジーパンでやってきたんですけど?」ってなるよね。

でももう、元オーナーの意見なんて聞いてもらえない。
「明日からネクタイ着用!」とか言われたら、「俺のカジュアルスタイル返して!!」と心の中で叫ぶことになる。


想定されるケース②:経営方針が180度変わる

例えば、今まで「自由な働き方推奨!」だったのに、
「これからは毎日出社!リモートワーク禁止!」とかになったら?

「いやいや、俺が作った会社なのに、俺の時代より厳しくなるの?」って思うよね。
でももう、自分の手から会社は離れてる。
「今までは緩かったんですね〜」とか言われたら、
「いやいや、それが良さだったんだよ!」とツッコミたくなること間違いなし。


想定されるケース③:社員の待遇が変わる

新オーナーの意向で、「福利厚生の見直しをします」なんて話が出てきたら、社内はザワつく。

「え、社長、退職金制度なくなるって本当ですか?」
とか、
「うちの会社、ボーナス減るらしいですよ…」
とか、社員が不安になった結果、「やっぱり元社長に相談しよう!」って元オーナーの自分のところに来る。

エナジードリンクが飲み放題だったのに、これもなくなった。なんて話も聞いたことがある。

いやいや、俺もう経営権ないんだって…。
なんなら、「俺もその変更、今知ったわ…」ってなることもある。


結論:ロックアップは契約時によく考えろ!

ロックアップ期間中は、会社に残るとはいえ、「元オーナーとしての立場」が微妙になることが多い。
だから、契約前にこの3つを必ず確認するべし!

  1. 入金のタイミング:お金がいつ、どのタイミングで振り込まれるか。

  2. ロックアップ期間の長さ:半年なのか、1年なのか、それとも3年?長すぎると自由が奪われるから注意。

  3. 業務内容の明確化:どこまでの仕事を任されるのか。新しいオーナーの部下として働くのか、それともアドバイザー的立場か。

この3つをちゃんと考えずに「とりあえずロックアップで!」って決めると、
後で「え、俺こんな状況になるって聞いてないんだけど…」ってなる可能性大。

ロックアップ期間が天国になるか地獄になるかは、契約の詰め方次第だ!


ロックアップは、ただの制約ではない。次のステージへ進むための助走期間と捉えると、見方が変わるよね。

しっかり準備すれば、ペットのリードはやがて外れる!
その時にはきっと、次の大海原が待っている。

俺の旅は終わらない。

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