４割縮小する市場で売上1.5倍を実現した社員満足度アップ策

グレートカンパニーアワード「働く社員が誇りを感じる会社賞」受賞企業の株式会社武蔵境自動車教習所、髙橋勇会長に、お話をお聞きしました。
ポイントは以下の３つです。

①今回の受賞理由でもある「働く社員が誇りを感じる会社」をどのように創り上げたか

②30年で４割が縮小する自動車教習所というマーケットにおいて、売上を1.5倍に増やした理由

③縮小するマーケットにおいて、会社を、雇用を守るための新規事業の作り方

株式会社武蔵境自動車教習所は、ピーク時から需要が４割減のマーケットで22年連続、中央線沿線で自動車教習所利用者数ナンバーワン。４割減っているマーケットで、今、ずっとピークを更新している。
あるいは、新規の顧客の約８割、これを口コミ紹介から獲得という高い顧客満足度を誇る。ほかにも地域貢献活動専門の部門を設置し、さまざまなイベントを企画。
これもすべて社員の教育につながるということで、いろいろな取り組みをされています。

社員の雇用と会社を守るための新たな一手

Q：社員はどういった点に誇りを持っていると思いますか？

髙橋氏：社員に聞きたいですけれども、どういったところですかね。私の会社を経営するにあたっての３本柱というのがありまして、私にとってまず一番大切なのは社員さんです。
やはり社員さんと社員さんの家族を守り、より幸せにするということが、私の経営の使命だと思っています。
まだまだできていると思っていませんが、それを、ずっと追求しています。
その根底は、私が経営している間は一切変わらないと、肝に銘じていますし、社員さんもそのことを信じてくれていると思っています。
２つ目は、お客様に一生に一回の免許を武蔵境自動車教習所で取って良かったと感じていただくことです。そのために重要なのが、社員教育と経営ですね。
３つ目は、地域社会貢献です、とにかくこの３つは私の経営から外すことはできません。
これらは、理念の「共尊共栄」に繋がります。私と社員さんとも「共尊共栄」、私たちとお客様とも「共尊共栄」、地域社会とも「共尊共栄」です。
すべてそういった形でお互いに尊ぶ、認め合うことが、私は、いいケアができるのではないのかなと思っていますし、地域社会に必要とされる会社になると、感じております。

株式会社武蔵境自動車教習所　代表取締役会長　髙橋勇氏

厳しい状況下から始まった経営者人生

Q：創業来からの歴史の中で、代が替わったときに労働組合の問題が起こり、社員に心ないようなこともされたと聞きました。そのような苦しい時期は、どのようなキッカケがあって、変わったのでしょうか。
私がこの会社にお世話になったのは、昭和57年10月からなんですけれども。ここに来たときはあまりにも旧態依然とした経営手法であったり、社員と経営陣との関係の悪さに危機感を持っていました。
しかし、その時の立場ではどうすることもできない。そして、昭和63年６月22日に労働組合が発足しまして、一番懸念した形で表面化しました。
そして平成元年４月1日に社長が辞め、私の叔父がに二代目社長に就任しました。しかし、次の日に叔父は鉄道自殺しました。その後、就いたのが私です。

やはり、経営というのはですね、 No.１が大きいですよね。そのNo.１が会社を投げ出すかたちで辞めてしまったものですから、No.２が急にトップになっても、経営は厳しいですよね。
しかし、経営を引き受けて、叔父の死を無駄にしたくないと強く肝に銘じました。
最初は正直言って、この会社を清算しようと思いました。仕事が終わると、毎晩、あるホテルに行って弁護士や会計士と、どうしたらこの会社が清算できるかと話していました。
１カ月以上経ったときに弁護士が「清算できます」と。最初は利益の出ている会社が、労働組合が出来たからといって清算はできませんよというお話でしたが、「清算しようと思えばできます。このような大きな事故があったので、それはできると思います」と教えていただいて、いつ清算するか決めてほしいと言われました。
もう、一晩中考えていました。いつ清算するかと。それが叔父の死んだことに対する敵討ちかなと思ってました。
明け方ですよ。少し周りが明るくなったときに、ふと思ったのは、「なぜこのようなことが起こったのか。なぜ人が死なないといけないようなことが起こったんだろうか」と冷静に考えることができました。
この問題は、労働組合のせいと思っていたけれども、よくよく考えたらこれは全て経営から起こしたのではないかということに気が付きまして、だったら、経営が変わればいいんだと、私が変わればいいんだと気づかされました。

Q：どのように行動を起こしていきましたか？

それは、一言では言えません。10年かかりましたから。
私は、そのように腹を決めたんだったら、行動しなければいけないということで、まずは……

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