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4.防御の最大化が攻撃力を開放する!リスク管理の話

こんにちは、元祖 鯱もなか本店のけんじです。

私たち夫婦は2021年に廃業寸前の状態で家業を継ぎ、娘である妻が代表となり、夫婦で経営者となりました。

バズりまくってV字回復したエピソードはこちらの記事をご覧ください。

後継者の方、ご自身で事業をされている方、情報発信をしている方等に参考になるような情報をお届けしています。

V字回復を縁の下で支えた鉄壁の守り

未来をコントロール化に置く

これまで、マイナスの状態から事業を大きく成長させるにあたり、ダイナミックな施策を次々と繰り返してきました。SNSやマスメディアでの広い展開だったり、有名アイドルなど大きな相手とのコラボがそれにあたります。

急拡大にリスクが伴うことは当初から懸念していたのですが、あらゆる最終責任を私が取る前提でずっと立ち振る舞ってきました。その結果、今のところ大きなトラブルに見舞われることもなく、波はあれど成長曲線に乗れたのかな、というのが現状です。

悪い数字を良くするには「ひたすらやる」しかない部分があるのは否めません。ですが、トラブル回避など「マイナスの外的要因からの守り」については気合いではなく、緻密にしたたかに対応しなければなりません。なぜなら家族、従業員、会社を危険にさらすわけには絶対にいかないからです。「何かが起きてしまう」ことがないように「次に現れる状況」をコントロール下に置き続ける必要があります。

トヨタに学んだ世界基準のリスク管理

弊社が次々と新しい施策を「打って出る」ことができるのは、徹底的にリスク管理しながら事を進めているからにほかなりません。そのやり方については、トヨタ式から多くのことを学びました。

というのも私の前職はトヨタグループの商社でした。自社に工場はありませんが、取引先では大型機械で生産したり、重機で重量物を扱うなど、事故のリスクを常に伴う「現場」があります。

不幸な事故を起こさないために、トヨタは安全に対して世界最高峰の基準を持っています。しかし、どれだけ気を付けても大なり小なり事故は起きてしまいます。その中で、数えきれないほど謝罪し、対策書を作り、追及され、作り直し、誰もが納得する再発防止策を提言し、状況を改善してきました。

最大のピンチだったのは、異物混入により超巨大な取引先の工場で、文字通り炎が上がる炎上をさせてしまった事故です。真因追及や、責任の所在の明確化、確実に効果のある再発防止策の策定を強烈に求められ、最終的に「お許し」がでるまでには、一年の期間を要しました。

そんな過酷な環境で嫌というほど沁み込んだ「圧倒的な基準でリスクと向き合う方法論」について、ここからお伝えしていきます。

火種を秒で消すことの重要性

問題を先送りにすることの害悪

例えば急なトラブルやクレームが発生した時には、すぐに対策して解決することが重要です。これは「バッドニュース・ファースト」の概念に学びました。悪いことほどすぐに報告するという基本動作の一つです。後回しにすればするほど解決が難しくなるのが世の常なので、極めて理にかなっているといえます。

逆に先送りにしたらどうなっていくのか、について解説していきます。

  1. 疑念が肥大する
    相手側からすれば起こった問題は重大なことです。なんのアクションもない状態が続けば、疑念が生まれ信用は一気に損なわれるでしょう。そのような意図がなかったとしても「軽視されている」「誠意がない」「どうなってるんだ」と、時に怒りを伴いながら、その力は倍々ゲームで増えていくことになります。

  2. 問題の認知が拡大していく
    時間が経つにつれ、その未解決の問題は当事者から周りに伝わり、放射状に大きくなっていきます。会社であれば上長から管理部門へ、大きな問題ならその業界の噂話として。Twitterならリツイートがリツイートを生むでしょう。広がるスピードは栄誉よりも汚名の方が遥かに速いのです。

  3. 解決策の期待値が高まっていく
    対応が遅れれば遅れるほど、解決策に求められるクオリティが高まっていきます。なぜなら感情面では疑念が強まり、多くのオーディエンスからも注目を集めるまでに、その問題が育ってしまっているからです。これを収めるのは大変です。円満解決には多大なる労力が必要となることでしょう。

小さなリスクも発見次第すぐ潰す

そのような状況にならないように、些細なことだと自己判断せずに秒で対応していくことが重要です。一番大切なのは「初動」です。問題発生時には可能であればすぐに現地に向かい、鎮静化を図ります。難しければ電話やメッセージでのやり取りでもいいですが「すぐに動いた」ことを証明し、認識されることが重要です。

ここで絶対にしてはいけないのは「完璧な対策をしてから連絡すべき」という極めて重大な誤解です。まずは顔を出すこと。無理でも連絡をすること。それが誠意なのです。

なぜなら相手は問題によって不安定な状態になっています。連絡がなければ「問題の原因」とみなされ対立構造になりますが、まず最初に解決に向けて動き出すことを宣言すれば「同じ目的を持つ同士」になります。180度真逆になるのでものすごい効果です!

煙を立てないためのSNS上でのエチケット

「火のない所にもけむりはたつものさ」

これはRC successionの楽曲「けむり」の歌詞ですが、SNS時代の昨今であれば火のないはずの「けむり」でさえ、ひとたび立ってしまえば後から自然発火する恐れがあります。そこまで見据えた念入りな事前対応が、リスクをコントロールするうえでは重要です。

とはいえ、これまたはまりがちな、アレもコレもだめと禁止事項ばかり増やしてしまうパターンも良くありません。エッジの効いた発信ができなくなり、アカウントの魅力はいつまでたっても高まらず、運用者もやる気がなくなる悪循環です。

それではSNSであらぬ地雷を踏むことなく思いっきり発信するために、どんなことに気をつけるべきなのか、3つご紹介します。

誤解を生まないライティングをすること

まず前提として、外向きにネガティブな発言をしないことは、特に企業や店舗等の「公式アカウント」であれば絶対条件だと思っています。代表的な行為としては「批判」があります。

一方で、内向きにネガティブな発言は「運用目的に対して効果的」であれば、場面に応じて使うのはアリだと考えています。失敗談を公開することによって共感が生まれますし、例えば低気圧で頭痛がするなど、多くの人との共通の話題であれば、盛り上がりが生まれるかもしれません。

大事なのは「誤った解釈をされる余地のない言葉遣い」です。読んだ人が不快に思う可能性はないか、別の意味にも取れる文章になってないか、何かを持ち上げることが逆に何かを下げることに繋がっていないか、客観的な目線を常に持ち投稿するようにしています。

ネガティブ反応への対応を正しく行うこと

日々発信していると、どうしても出てきてしまうのが投稿に対するマイナスのご意見です。弊社の場合ほぼ無いのですが、それでも3ヶ月に1回くらいは何かしらの手厳しいフィードバックに遭遇します。

これも状況に応じて対応の仕方が変わってきます。

まず、「感想的マイナスご意見」を頂戴した場合は、お礼を伝えます。わざわざ弊社を気にかけていただき、貴重なお時間を割いてご意見をいただいた訳です。内容の如何に関わらずまずは「ご指摘ありがとうございます」が定型であるべきです。その上で、こちら側に改善の余地があるなら改善すべき、そうでなければ以上で終了となります。

この際に、決して「いやそれは違います」とか「それってあなたの感想ですよね?」などと主張してはいけません。対立構造ができ上がり、何もなかったところに煙がたつことになります。

逆に「こちらに不利益がある誤ったご意見」に関しては、すぐに訂正します。インターネット上に間違った情報が公開され、そのままになっている状況は好ましくありません。やはり冒頭に「ご指摘ありがとうございます」と述べ、正しい情報を毅然と率直にお伝えします。

この際に相手を否定してしまうとやはり対立構造となってしまうため、こちらの見解を述べるに留めます。やましいことは無いはずなので、このやり取りは公開された場所で行うべきでしょう。

誰かの権利を侵害し不利益を与えないこと

今はインターネット上で様々な情報のやり取りができ、無数の方と容易にコミュニケーションが取れる時代です。だからこそやってはいけないこともしっかり押さえておかなければいけません。

色んなルールがありますが、大切なのはそのルールの存在目的だと考えています。第三者が風紀委員のように重箱の隅をつつき、誰かを吊るしあげるためのものではないはずです。

ではその存在目的とは何か。「権利者の利益を損なわないこと」に尽きると考えます。

これは著作権や肖像権など「知財」に関わることだけではありません。誰かがインターネットを楽しむ権利を阻害していないだろうか?誰かが心穏やかに過ごす権利を奪っていないだろうか?インターネットの向こう側には無数の人がいるのです。

ここで具体的なルールに触れることはしませんが、その全ての存在目的は「鎖」ではなく「思いやりの心」として解釈されるべきだと考えています。スマホやPCで簡単に送信できるその情報は、受け手にとってどう見えるのか。ほんのちょっとの想像力が、インターネット上での関わりを血の通った温かいものへ変えていくと信じています。

石橋が崩れた時の打開策まで持つ

そして、どれだけリスクに備えたとしても、起きてはいけないことが起きてしまう時がきます。その時のことまで考えておく必要があります。具体的には最悪のケースをシミュレーションして、士業など専門家の意見をあらかじめ聞いておくことです。

そのために、ちょっとしたことは気軽に相談できる専門家の知人を作っておくといいでしょう。周りにいなければ異業種交流会などに行けば簡単に繋がれます。また、弊社では世代交代してから月額を支払って顧問弁護士をつけました。

どんどん新しいことに取り組んでいるので、なにかと心配ごとがでてきます。契約書を交わすことも多いので、必ず弁護士のチェックを入れて不利にならないよう努めていますし、少しでもリスクがありそうなことは全て確認してもらいます。

SNSでお騒がせ系の相手と流れでコラボすることになった時は最悪の場合の対処法を、胃が痛くなるようなハードな交渉の場面では一語一句の伝え方を、とにかくなんでも相談してきました。

常に法的根拠を持ちながら「打って出る」ことができるので思いっきりやれますし、いざという時のバリアにもなってくれます。専門家で周りを固めておくことが、「石橋が崩れた時」のスムーズな復旧の助けになってくれることでしょう。

最後に

ここまでお読みいただきありがとうございました!

犬も歩けば棒に当たる可能性があり、何をするにもゼロリスクはあり得ません。今回はリスクをコントロール下におく考え方についてシェアさせていただきました。

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それでは次の記事もお楽しみに!

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