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「社畜たち」を調教する会社の愚行
会社には、使う側(経営者)と使われる側(従業員)が存在し、それぞれの目的は基本的に相反するといっても過言ではないと思います。
経営者は利益を追い、従業員は収入を追います。
双方の目的が叶い続けていれば何の問題も生じませんが、そうではないことの方が圧倒的に多いのが現実です。
そんな現実の中、会社は従業員を出来るだけ働かせて、利益を搾り取ろうとします。
それを実現するために、会社は何をするかと言うと、
さまざまな手法で従業員を「洗脳」するのです。
では、具体例を述べていきます。
1.無駄な朝礼
皆さんの会社では「朝礼」はありますか?
あるとしたら、それはどのような内容ですか?
その内容に、疑問を持ったことはありますか?
無駄な朝礼①
社是、社訓、経営理念などの唱和
会社の壁によく掲げられているアレです。
全員でその方向を向きながら、司会の号令と同時に唱和が始まる。
毎朝必ず行われる儀式です。
この「儀式」は何のために行われるのでしょうか?
その目的は、経営者による従業員の「洗脳」にほかなりません。
「君たちは、この社訓の実現のために存在し、そのために働くのだ」と。
海外では、このような愚行を朝から行っている会社は皆無です。
そもそも、「社是、社訓、経営理念」といったものは、経営者が成し遂げるべき「会社経営の目的」であって、従業員が成し遂げる目的ではありません。
従業員は、会社の目的達成のために集められた単なる駒であり、仕事上ではその階層や組織単位で成すべき目的・目標があって、それを成し遂げることが任務です。
その前提を飛び越えて、経営者の目的・目標にまで責任を持てと言わんばかりに、それを唱和させて洗脳するという手法は、家族を守るという長男の目的を踏みにじって特攻させた軍隊と同類と言えます。
実際、経営者の目的達成のために、家族を犠牲にせざるを得ない環境に置かれている会社員は、どれだけ多くいることでしょう。
無駄な朝礼②
無意味な「スピーチ」
皆さんの会社の朝礼で「1分間スピーチ」のような無意味な愚行は行われていませんか?
持ち回り式で、「では今日のスピーチは〇〇さんお願いします」などと言って、日常の出来事や、趣味の話題、今朝読んだ新聞記事の感想など、聞いている側としてどうでもいいような話を1分程度で話すアレです。
他人の話など頭に入らず、「明日オレかよ…」と、うなだれる場でしかない無駄な時間の始まりです。
発案者が朝礼でこれを実施しようと考える理由は、
・大勢の前で話をする度胸を身に付ける
・決められた時間内で完結に話をするスキルを磨く
・人に興味を持たせる話題を探す能力の向上
など、絵に書いた餅のような理想論ばかりです。
ほとんどの従業員は、「スピーチの準備がうざい」「さっさとこんなのやめて欲しい」としか思っていません。
第一線の営業職ならまだしも、常にパソコンと書類に向き合って仕事をしている事務職に、「さあ!話のスキルを上げましょう!」って何事でしょう?
仕事のスキルを向上させるには、それぞれの仕事の特性に合わせたやり方があるはずです。
無駄な朝礼③
本日の予定
朝礼の締めに、各従業員が「本日の予定」を発表するという意味不明な場面がよく見受けられます。
「〇〇訪問のあと直帰になります」
「午前は事務仕事で午後外出します」
「決算業務に従事します」
終いには
「メールチェックと返信です」
という有様です。
外出予定がある営業職なら、ホワイトボードなどへの記載で完結しますし、事務職が「今日何をやるか」という情報を誰が必要としているのか。
「今日すべき仕事を明確にして周囲に宣言する」のが目的だとすると、それも先述の「洗脳」に近い発想から生まれる儀式と言えでしょう。
2.無駄な会議
会議の本来の目的は「話し合って何かを決める」ことです。
何も決まらない会議は、会議と言えません。
しかし、そのような「会議まがい」は、多くの会社で日常茶飯事に行われています。
無駄な会議①
マウントの取り合い
これは製造メーカーによくあるケースです。
製造:で、来月は何個作ればいいのか?
営業:○○個くらいですね
製造:先月もそう言って全く違っただろ!おかげでこっちは残業だったぞ!
営業:あくまで予想なんでね
製造:もっと精度の高い予想ができないのか?
営業:だったら君たちやってみろよ!
製造:それは営業の仕事だろ!
営業:作るのが製造の仕事だろ!売ってやってんだから黙って作れ!
少々言葉遣いは乱暴ですが、これはよくあるケースで、しかも会議のあり方を改善しない限り延々と続くパターンです。
それぞれの立場・役割を主張することに終始して、問題の解決策を探ろうともしない無意味な「会議まがい」の典型です。
このような状況に手を打とうともしない経営者は、まさに「無能」であり、ここにいる営業職・製造職は、気の毒にも既に自覚症状のない「社畜」です。
製造メーカーに限らず、同じような場面は多くの業種で起っているはずです。
無駄な会議②
数字のトレース
これは営業部門に見られる会議の典型です。
今月の目標に対して、今の進捗はどうか。
足りない分は、どのように達成しようとしているのか。
その実現可能性はどの程度か。
などの質疑応答が延々と繰り返されるアレです。
終いには、
「達成しなかったらどうするんだ?」
という追い打ちをかけ、担当者を黙らせます。
確かに、営業社員本人のスキル不足や経験不足などの要因もありますが、会議という大勢の前で、問い詰めたり追い込む必要があるのかどうか。
皮肉ですが、「社畜」を業とするなら、自社が飼っている駒たちが喜んで餌を食べ、楽しそうに駆け回るように、もっと調教に工夫をこらせと言いたいところです。
無駄な会議③
会議のための会議
毎週月曜日、毎月1日と20日、などというように、会議をスケジュール化している会社は多くあります。
ですが、当日集まったところで「今日は何をテーマに何を決めるのか」すら決まっていないまま会議が始まることがあります。
そんな時間浪費の会議は即時に打ち切って、現場に戻って本来の仕事をすべきです。
自社の会議体制が、このような状態に陥っていることに気付けない経営者は最低ですが、もし、その会議の場に経営者も参加しているのなら、最悪と言わざるを得ません。
無能な経営者のもとで働いていると、いつか自分も不幸に見舞われかねませんので、早く辞めるに越したことはないでしょう。
3.残業代未払い
枚挙にいとまがない、とはこのことで、この類の例を挙げると尽きることがありません。
ほんの一例だけでもこれだけ挙げられます。
①業務終了後の片付けや報告作業
従業員が定時に仕事を終えた後、職場の清掃や資料整理、日報の記入などを自主的に行うよう指示されるが、その時間が給与に反映されない。
②始業前の準備作業
店舗や工場などで、始業時間前に出勤し、商品陳列や機械の準備などを行うが、その時間がタイムカードに記録されない。
③会議やミーティング
定時後に上司や同僚との会議が行われ、その時間が業務の一環とみなされるが、残業手当は支払われない。
④上司からの暗黙のプレッシャー
「定時で帰ると評価が下がる」といった職場の文化や雰囲気により、従業員が自主的に(実際は強制的に)残業を行い、申請しない。
⑤タイムカードの改ざん
実際には残業しているにもかかわらず、管理者がタイムカードを改ざんし、残業時間をゼロにする。
⑥研修や勉強会の参加
会社が主催する研修や勉強会が業務時間外に開催され、それに参加するが、参加時間に対する賃金が支払われない。
⑦お客様対応の延長
定時間際に来店した顧客への対応が長引き、結果として定時を過ぎてしまうが、残業申請が許されない。
⑧休憩時間中の業務遂行
休憩時間帯に、日常的に上司に呼ばれる、電話対応をする、顧客対応をするなどの業務が発生しているにもかかわらず、休憩時間が労働時間として認められない。
こうしたサービス残業は法律違反に該当する可能性が高く、労働基準法では時間外労働に対して適切な割増賃金を支払うことが義務付けられています。
にもかかわらず、会社が作り出す「言いたいけど言えない」空気が、社畜をさらにエスカレートさせている大きな要因の1つです。
4.終わりに
社畜という言葉は、今では広く認知されています。
皆さんは、この言葉にどのような意見をお持ちでしょうか。
中には、
「飼われてもいいから居場所が欲しい」
「ここでしか働けないから、仕事頑張る!」
という方々もいるかも知れません。
私は、そのような考え方や生き方を否定するつもりは全くありません。
私が主張したいのは、
会社の「理不尽な行い」を知って、それに不満を感じるなら、合法的に対抗しましょう!
ということです。
冒頭で述べた通り、会社と従業員はある意味「利害関係」にあります。
利益と収入の取り合い合戦です。
私たちが、正当な権利と収入を守るためには、私たち自身が確固たる信念と知識、そして行動力を発揮することが必須です。
手をこまねき、愚痴を言うだけでは何も変わりません。
社畜は御免です!
残業ハンターX