女、50代。社畜の逃走大作戦⑥「ショーシャンクの空に」

脱・社畜の活動をはじめてからというもの、皮肉なことに会社が前ほど嫌ではなくなっている。

会社、というか経営陣には、もはやなんの期待もない。期待をするということは、何らかの可能性や希望を信じていることの裏返しだが、既に1ミリもそれはない。やつらが考えていることは、いかに歳をくっている社員の給料を下げて安くこきつかえるか。

そして「年功序列は廃止、歳とったやつらは全員ダメだ。これからは若手の時代だ」と若手を持ち上げるフリをしているが、実のところは、新しい給与体系では、若いうちに管理職になった人の昇給率は低く、さらに残業手当もつかないため、会社としても人件費が削減できる。そうやってええように使っておいて、歳を取ったら容赦なく給料を下げて切り捨てる、という仕組みだ。

新制度になってから、給与の計算式は公表されていない。社員を「朝三暮四」のサル扱いしているのだろうか。若手社員もさすがにサルではないため、一定の年齢に達してきたら、この会社はやばいと離れていくだろう。

同世代男性に、いちばん好きな映画をきくと、「ショーシャンクの空に」を挙げる人が多い。私個人としては、途中がつらすぎて、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と並んで後味悪い映画の筆頭である。
しかし、雨に打たれながら再び自由を得た喜びを噛み締めるラストシーンに、男性陣は強い共感を覚えるようだ。これは、多くの人が、牢獄に無実の罪で閉じ込められているのと同じレベルの閉塞感を、社畜人生の中で感じているからではないか。
不屈の精神と知恵とユーモアで見事に自由を奪回した主人公のごとく、どしゃぶりの中に飛び出すことを今日も夢見る社畜なのだった。

次回は「転職サイト登録状況について」

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