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[PR] 12月5日、本日、無事 LINEノベル から発売されたので、もう一本

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 最近、なんかいおりんがおかしい。
 おかしい、っていうかいつも一緒に帰っていた人達とは帰らずに、よく判らなかったとなりの子と帰るようになって、普段よりも笑うようになった感じ。
 なんで?
「ねぇ、なんか、いおりん、おかしくない?」
 私にしては最大級の疑問をその辺にいた、いつもの友達へとぶつけてみた。すると……、
「えー? なんで? いつものいおりちゃんじゃない」
 へ?、そうなの??
 ……そうかなー?
 そんな私の小さな疑問は、回りにとっては簡単な、些細なことのようにどっかに置いて行かれてしまい、そこから気にも止められず日付ばかりが進んで行った。
 ある日。
「ねぇ、いおりちゃんの動画観た?」
 と、そえちゃんから言われ、
「え、なにそれ?」
「知らないの?」
「知らない」
 なんのことか、まったく判らなかった。
「これこれ……」
 そういうと、そえちゃんはスマホをすっと取り出して、さきほど迄観ていたであろう動画の再生ボタンを押す。もう通信は終わっていてスムーズに再生が始まると無音のまま動画が進んでいく。
「音、無いの?」
「あ、ごめん、これ着けて」
 そえちゃんが着けていたと思われるイヤホンを、すっと取り出されたので、それを抵抗なく耳に突っ込んだ。
 ああ、いおりんの声……? なんかちょっと違う?
 でも。
 ステキな声。
 何より、歌詞が良い。聞いたことは無い初めて聞く歌詞だったけど、音楽は何度か聞いたような耳馴染じみのある音だった。
 ……。
 これって……。
 ちょっと気がついたので、耳からイヤホンを外して傍らにいた、そえちゃんに聞こうと声を出した。
「ねぇ、これってさ。『じゃんくしょん』の曲、だよね?」
「うん、それだと思う」
「歌詞、こんなんだっけ?」
「んー、違うんじゃない?」
「違うよね?」
 そうわたしが言ってから、二人とも少し黙っていたが、そえちゃんが首をぐるんと回したかと思うと。
「でもさ。いいよね」
「うん、いい」
 そえちゃんの問いに、私はそう、答えていた。
 そして、いおりん、歌。動画で流してたんだ。と、重ねて思う。
 キョロキョロと回りを見ると、荷物はあってもいおりんの姿はなかった。どこか行ったのかな? と思ってちょっとこちらも学校の道具を片付けて家に持って帰ろうと。がちゃがちゃって、鞄に入れていたら時間が経っていく。
 それでも5分、10分くらいだろうか。がらっと扉の音が聞こえそれと同時に会話の声が流れてくる。
 いおりんの声。
 と、それに対応する別の声。
 そっか、いおりん今は、あの隣の子と仲良いんだった。
 そんなことを思うと、ちょっぴり寂しくなったりもした。
「あれ、菊池さん。どうしたの? わたしに用事?」
 いおりんにそう言われ、はっとする。回りをみるとわたしといおりん、……ともう一人しか居なかった。
「ううん。なんでもない。じゃあ、またね……」
 そういって、逃げるようにクラスから出ようとすると、
「待って」
「え」
「菊池さん、良かったら『ANN』の動画みてくれないかな。この教室で撮ったりもしたんだ。『ANN じゃんくしょん』で、検索すると出てくるから」
 帰ろうとする私に、いおりん……、ではなくてその隣にいた子から言われる。
「ちゃんと、染みこむような声が聞こえるから、観てね」
 その言葉を力一杯言っていたその子に対して、はぁ、とか、はい、とかそんな曖昧な返事をしつつ、そういう子を見ているいおりんの目がとても綺麗で。
 そっか……。
 とことこと、学校からの帰り道。なんだか、泣きそうな、なんだか寂しいような。そんな鼻の頭がきゅっとするような、そんな感覚になりながら。
 回りの音が全部にノイズになるような感じで、家へと着いた。
 何を途中でやったのか、ぼんやりとしたまま家でスマホを立ち上げて、検索をかけて動画を発見する。
 再生数が結構あり、動画としてもプロのPVっぽかった。

 次の日から、私は『ANN』のファンとなった。
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発売日なので、もう一本。

でした。

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shachi
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