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珈琲の大霊師269
これまで気にしてこなかった事が、急に意味を持ち始める。
一通り村を回って、墓が1つも無いことを確認したジョージは改めて村人達を観察した。
すると、子供達の腰ひもに、小さな袋を常に携帯している事に気づいた。袋はさほどたわんでおらず、中身が軽いことを示していた。また、その袋を下げる腰ひもは大人のそれと比べても革製で細かい細工がしてあり、高価であることが伺える。
「ルビー、悪いんだがもう一度手伝ってくれないか?」
「はっ、お安いご用意さね。何をすればいいんだい?」
「子守り」
妙に気合の入ったルビーを誘い、子供達をできるだけ多く巻き込んで遊びを始めた。薪を使った缶蹴りのような遊びを始めると、その変化は訪れた。
子供達の周りが、にわかに埃っぽくなり、視界が僅かに煙るのだ。それは風に吹かれて流れてゆき、すぐに消えていってしまう。
その発生源は、腰についた袋だ。
「ふぇぁ~~~・・・・・・黒いねーちゃん、ホント足はえーー」
「お前も山でもっと走れば、これくらいできるようになるさね。頑張りな」
「やだー」
「やらないのさ!?根性足りないさね!そんなんじゃどんな女も靡かないさ!」
「えー・・・・・ジョージのおっさんはできんの?」
「は?・・・・・はぁっ!?」
「誰がおっさんだコラ」
こつんと頭を小突いてやると、少年はケラケラ笑って体を震わせた。その度に、細く細く煙る小袋。
「なぁ坊主、前から気になってたんだが、その袋って何が入ってんだ?」
できるだけ自然に聞こえるように、さりげなく探りを入れると、少年は大事にしていた宝物を見つけられたようににやりと笑った。
内緒だぜと、こっそり見せてくれた中身は、白い砂と細かい破片。そして、袋の底にはごくごく小さな穴が空いていた。
「へへへ~、これ~?俺のじーちゃん。今、頭の所もどしてるんだ」
その子は誇らしげに笑った。
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