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shabeloのサービスコンセプト:対話を重ね見え始めたサステナブルな形(21.09.02現在)

はじめまして。オンライン対話プラットフォーム『shabelo(しゃべろ)』メンバーの小野です。

前回タガイさんからこれまでのshabelo開発の一歩一歩を紹介させていただきましたが、今回はその中でもテスト実施後からスタートしたビジネスモデル構築のプロセスについて触れながら私たちの考えるサービスの在り方についてご紹介したいと思います。

5月から始まった話し合いは既に数十時間を超え、紆余曲折がありつつもブラさず大切にしたい軸が見えてきた気がしています。

テストユーザーの皆様の声を聞き、shabeloが目指す世界観への手応えと論点の深さ/複雑さを認識。

まずshabeloとはどんなサービスなのかを簡単にご説明すると、

①WEBサイト上で「話したいテーマ」のトークルームを作る
②そのテーマで話したい人がトークルームに入室する
③ビデオ通話がスタートし自由に対話する

というシンプルなものです。

私たちshabeloメンバーは皆『対話』の持つ可能性を信じています。
従来の雑談や会議とは少し異なる、気づきや発見・セレンディピティの生まれる対話を多くの人に体験してもらいたいという思いからオンライン対話のプラットフォームという着想に至りました。

プロトタイプ作成に向けては上記①〜③のコア機能の実装のみでなく様々な細部要件を詰めていく必要があります。その検討段階では、「初対面の人同士で深い対話を成立させるためには?」「日常のソーシャルグラフがその人の本心を見え辛くしている?」「場を作る人と場に置かれるテーマ、ユーザーはどちらを見て入室を決めるのだろうか?」といった答えのない問いが話し合うごとに幾つも浮かび上がり、ぼんやりと考えていることを具体的な機能に落としていくことの難しさを体感しました。

それでもそれらの問いへの私たちなりの解を導き出し、2021年4月にはプロトタイプが完成。数十名の方をお招きしてユーザー体験会を2回実施し、沢山のフィードバックをいただきました。

ご協力いただいた方からの声を聞き、私たちが目指す世界観に共感してくれる人がいることを確信。
一方で、サービスの機能や在り方についてはお一人お一人で考え方が異なる部分も多いことが分かりました。例えば、私たちはshabeloが“匿名である”ことが安全安心な対話ができる場であるための大切な条件だと捉えていましたが、匿名よりも個人が特定できる方が安心できるという声もあるなど、本当に大小様々な論点が…。

このような様々な声を咀嚼し、MVP開発に向けてサービスコンセプト・ビジネスモデルの検討を開始しました。


shabeloが生み出すベネフィットを考える。


shabeloを利用する人は何を求めるのか、それらのニーズをどのように満たすのかを改めて検討します(カスタマープロブレムとソリューションのフィット)。

テストユーザー様の声と私たちのアイディアは沢山の量があったため、幾つかのフレームワークを用いて整理して行きました。

詳細は今後リリースするプロダクトをご覧いただければと思いますが、

ユーザーが得られる第一義的なものは:
話をしたい関心ごとについて対話することによって、発見する・心がスッキリする・新たな問いが生まれること

ユーザーがそれらを得るための要件は:
偶発的な会話の場を深度の高い対話として成立させること

対話を成立させるための要件は:
・目的意識を起点としたマッチングのサポート
・対話に至るまでのコストの削減
・安全/安心の担保

といったサービスの骨格となる基本的な事柄を改めて言語化することができました。

また、shabeloが避けては通れない重要な課題は、対話の魅力を認知している人はまだ少ない(魅力を知ってもらうことからのスタートになる)中で、ユーザー数が多くなければ価値が生まれにくいサービスであるということ。

この課題を認識しながらも、私たちはshabeloが作る場は偶発的な発見に出会える場と定義し、対話によって何が生まれるかはその場に委ねられることにこそ価値があるという信念を固めました。

従来のプロダクトのような具体的ペインを解決するソリューションとは異なり、shabeloが実現したいものは「その人ならではの問いに出会い、自分なりの解を見つけ前に進んでいくことを後押しする」とも言えるかもしれません。


ビジネスモデルの検討。収益化と理想の間で行ったり来たり…


次に、サービスを維持拡張していくための収益化のモデルの検討を行いました。
こういったサービスの場合、収益化は考えず全て持ち出しで開放するという選択肢も勿論あります。

しかし、私たちはそれでは早い段階で限界を迎えて存続できなくなると考え、ボランティアではなく、ユーザーにとっても運営にとってもサステナブルなビジネスとして成立させるという挑戦をすることに決めました。

予想通り、検討は難航しました(今もまだその最中にあります)。
モノを扱うモノではないためサービス維持にかかるコストは多くはないとは言え、システムの基盤、メンテナンス、開発、組織運営(人件費等)の見込みを積算すると甘くはない金額になります。

その費用をどう賄うか?
有料会員、広告モデルといったパッと思いつくものから、ユーザーから寄付を募るとか、全く別のビジネスでお金を稼いでshabeloに投資するなど思いつく限りのアイディアを出し、一つひとつ検証していきました。

面白いもので、「話し合うまでもなくNG」と思われるアイディアであっても、議論を重ねていくとshabeloの根幹の思想に関わる重要な論点が見つかったりします。
その新しい論点について話すとさらに新しい論点が見つかる…。

これを繰り返すと、shabeloが絶対にブラしてはいけない核がどんどん鮮明になってきます。
数ヶ月にわたって理想論と現実論を行ったり来たりすることになりましたが、常に前に進んでいる実感は持てていました。同時に「もう少しで何かが見つかりそうなのに言葉にできない」という魚の骨が喉に刺さったような歯痒さもありました。

機能ではなく、サービスの土台にある世界観への着目。サービスコンセプトの洗練。

shabeloを維持するためにはお金が必要。しかしユーザーが求めもしない機能を盛って有料課金したり、見たくもない広告を表示し続けることは私たちのコンセプトには合いません。

話し合いが行き詰まりかけた時、ふと気づくことがありました。

ユーザーが課金するのは、当然ながらその等価以上のベネフィットが得られるという期待があるからです。100円を払ったらそれに見合う何かが即座に返ってくる。
これは当たり前のことで私たちの一存で変えられることではありません。

ただ、私たちは「それに見合う何か」というベネフィットに対する視野が非常に狭かったのです。

私小野個人的には、shabeloではユーザーが何らかの学びを得られる可能性があることから「学習コストに対する知識上昇というメリット」というバランスで考えがちでした。
しかし、対話とは特定の何かを得ることを期待して行う行為ではなく偶発性に依存します。何かが得られるかもしれないが、得られないかもしれないというものなのです。だからこそ枠を超えた予期せぬ何かと出会える可能性も高く、そこが対話の強みでもあります。そのため、学習コストという概念はフィットしないことは自明でした。

ここで、ふと日常に目を向けてみるとコストに対するメリットを1to1で説明できない出費は沢山あることに気づきました。

例えば、大切な人への贈り物。それを買うためにかかったコストとその人から返ってくるリターンを天秤にかけることはあまりしない。リターンではなく、それを贈ることで伝えたい何かが、贈る側にとっても価値があるということなのだと思います(勿論、長い目で見ると巡り巡って何かが返ってくるものでもある)。

ここに気づいた時、shabeloというサービスはユーザーの皆様と運営とで共に作っていくものであることにも同時に気づきました。

shabeloの中で循環する価値は、対価と短期的なベネフィットといった一義的なものだけではなく、楽しさや感謝の気持ちといった抽象度の高いものも立派な価値の一つなのです。
そう考えた時、すでに先人が挑戦されているペイフォワードやギフトといった考え方にも着想を得て、shabeloらしいサステナブルなビジネスモデルがぼんやりと見えてきました。

まだ最初の一歩を踏み出したに過ぎませんので、具体的なことは検討が進んだらまたご紹介したいと思います。

引き続き、温かい応援を頂けますと幸いです。


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