先生がくれたもの Fairy Friends_2
自分たちにしか見えていなかった存在について認知したミサとサヤは、昼休みや放課後に調査に乗り出すようになった。
そんな二人の様子を見ていた担任の先生は二人がオリジナルのキャラクター作りにハマっていると勘違いしたのか、図書館からある本を借りて渡してくれた。
その本は、二人がノートに書きとめていた小さい女の子や不思議な生き物たちそっくりのイラストがたくさん載っていた。
サヤ「えっ、先生、何ですかこれ??」
先生「不思議な妖精・天使図鑑よ。二人が夢中になってお絵描きしているから、喜ぶかなっと思って。」
サヤ「先生、すごい!どうして分かったの?」
先生「あの耳の長い女の子、エルフっていう妖精さんかなって思ったの。先生ね、昔ファンタジー小説を読むのが大好きでね。特にエルフっていう妖精さんが可愛くてとっても好きだったの。」
ミサ「そうなんだ。。。先生はエルフっていう妖精さんに会ったことがあるんですか??」
先生「え??まさか、まさか。実際に会ったことなんてないわ。だって妖精はおとぎ話のなかの架空の生き物なのよ。でも、アニメで見たり、ゲームをしたり、そうやって頭のイメージの中で遊んだりはしてたわね。」
サヤ「そうですよね!私たちも最近見た絵本にこの妖精さんが出てきてね、可愛くてお絵描きをたくさんしてるんです。」
先生「あら、そうだったの。だからこの前、ミサちゃんは美術の授業で鉄棒の下にエルフちゃんを描いていたのね。」
ミサ「いや、あの、それは」
そうミサが言いかけたのをサヤが遮った。
サヤ「そうなんです、先生。でもあれは風景画を描く授業だったから、いまはこうして二人で空いた時間にお絵描きして遊んでるんです。」
先生「ふふふ、素敵ね。その図鑑、ほかにも色んな妖精や天使のイラストと解説がたくさん載っているから、ぜひ読んでみてね!」
サヤ「はーい!先生、ありがとうございます!」
先生「さ、もうすぐ授業が始まるわよ。続きはまた今度ね。」
キーンコーンカーンコーン
授業のチャイムが鳴った。
ーーーーーーーーーー
ミサ「びっくりしたね。」
サヤ「うん、一瞬先生に私たちが何をしているのかバレたかと思っちゃったよ。」
ミサ「そういうことではなかったみたいだね。先生、、妖精って言ってた。あの女の子が好きだったから美術の授業でも優しかったんだね。」
サヤ「先生はいつも優しいけどね。」
ミサ「まぁね。だけど、今日でまたより一層好きなったな〜」
サヤ「そんなことよりさ!早速、先生から借りた本を読んでみようよ」
ミサ「うん!」
二人はワクワクしながら、その本を開いた。二人の顔よりも大きいのではないか?と思うその本には、想像以上の世界が広がっていた。
二人が見聞きしたことあることもたくさん書いてあったが、まだまだみたことも聞いたこともない妖精や天使、その物語や特性などが事細かに書いてあったのだった。
サヤ「うわぁ〜〜、すごい!」
ミサ「エルフ...これは先生が言っていた女の子ね。妖精なんだ。妖精って、おジャ魔女どれみに出てくるようなもっとマスコットみたいなのを想像してたけど、私たちにそっくりなんだね。」
サヤ「確かにね、耳が少し長いことくらい...」
ミサ「あとは羽ね。」
サヤ「そうだったわね。わたしは最近はっきり見えないもんだから、羽があることを忘れていたわ。」
ミサ「この本を借りれてよかった。サヤに説明する手間がちょっと省ける。わたし、絵は下手だし、言葉で表現するのもちょっとね。」
サヤ「そんなことないわよ。妖精さんたち、みんな個性的だからちゃんと描いてあげるのは簡単じゃないもの」
ミサ「ありがとうね、サヤ。ところでさ、この妖精さん、見たことないんだけどさ、これ読むと学校の近くにいそうじゃない??」
サヤ「あ、本当だ。今からちょっと行ってみる??」
ミサ「うん!日が暮れる前には帰ろうね。お母さんたちが心配するから」
そうしてサヤが本をカバンの中にしまって立ち上がったので、ミサも立ち上がって出かける準備をした。
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