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イス達の平日

イスA「やれはて。ようやく平和な火曜か。」

イスB「あぁ、もう火曜日?通りでお客さん少ないわけだ」

イスC「もう火曜って、おいB。お前、いくら何でもぼーっとし過ぎだろう。」

イスD「Bはあれだろ、日曜の夜に座ってた客が話してた『左利きのエレン』。あれを知って、それを読み始めたらどハマりして、寝るのも忘れてずっと読んでたんだよ。(イスだけど)」

イスA「え、あれってそんなに面白いのか?ずっと前から何となく名前は知ってたけど今まで読まずじまいだよ。」

イスC「っていうか、そもそもイスって本読めるのかよ!?!」

イスD「お前今さら?読めるに決まってるだろ。ってか、左利きのエレンは漫画だけどな」

イスC「ちょっと待て漫画も読めるのか……」

イスA「ただアレだろ、自分のとこに座った客が本好きだとか、誰かにも勧めたいと心から思ってないと読めるようにならんぜ。」

イスC「え、まじか。」

イスD「もしかしてお前んとこに座った客…そういうやつ一人もいないんか……??」

イスC「いやまさか…確かにサッカーとかスポーツ好きが多い記憶はあるが……」

イスB「そりゃぁ、運が悪かったなぁC。俺のいる場所には漫画好きの常連がいてな。週に2、3回は来て、この漫画が面白いとか、あのシーンが良かったとか熱心に語ってるのさ。面白いぜぇ〜〜」

イスC「えーーー、なんだよーー、それーー。羨ましい……席変われよ、B!!!」

イスB「変わってやりたいがな、C。俺らはイスだ。自らの意思では動けねぇのよ。」

イスC「えぇ、そんなぁ、俺も読みたいよぉ。漫画ぁ!エレンんんー!」

イスA「いや、もしかしたらチャンスはあるかもしれんぞ。最近、コロなんちゃらとかって言ってソーシャルディスタンスとかで、席数減らしたり、イスも消毒のために取っ替え引っ替えされるらしいからな。」

イスD「まじかよ、おれはこの場所のままがいいなぁ。いまよく座ってるやつが読んでるキングダムがめっちゃ面白いんだよ。次の話が気になって、しょうがないんだわ。」

イスC「Dも、なんかめっちゃ面白そうなやつ読んでるやんけ!ぇえまじでお前ら場所変われよぉぉ」

イスA「まぁまぁC。気長に待てよ。お前の場所から見える景色とお前の座り心地がいいって言ってくれるミチコが悲しむぞ?」

イスC「ミ、ミチコ……あの子は良い子だよ。本当に。こんな俺を良いって言ってくれて……でもな!漫画の一つや二つ話してくれよ!!昨日の合コンで飲んだ男の話ばっかじゃなくてよぉお!」

C以外のイス「「「ワハハハハハ」」」

こうしてイスの日常は今日も過ぎてゆく…





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