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安心して「私そのものを生きる」練習ができるコミュニティ&Space『星の時間』を作る理由 〜2023.2.26 Healing Space vol.65 T-UPより 稲垣真理子さんとの対談〜
今回のT-UPでは、
シャーンティ・ローカ・ジャパンのコンセプトをお話ししたあと、稲垣真理子さん(一般社団法人星の時間代表:以下、真理子)から西宮さやか(当NPO代表:以下、さやか)がお話を伺いました。
<<T-UP 前半の内容はこちら(vol.64記事)をご参照ください
さやか:今日は稲垣真理子さんにお話を伺っていきます。
真理子さんとはここ数年交流を深めさせてもらっています。真理子さんのお話会に参加して、お話を聞くたびにとても心が温かくなるんです。
そして、目指しているもの、これが大事だと思っていることが共通しているんだなと感じています。
今日はそんな真理子さんにお話を伺っていきます。自己紹介をお願いします。
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真理子:この間まで、ドイツに住んでいました。
出身は三重県桑名市生まれ、伊勢湾台風で家族全員があと1分遅かったら死んでいただろうというところを助かって、鈴鹿市で暮らしてきました。
その後、34歳でドイツに渡って、30年と半年、ドイツで過ごしました。
ドイツではずっとシュタイナー教育を専門に学んできて、
結婚して子育てを始めてから、シュタイナー教育というだけでは収まりきらないことを体験したので、長い子育て期間を通して、もっと広い範囲でシュタイナー教育を捉えたらいいと考えて、3年前からオンラインで子育てや自分自身を育てる講座を開いています。
そして、今ようやく30年のドイツ生活に区切りをつけて、2月に日本に帰ってきました。これからは日本の八ヶ岳で「星の時間」という大きな意味でのコミュニティをみんなで作って活動していこうとしています。
星の時間とは
さやか:星の時間はどんな場所、どんなコミュニティになっていくのですか?
真理子:「星の時間」の名前は、私の仲間、大好きなお友達の画家Nobuko Ashihara-Huslageさんが考えてくれました。
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ドイツ語で星の時間というのは、Sternstunde(シュターンシュトゥンデ)、Sternが星、stundeが時間と書くのですけれど、
単なる単語ではなく、文章の中で使われる特別な言葉なんですね。
「その瞬間の出来事」とか、
何か一つの物事があった時に、あのことがあったからこうだったんだね、という「奇跡の瞬間」。
打つ、ドイツ語でschlagen(シュラーゲン)というのですけれど、
星がキラキラ輝いているのと少し違った、星を打つという特別な意味を持たせて使っています。
ホームページには「豊かな自然と人とのつながりを感じながら、そこに集う人が自分らしく自由に過ごす事ができるコミュニティハウスが「星の時間」と書いてあります。
短くいうと、「大人も子どももみんなで遊べる場所」。
遊びの中には、
「働く」「学ぶ」「ただただ身体を休める」ことも入っています。
遊びは子どものようにただただ遊ぶだけではなく
全てを含めて遊びとして捉えていてます。
「これをしたらダメかな」「叱られるかな」「非常識と思われるかな」
そんなものを取っ払って
大人も子どもの時のような純粋な気持ちで
年齢とか性別とか関係なくいられる、
それを目的として作りました。
「一体何をする場所なの?」とよく聞かれるのですが
宿泊施設ではなく、
日本の言葉で言えば研修所というカテゴリーに入ると思います。
研修と言っても勉強をするということではなく、遊びをする場所。
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具体的に言えば、
ヨガをやったりとか、コンサートをやったりとか、
日本に限らずいろんなところで
自分の思いを表現している方にきていただいて、
絵を自由に描きましょうとか
芸術についてパリの美術館を見て遊んでみませんかとか
カードで遊んでみませんかとか
その人の好きなことを持ってきていただいて
それを共有する 学んだり 遊んだりする。
八ヶ岳の豊かな自然を散策して
田舎の生活を知ったり、美しい場所を知ったり
森歩き、町歩きしてみたり。
もう一つ大事なこととして、地元の人とどう繋がるかというのがあります。
まず私たちはそこにお客さんのように行くわけですが
ずっと長い間そこに住んでいる人たちもいらっしゃいますし、
移住してきた先輩もいらっしゃるので、
そういう方達とどうやって繋がっていくか。
ご飯を食べたり、遊んだり、ゲームしたり
地元のものを食べたり、文化を体験したり、
一緒にできることをしていきたいと思っています。
ドイツでの生活で向き合ったこと
さやか:素敵ですね。
ドイツでの30年以上の生活に区切りをつけ、日本に戻って星の時間を立ち上げるというのはとても大きな決断だったと思うのですが、背景にどんなヒストリーがあったのですか?
真理子:私がドイツに渡ったのは周りの留学生と比べると遅くて、33歳でした。当時留学生は全員20代。
日本では13年ほど保育園で働いていましたし、他にもいろんなアルバイトをしていたし、ある程度人格が出来上がってドイツに行ったんですね。
日本での生活をベースにした常識やルールが出来上がっていた。
ドイツに行ったら、それがガラガラ崩れていったんですね。
また、今までこれが大事だと思ったのは、それが大事だと思って決めていたのではないのではないか、という自分に対する問いが出てきたんです。
というのは、ドイツ人と生活していると
常に「あなたはどう思うか」「どんな考えを持っているか」
という質問が来るんです。
おうちに遊びに行った時も
「お茶か、コーヒーか、ハーブティーか」
ずらっと並べられてどれがいいか聞かれて、
5人いて4人がコーヒーと言っても、「あなたはハーブティーと言っていいんだ」ということをいちいち言われたりするんですよね。
遠慮して、「じゃあ、一緒で」と言うと「一緒じゃないんだよ」と言われる。
日常生活が「常にあなたの決断で決めなさい」ということを言われて日々生活していた中で、
「自分の考えってなんだろう?」と思ったんです。
政治のことでも質問をされたり、
環境問題もドイツは先進国でしたから、
「あなたの国ではどうだ」と聞かれる。
私は自分の国のことを知らないなと思った。
それに対して意見を持っていなかったんだと思った。
私の意見だと思っていたのはただニュースや本で言っていただけで、
自分自身が本当にそう思っているのか、ということに疑問を持ったんですよね。
そいういうことの積み重ねで、
私は今どうしたいのか、私は今何を感じているのか、という練習をたくさんさせてもらいました。
「いや」ということも言っていいんだとも言われたので、
ものすごい勇気がいって、3年くらいはできなかったのですが、
「これは今はやりたくない」「誘われても今は行きません」
そういった練習も重ねて、
10年くらい経ってようやく言えるようになりました。
時間がかかったんですよ。
最初はものすごく落ち込んで。
留学しているというと華やかでいいわねと言われますが、
本当に最初の3年くらいは泥沼のような、
自分の中の膿を見て、内臓開けて一個ずつ調べられるような状態で。
「私って何?何考えて、何したいの?」を突きつけられて、
本当に練習をさせてもらったなと思いました。
そんな中で、子育てをしながら、ドイツと日本の目指している教育の仕方が違うんだなと感じました。
日本の人たちに再会して
真理子:そして、10年ほど前から日本での講演会をするようになって
日本の人たちの苦しさがわかるようになったんですね。
本音を言いたいのに言えない。
周りの状況を見ながら、丁寧に答えているんだけど、本当は違うところに違う意思があるのではないか。
その苦しさを肌で感じるようになった。
私は、それを何回も何回も泣きながらドイツで練習をさせてもらったので、
日本でもそういう練習の場があれば
みんながもう少し本音を言っていいんだとか
実は言う時って、こんなふうに入った方が伝わるとか
なんでも好きなことバンバン言えば伝わるのかと言えばそうでもないので
話し方とか、コミュニケーションの仕方にも練習がいるので、そんな練習場を作りたいなと思ったんです。
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いきなり本音を言いなさいと言ったって、そうしたいけどできないから苦労しているし、葛藤しているわけで、
だったら安全なところで失敗してもいいよ、しまった、と思っても、いいんだよそれで、という練習の場があれば、
日常生活に戻って行った時に
少しでも普段の生活の場で生かしていけるのではないか。
自分らしくとか、自分そのものと言っても
ピンと来ないこともあるし、
それを体験できる場を作りたいと思った
それが星の時間なんだなと思います。
さやか:そうなんですね。ドイツの生活の中でいろんな思いをされて、実践して、そこに行き着かれたんですね。
今、自分の人生がしっくり動いている
さやか:真理子さんは、ご自分が今何を感じているかがわかり、本音が言えるようになったことで、昔と今の自分にどんな違いがあると感じていますか?
真理子:一言で言えば 「自分の人生がしっくり動いている」事でしょうか。 自分の考えや感覚が本来の自分と一致しているのでとても楽なんです。
他人からどう見られるか?に意識がフォーカスしていると、いろいろな場面で葛藤が起こります。
これでいいのか?これが正しい選択なのか? 迷いが生じてしまって、自分の心がいつもザワザワしています。
選択の視点を正しい間違い、良い悪いではなく、「自分がどうしたいか」になったことで、自分が人生の主人公になりました。
もちろん他人とどう折り合いをつけていくかは課題ではありますが、先ずはこの瞬間の自分の考えや感覚を自分でわかっていないことには、その先のコミュニケーションに進んでいきません。
そういう意味では、ようやく自分の人生を生きている、という気持ちになってとても嬉しくなっていきました。
これは誰にでもできることだと思っています。
ただ練習が必要です。やはり人間は本当の気持ちを表現するのにはとても怖いものがありますから。
だから、そういう練習の場に星の時間がなっていけばいいなと思っています。
まずは自分自身を知ること、そしてそれで人と一緒に話したり考えたりすることで、お互いを尊重し合いながらコミニケーションしていくそういう場所に星の時間がなれればと思っています。
さやか:星の時間のリノベーションプロジェクトのページの最後に、
愛と思いやりがあるかが大事と書かれていて、とても印象的でした。
最初にお話ししたコンセプトの中で、自分自身と繋がっていくことをお話ししたのですが、打ち合わせの時に、シュタイナーの考え方の中に「小宇宙・大宇宙」の哲学があり、真理子さんはそこに惹かれて勉強したと伺って、
シャーンティ・ローカ・ジャパンのコンセプトとも繋がっている活動なんだなと思いまして、これからもコラボレーションをしていけたらと思っています。
今日は短い時間でしたが、本当にありがとうございました。
もっといろいろなお話を伺いたいので、またよろしければ、第二弾もお願いいたします。
それでは、真理子さんのお話に引き続きいて、
自分は今ここで何を感じているんだろう、
それを身体を通して見つめていくヒーリングヨーガをしていきます。
(…ということで続くプログラムに入っていきました)
(文責:西宮さやか / 代表)
八ヶ岳に子どもと大人の遊び場&学び場をつくりたい!
星の時間プロジェクト
今回稲垣真理子さんがお話ししてくださった「星の時間」は現在、リノベーションプロジェクトのクラウドファンディングをしています。(2023年3月31日まで)詳細はこちらをご覧ください!
https://www.reservestock.jp/shared_projects/index/742
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NPO法人シャーンティ・ローカ・ジャパン定例プログラム
「ヨーガ・音楽・アートで自分を見つめ癒していく Healing Space」は毎月第四日曜日16:30〜18:30にオンライン(zoom)で開催しています。
数ヶ月に一回のペースで、会場での開催も行っています。
T-UPでコンセプトをわかちあい、呼吸を感じながらヨーガをし、
音楽や絵画をじっくり味わっていきます。
その時間の中で、自分の内側に、すこーし空間を作っていく。
ほーっと、ひと息ついて、心が落ち着くところに落ち着いていくのを眺めていく。
そして、その日、その時のありのままをわかちあい、受け取りあっていく。
ご自分のための静かなひとときはいかがでしょうか。
どうぞお気軽にご参加ください。
ヨーガ・音楽・アートで自分を見つめ、癒していく Healing Space
詳細はこちら
シャーンティ・ローカ・ジャパン公式ホームページはこちら