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春を呼ぶ行事、「長谷寺・だだおし」のご紹介
立春を過ぎましても寒い日々が続いています。
皆さま体調はいかがでしょうか。
シェアハウスの方は、おかげさまで入居者様が徐々に決定して参りました。これからも見守りつつ、新たな生活をサポートしていきたいと思う今日この頃です。
一歩前に進んだこんな時だからこそ、前年の厄払いとこの先1年の穏やかで、かつ着実な歩みへと祈願をこめて、
昨年長谷寺の行事「だだおし」に初めて参加したときのことをご紹介したいと思います。
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1000年以上続く長谷寺の「だだおし」は毎年2月14日の夕刻に始まるのですが、
私は以前百貨店に勤務していましたので、この日はバレンタインデーという特別な日、店をあげて盛り上がる日です。
イベントスペースなどを運営していましたので、ただただ忙しい日となっていました。そのような行事のことなど露とも知らなかったのです。
でも、「奈良のお水取り」、「比良八講の荒れじまい」などは、季節の移ろいを表現するフレーズとして、またニュースで取り上げられることが多かったので、東大寺二月堂のお水取り(3月12日開催)を知ってはいました。
東大寺二月堂のお水取りと長谷寺だだおしは「大和の二大火祭り」と呼ばれておりますが、
だだおしが奈良の中南部、大和に一番先に春を呼ぶ行事としてあるということを、最近知りました。
不勉強極まりないといわれても致し方ございませんね。
「だだおし」って、何?ということですが、
長谷寺の修二会(しゅにえ)の最終日に行われる鬼追いの儀式でして、
長谷寺開山の得道上人が、閻魔大王から授かった「檀拏印(だんだいん)」を押印し、
法力を宿した「牛玉札」(ごおうふだ)の力で大松明を持った鬼を退散させる行事です。
由来は諸説ありますが、檀拏印を押していただくということで「だだおし」と呼ばれている説もあるようです。
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ここからは昨年の様子をご紹介します!
当日、二月とは思えない暖かな陽気で、近鉄電車の長谷寺駅から徒歩約20分、参道をゆっくりと歩きました。
昔ながらの旅館と共に、出雲人形が見えます。なんで出雲?などと考えながら歩いていく「ぶらぶら歩き」も楽しいものですよね。
そうしてお寺の手前ほどに近づくにつれ、草餅の暖簾が目につきます。草餅はとても有名なようですよ。
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仁王門をくぐり登廊を上がり、本堂前受付にて「牛玉札」をいただいたら本堂へ。
僧侶の読経や説明を拝聴したあと、秘宝の宝印で、おでこに押印していただくのですが、一人ひとり順番にされるのでプレミアム感満載!
朱肉の赤い跡でもつくのかと案じていましたが、大丈夫ですよ~
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その後、霊験あらたかなお札の力で追い出された青鬼、緑鬼が本堂内を順番で走り回り、
そして最後にはひときわ大きな赤鬼が次々と120kgの松明で追い回され、本堂の回廊をのたうちまわるように走り回ります。
ほら貝や太鼓の音、鬼の暴れまわる声、回廊を踏み込むだんだんという足音、観衆からの歓声はすごい迫力です。
また、その松明からの火の粉が夕刻の空に舞い上がり、その火の粉をいただくと自分自身の邪気や、厄が払われる気がして、何やら清々しい気持ちになってきます。
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ちなみに昨年は、本堂のすぐ近くで見ていたので、
舞った火の粉が軒や天井に火が付いたり、松明の炭が落ちると危ないなぁと思っていました。
しかし、国宝の本堂を守るためお寺の方や桜井の消防署の方々が、
鬼や松明が過ぎていくと、すぐに水をまいて、火災を予防されておられました。
その素早さは手慣れた様子で、手際の良さ、段取りの良さにもこの行事の伝統を感じました。
近くでご一緒させていただいた皆さんと、「髪の毛がこげそう」とか「顔が熱いわぁ」と言いながらも、
松明の燃えさかる一瞬、鬼の逃げ回るその一瞬をスマホやカメラに収めようと必死になっておられて、観衆である私たちも一体となったように感じました。
行事が終了し、まわりの皆さんにご挨拶をしての帰り道、
隣で観覧されていた老婦人の方とずっと歩きながら駅に向かいましたが、
「なんだか今年も無事に過ごせそうね、また来年ご一緒できたら嬉しいわ」と言ってらっしゃいました。
暖かな早春の陽気で歩いたせいか身体もほこほこし、合わせて心もぽっと温かくなりました。
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そんな「だだおし」は明後日14日。
今年はお友達夫婦と一緒に見に行こうかと思っております。
シェアハウスの入居者様の穏やかな暮らしと更なる発展を祈願したいと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。