【ラッシュデュエル】銭能く神に通ず【デッキ紹介】
こんにちは、雨弓改めラッシュ雨弓です。
遊戯王ラッシュデュエル、皆さんは遊んでいますでしょうか。
やろう。
やろう!!!!!
やろう!!!!!!!!!
絶対にやろう!!!!!!!!!!!!!
絶対に遊んでください。本当に面白いです。
ただ、豪快に誘っておいて申し訳ないのですが、本記事は私が組んだオリジナルデッキの紹介記事なので、この記事ではラッシュデュエルの基本的なルールについて改めて解説はしません。
ラッシュデュエルを知らない方は(そもそもこんな記事に辿り着かないと思うが)、まずYouTubeなんかで動画を見てルールを覚えて、そして一度その身で体験してみてください。特にOCGを遊んでいる方には、ラッシュデュエルが持つスピーディーで白熱したゲーム展開、「遊戯王だけど遊戯王じゃない」感覚を是非味わっていただきたい。
この記事は「これまでOCGのオリジナルデッキに親しんできたけど最近ラッシュデュエルに興味出てきたり遊んだりしていて、ラッシュのオリジナルデッキも見てみたい!」という、本当にごくわずか一握りの人間の需要を満たすため、そして私の物書き欲発散のために書かれています。それをご承知おきの上、この先お付き合いいただければ幸いです。
ラッシュデュエルのオリジナルデッキを組む難しさについて
私の物書き欲発散タイムです。まだデッキ紹介ではありません。話が違う。デッキの内容だけ見たいという方はデッキレシピの項まで飛ばしてください。
初めに、ここで言うオリジナルデッキとは「様々なカテゴリのカードを採用している」「特定のカテゴリに属さないカードを使用している」などの理由で、いわゆるデザイナーズデッキに対置される「自ら考えたデッキ」のことを指します。しかしラッシュデュエルにおいてOCGよりもオリジナルデッキの構築が難しいとされる理由は、何と言ってもまさにそのデザイナーズデッキとの差別化だと思います。
まず、OCGと異なりラッシュデュエルには同系統のテーマカードをまとめた名称としてのカテゴリ(OCGで言う「烙印」「スネークアイ」など)は存在しても、名称を指定してカードをサポートする効果(《デスピアの導化アルベル》が「烙印」魔法罠をサーチする、など)が存在していません。代わりに種族・属性・レベル・攻守などのステータスを参照してモンスターをサポートする効果が数多く存在しています。逆に言えば、「このカテゴリがサポートするのはこのステータス」という形でカテゴリが固定化されており、そこから外れたカード群とのシナジーが見込みづらくなっているのです。
OCGでは異なるカテゴリが似たステータスを共有するが故の構築(【天威相剣】や【ガエルスプライト】など)が大会シーンでも度々見られますが、ラッシュデュエルでは【竜魔】や【レベル7】などのグッドスタッフを除き、複数のカテゴリが混在するデッキ構築はあまりメジャーではありません。
一例を挙げると、ラッシュデュエルのカテゴリの1つに「エクスキューティー」があります。「レベル6」と「守備力500」を参照したサポートが豊富な、イラスト人気と強さを兼ね備えたカード群です。
そこで、「レベル6かつ守備力500」のモンスターが2024年6月24日現在ラッシュデュエルにどれほど存在するのか、遊戯王ニューロンで検索した結果がこちらです。
総数14件のうち、通常モンスター3種と一番左下の《寿司天使ドラゴンロール》(エクスキューティーとのシナジーはあまり無く、逆にレベル6以下のモンスターを攻撃不能にしてしまう効果を持つ)以外はすべてエクスキューティーで占められています。
つまり、「エクスキューティー」はカテゴリカードが持つステータスの指定や「レベル7以上のモンスターで攻撃できない」という制約のため、強みを十全に発揮するためには特定ステータス以外のモンスターを採用しづらく、またそのステータスを有するカテゴリ外カードの少なさから、逆にこれらのカードをエクスキューティー以外のカテゴリに出張させることも難しくなっている、というわけです。
もしエクスキューティーの誰かのイラストに一目惚れしたり、効果が面白いと感じたりしてそのカードを主軸にデッキを構築したいと思ったならば、最適解はおそらくオリジナルデッキではなく【エクスキューティー】になるでしょう。
とは言え、「エクスキューティー」カードすべてがこのような制約の多いカードというわけではありません。後ほどデッキ解説の部分で紹介します。
また、これもOCGと異なる点として、ラッシュデュエルはデッキの中の欲しいカードに直接アクセスする手段を持ちません。大抵は墓地へ送った後にステータスを指定した回収効果や、「デッキを上から何枚か見てその中に(カテゴリで指定されている)条件に合致したカードがあれば加える」といった効果を使って目当てのカードを回収します。そうした効果をより有効に使うためには目当てのカード以外にも同様の条件に合致するカードの比率を高めるほうがよく、結果としてそのステータスを指定したカテゴリで固めたデザイナーズデッキが最も強い構築になりやすいのです。
もちろんこれらはカードゲームとしてまったく悪いことではありません。あくまでオリジナルデッキを組む上で差別化に悩む点であるだけです。また2024年6月現在、ラッシュデュエルはOCGと比較してカードプールが約1/6の数に収まっており、今はまだ構築の自由度がそこまで高くないだけで、今後はもっとオリジナルデッキが組みやすくなっていくと思います。
そもそも自分で考えて組んだデッキならデザイナーズデッキと構築がほとんど変わらなくともオリジナルと呼んで差し支えない、という考え方もありますから、究極的には組みたいようにデッキを組んで、呼びたいように呼べばいいのです。
それでも今回の記事を「オリジナルデッキの紹介記事」と称したのは、OCGと同じようにラッシュデュエルでも独自性を出した構築が可能なのだと伝えたかったからです。
オリジナルデッキを組まなくても幸せになれるこのラッシュデュエルで、私はオリジナルデッキを組みたいのです。
このカードが、私を呼んだから。
《ヴォイドヴェルグ・ゴッドレクイエム》。
満たされぬ魂を抱えた哀しき神のカードです。
やりたいこと
そろそろデッキの話に触れ始めます。が、まだ発端の話なので内容だけでいいという方はもう少し飛ばしてください。
今回のコンセプトは、《ヴォイドヴェルグ・ゴッドレクイエム》の活用です。改めて画像をば。
このカードは「ヴォイドヴェルグ」という既存のカテゴリの名を冠したカードであり、先ほど長々とお話しした(読み飛ばした方が大半であろう)部分に則って言うならば、このカードが最も輝く場所はデザイナーズデッキ、すなわち【ヴォイドヴェルグ】のはずです。
が、我らが遊戯王ラッシュデュエル有志wikiにはこのような一文が。
具体的なカード名が列挙されていますが、大事なのは最後の部分。
「このカードはレベル10のため、あちら含めてレベル8もそのサポートも多い【ヴォイドヴェルグ】とは若干かみ合わない。」
【ヴォイドヴェルグ】とは若干かみ合わない。
事実、【ヴォイドヴェルグ】は強力な効果を持つレベル8の上級モンスターおよびフュージョンモンスターを多数有するデッキであり、3体分のリリース素材を確保してゴッドレクイエムをアドバンス召喚するまでもなくエースには事欠きません。
では群雄割拠するエースたちの中でゴッドレクイエムがそれに見合う能力を有しているかと言うと、とてもじゃありませんが答えはNOです。
効果発動のためにフィールドに3体のモンスターを並べた時点で、少なくとも【ヴォイドヴェルグ】ではその3体でそのまま殴る、あるいは他の最上級モンスターやフュージョン召喚へ繋げる方が強いことが大半です。なぜならゴッドレクイエムはレベル10と言いつつも攻撃力はレベル8の最上級エース群と同じ2500しか持たず、相手の効果への耐性を得ることもありません。ラッシュデュエルにおいてレベル10のモンスターを射程に収める効果はそれなりに限られていますが、昨今はレベルに関わらずモンスターを除去・妨害するエース級カードや汎用魔法罠も増加傾向にあり、一昔前よりもレベルの高さによる擬似耐性を手放しに信用できなくなっています。
また効果も「レベルを問わないモンスター破壊+攻撃力分のバーン」と一見派手で強力に見えますが、この効果が強く使えるかどうかは相手の場に依存する部分が大きい、というのが最大の欠点です。相手の最高レベルモンスターが破壊耐性を持っていたり、相手場に裏守備モンスターしかいなかったりすると、ゴッドレクイエムの効果は一切意味の無いものになってしまいます(バーン効果の部分は相手の表側モンスターが破壊できないと適用できないため)。また相手モンスターが1体のみの場合も、単にそのモンスターを破壊するだけになります。ぶっちゃけエースとしては不十分です。
比較すればするほど、ゴッドレクイエムは弱い。「ゴッドレクイエム」の名が泣いています。書いていて私も悲しくなってきました。
しかし同時に、私はとても嬉しかったのです。
デザイナーズデッキで救われないカードがある、ラッシュデュエルにもオリジナルデッキを組む十分な理由がある、ということが。
オリジナルデッキビルダーの端くれとして、ラッシュデュエルに魅入られた者として、このカードを使わないわけにはいかない。そんな思いで組んだデッキがこちらになります。
デッキレシピ&解説
お待たせしました。ここから本格的にデッキ紹介です。飛ばしてきた方は止まってください。
またデッキレシピは遊戯王ニューロンでも公開しているので、そちらも合わせてご確認ください。
今回ゴッドレクイエムを活用するにあたり重視したポイントは、「いかに相手の表側表示モンスターの数を増やすか」。実は2024年6月現在、ラッシュデュエルでは相手の場にモンスターを出力する効果を持つカードはかなり限られています。その上表側表示となると私が調べた限りではただ1枚、《星帝家臣ヘーベ》のみでした。
元々はカテゴリ内の別カードとのデザイナーズコンボが考えられている効果ですが、ゴッドレクイエムを活かすにはこれしか無いと思いここから構築をスタート。残念ながらゴッドレクイエムは守備力1000ではないため墓地からの回収はできないものの、代わりに守備力1000であり相手の裏守備を攻撃表示にできる《風使いトルネ》を採用しました。
それ以外にも入れたいカードとして、闇属性ギャラクシー族、すなわちゴッドレクイエムを墓地から回収できる魔法《ヴォイド・コリドール》がありました。とは言えコリドールがゴッドレクイエムしか回収できないのは弱いので、ヘーベの効果を起動するためにも「闇属性ギャラクシー族かつ守備力1000のモンスター」である《ヴォイドヴェルグ・カタフラクトス》に白羽の矢が立ちます。カタフラクトスは墓地のレベル8ギャラクシー族を回収できるため、ゴッドレクイエムを抜いてトランザム・クライシスを採用コンボの軸となるヘーベとも元よりカテゴリ内でシナジーがある《煌星帝エストローム》を露払い役に据えました。
コリドール採用により、積極的に墓地を肥やして墓地からゴッドレクイエムを回収する方向性でデッキが固まりました。そこで、墓地肥やし効果、カタフラクトスの効果起動に必要な闇属性、そしてこれまた守備力1000のステータスと必要な要素を完璧に備えた《ニゲイター・ドラゴン》と、お供である《攻撃の無力化》を採用。無力化はレジェンド罠の中でもミラーフォースなどと異なり、相手の表側表示モンスターを残しながらこちらのモンスターも守れる点がゴッドレクイエムと噛み合っていて◎。比較的値が張る《魔法の筒》を不採用にする理由が見つかって経済的にも◎
その他にも守備力1000を有し戦線維持が可能なモンスターとして、コイントス効果を持つモンスターに着目。効果を発動したモンスターをアドバンス召喚の生贄に充てた後《スロットマシーン PG-7》で回収しもう一度効果を使う動きが強力で、単純にモンスターの嵩増しにもなるためゴッドレクイエムのリリース要員確保にも貢献できます。テーマ内エースの《鋼鉄馬マーチン・ヴァイナリー》は守備力1000ではありませんが、相手の表側モンスターの数に応じたコイントス効果を持っており、奇しくもデッキコンセプトと噛み合って裏エースを担ってくれます。
またゴッドレクイエムのアドバンス召喚をサポートしつつ戦闘補助も兼ねるカードとして、《エクスキューティー・アップ!》《エクスキューティー・ライディング!》を採用しています。特にライディングは単純に相手ターン中に使う蘇生+デバフの防御札としても優秀ですが、自分ターンにヘーベの効果を起動して相手にモンスターを特殊召喚させた場合にも発動できるオシャレ仕様なのがお気に入り。
レジェンドカードについて、罠は《攻撃の無力化》でしたが、モンスター・魔法は《地帝グランマーグ》《強欲な壺》をそれぞれチョイスしました。前者はへーべで回収可能かつゴッドレクイエムが対応できない相手の魔法罠を割るため、後者はゴッドレクイエムの展開やそれまでのゲームスピードを早めるのに手札を増強したかったがための選択です。《天使の施し》はちょっとお財布に厳しかったので魔法罠を可能な限り捨てずに活用していきたいと考えて採用を見送りました。
グランマーグ以外に、スロットマシーンで回収できて2500を超える打点を持つ《リボルバー・ドラゴン》も一時採用していましたが、「ゴッドレクイエムのデッキ」として選ぶべきはグランマーグだろうということで今の形に落ち着いています。
最後にデッキ名について。「銭能く神に通ず(せんよくかみにつうず)」は元々中国の故事成語か何かである「銭能通神」を書き下したもので、意味としては現代語で言うところの「地獄の沙汰も金次第」に近いらしいです。適当にググって出てきた言葉だし有名じゃないっぽいので詳しくは知りません。
守備力"1000"や、"コイン"トス効果を持つモンスターから"ゴッド"レクイエムに繋がる語感と、逆にゴッドレクイエムの難点もそうした「銭」次第である、という意味を込めて名付けました。決して金で汎用カードを買えば解決するという意味ではありません。半分事実だけど。
おわりに
ラッシュデュエルがあまりに面白すぎて、久々の記事もつい筆が乗ってしまいました。もう少しだけお付き合いください。
デッキ紹介以前の部分で散々ラッシュデュエルのオリジナルデッキは難しい、という話をしました。それとは矛盾するようですが、ラッシュデュエルのオリジナルデッキ構築は割と簡単です。
ラッシュデュエルのカードプールはOCGに比べれば少ないと言いましたが、それでも2000枚以上ありますから不十分でもないのです。主軸となるモンスターやコンボさえ決めてしまえばシナジーのあるカードは限られるので、多様な選択肢があるOCGよりも構築の方向性が見えてきやすいメリットがあるとも言えます。
それでいて、OCGで構築するようなオリジナルデッキと遜色無いものを作ることも十分可能です。手前味噌ですが、今回紹介したデッキもかなり完成度が高いなあ、と我ながら満足しています。なのでこうして記事にして見せびらかしています。むふー
デザイナーズデッキでは満たされないという逆張り崇高な志の持ち主にも、ラッシュデュエルはおすすめできます。ラッシュ特有のユニークな効果を持ったカードやOCGとは異なる構築のノウハウに加え、何よりラッシュデュエルというカードゲームそのものの面白さが飛び抜けているのだから、間違いなくこれからラッシュデュエルのオリジナルデッキも盛り上がってきます。もちろんデザイナーズデッキでしっかりラッシュデュエルの奥深さを知るのも最高に楽しいですよ。
改めて、もしラッシュデュエルをプレイしたことも無いのにここまで付き合ってくださった奇特で心優しい方がいらっしゃれば、是非一度ラッシュデュエルで遊んでみてください!
そしてOCGからラッシュに入ったオリジナルデッキビルダーの方は、ラッシュデュエルのオリジナルデッキ構築に挑戦してみませんか!!
コスモス姫の再録を早くも心待ちにしている、ラッシュ雨弓でした。
本当に、ラッシュの高額カードはざっくり言うとOCGの汎用手札誘発みたいなもので、デッキを強くするために有効な手段ではあっても遊ぶ上で必須の代物ではありません。信じて
それでは、またどこかでお会いしましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
質問やアドバイスがございましたら、コメントやTwitter(@sh_rainbow4810)の固定ツイートにある質問箱などへお気軽にお声掛けください。
最終更新:2024/6/24