その夢が重なる先の未来を
紛れもない僕の太陽に出会って、三か月と少しが経った。ここまで本気になったのは一体、いつからだっただろう。
「オーディション番組」に初めて出会った。それまでの自分の人生では出会ったことのないアイドルとの出会いは、思わぬ形で長い旅へと変わった。
「オーディション番組は番組中が華」そんな風に聞いていた数カ月前の時を経て、今、そんなオーディション番組発のアイドルに本気で夢を託そうとしている。
・終わらないアイドルで居ること
アイドルの定義を、今一度見つめ直した。
「偶像」「崇拝される人や物」「あこがれの的」「熱狂的なファンをもつ人」を指す。英語に由来する語。稲増龍夫やカネコシュウヘイは、日本の芸能界における「アイドル」を『成長過程をファンと共有し、存在そのものの魅力で活躍する人物』と定義している。
なるほど、思った。
私がこれまでの10年間で出会ってきたものはきっと前者で、いま直面しているのは後者だ。常に「アイドル」として世に出されたものを享受して生きる世界とは少し違う、「その過程」を一緒に走りきるという経験。その過程は決して綺麗事ではなくて、誰かの人生のトラウマにさえなり得るほどの感情と合わせて生きている。「アイドルを目指す」という何よりも分かりやすいテーマを掲げているのにこんなにもアイドルが分からなくなることあるか、って正直思った。
アイドルという言葉が世間の骨随まで浸透しその言葉の指す対象が把握できないほど肥大した今、「アイドル」という言葉の指す意味の指す対象がどんどん大義になっている。私自身、アイドルを好きになることにある種のプライドとそれ相応の人生を掛けてきた。その人を推していることを心の底から誇りに思える人でなければ全力を懸けられないと、本気で思って生きてきた。
アイドルであることに誇りを持ち、アイドルであることに人生の「すべて」を懸けている。そんなアイドルとしての目標が高い人のことを、応援していきたいと願うから、その願いを叶えてくれるようなアイドルを探していた。そのステージで輝く最善のステージを自分で見つけて、藻掻いて、一度きりのステージを全うする姿が心の底から美しく眩しい。人の真髄を見抜くような達観した感性にもずっと、惹かれていた。
一番最初に出会った推し、櫻井翔くん。見ているだけで笑顔になれる5人のパフォーマンスの中でその中心となってライブや番組を進行する翔くんを、小さいながらに本気で尊敬していた。
その次に出会った上田竜也くんのことは、ファンクラブに入るほど好きになった。マイク片手にころころと表情を変える妖艶なパフォーマンスに虜になった。まだ中学生だった私の、最初の「アイドル」の定義になった。
大学生になり、アイドリッシュセブンという二次元のアイドルにも出会った。アイドルという職業に身を捧げる残酷さとそれでもと笑うアイドルという存在の残酷さと美しさを、これでもかというほど突きつけた、人生最大の物語だった。
3年前、年末のカウントダウンで中島健人くんというアイドルの天性に出会った。まさかあの有名な健人くんが自分の望むアイドルの定義になるなんて、思ってもいなかった。「偶像」としての作り上げられたアイドルの姿にここまで本気になれる人はきっともう見つからない。「アイドルとして存在することを望んでいてくれる」それ以上に幸せなことはもうきっと無いんだと思った。
そして出会った、夕立の雲さえも優しく照らすような暖かさで誰かの羽根をいつだって癒す私たちの光、松田迅くんという名前の太陽。
いくつものアイドルたちに出会い、応援してきた過程で、気づいた1つの答えがあった。
きっと私は、信じた夢たちに終わらないアイドルでいてほしかったのだと思う。形式的な永遠を、信じさせてほしかったのだと思う。そして、なんでもない日もずっと自然と、そこにいて欲しかった。
夢の終わりなんて誰も見たくない。伝説なんて賞賛よりも、ある日突然姿を消したりしないアイドルの方がいい。やっぱりアイドルを最初に好きになったころからは自分も少しは成長していて、ある程度のことは諦めがつくようになった。この世界でトップを獲るのは本当に難しくて、それが全世界の共通ではないことくらいもう、十分に分かっていた。
永遠のない世界で、それでもと”永遠”を笑って願うこと。そこに絶え間なく、永遠という名の愛を注ぐこと。「アイドル」としてのひとつの究極をこれまでのアイドルを応援する日々の中で知った。
永遠が消え去るのは、ファン側にも要因がある時がある。その気持ちが、消え去ってしまったとき。何かの拍子で、愛しさが憎しみに変わったとき。その原因はさまざまで、だけど「永遠に」最初の熱量で隙で居られることのほうがきっと、難しい。
アイドルもファンも、変化していく。その変化こそが終わりと永遠を阻む最大の敵であり、避けられない道だ。でも変化と共に生きてきたからこそ今こうして、全力を掛けられる大好きなアイドルたちにも出会えている。
変わらない形を願っても、ずっとそこに留まっていたとしても、変化を受け入れる強さを手に入れても。その想う形はそれぞれが別物で強かだからこそ、信じたいアイドルのことを本気で今も願えている。
・それは、誰かの恋にたどり着いた先
アイドルを好きでいるのは限りなく恋に似ているんだと今更になって気づいた。
それは、君を好きでいることでその世界の彩度が何倍にも鮮やかになるような感覚で、そのすべてを投げうったってその人の幸せを願いたいと思えるような、そんな存在だ。
プデュに出会った3ヶ月前、年の近い妹をなんとなくで一緒にプデュ鑑賞に誘った。それまでアイドルの類のものに没頭したことがない妹が人生で初めて、「信じるアイドル」を見つけた。
アイドルのいる世界を知らなかった妹に世界の色を教えたのは彼女の1pick、ただ一人だ。
それぞれが選んだ、たったひとりのアイドルにしかその世界の色は変えられない。
その事実を痛いほど突きつけられた。
まだモノクロの世界を知らない。君に出会って色づいた世界にいる今の、その数値化できない奇跡に呑まれて生きている。その事実が今になって痛いほど苦しくて、前を向かなきゃと思わせられる。
私にもまた、大好きな推しが最後までその肩を並べた、忘れられない練習生がいる。その関係性はもう私の言葉では形用できないほど重く、簡単な言葉で片付けたくない。ずーっとこうして気持ちを文章に込めてきたけど、彼らの関係性だけは、誰も知らない境地で見つけた、永遠に光る宝物で居てほしい。
生放送で放映された「ONE」と「RUNWAY」は、言葉通り伝説のステージになり、その余韻がずっと心の奥で渦巻いている。あの一番大きなステージで見たその眩しさだって、乗り越えていかなければならない。
「出会えるその日まで」の待ち合わせの場所で出会えるように、一緒に頑張らなきゃいけないもんね。行ける一番高いところの未来まで、君と一緒に見ていたい。振り返るんじゃなく、この先の未来で咲かせるお互いの満開の花を誓うために今は、ただただ前を向かせてほしい。
誰かの恋に似た気持ちがアイドルに辿り着くことがこんなにも美しいんだなと気づいたのは紛れもない、プデュでファンたちがそれぞれの推しに思いを掛けている姿をリアルタイムで目にしたからだ。自分の人生で、忘れられない記憶になった。
・その11つの夢に懸ける
それぞれが自分の信じるアイドルを見つけ、簡単に「トップ」が見つからなくなった続くアイドル戦国時代に、たまたまプデュに出会った。
この奇跡を手放しにはできないと本気で思っている。だからこそ、INIの11人がどうか、日の当たる場所でその翼を広げられるようにと膝を折って祈っている。
無数のアイドルの選択肢がある中で今、君がいるINIが、その世界の定義のひとつになってほしいと本気で願っている。それぞれで目指した夢と叶えたい願いを持って集められた11人に、最後の奇跡を起こしてほしいとすべてを投げうってでも願える。
11人の羽には、あまりにも多くの夢が託されている。それは、60人の、101人の、オーディションに挑戦した夢たちの、そしてその夢に願いを懸けた数えきれないファンの願い。これから先広い世界に飛び出してその軌跡の全部が伝わらなくても、「見ていて笑顔になれるようなアイドルだ」と気づいてもらえなければならない。
INIの11人が持つその空気感とやさしさと、涙が出るほど眩しいパフォーマンスがどうか、世界のどこかで希望を待つ誰かの、救いになるようにずっと祈っている。INI、まだ咲く前の11つの蕾に、その夢をどうしたって託したい。
永遠になるのは難しい。だけど、永遠にその名が残るほど眩しいステージを見せるポテンシャルが勝ち残った11人にはきっとある。新たな物語を紡げる11人だから、そのステージに立っている。
難しい。この物語を見届けてその続きを一緒に歩くことと、大勢多数の大衆から「国民的なアイドル」だと認知してもらうには相当の時間と、オーラと、時代に合った眩しさが必要になる。
アイドルと生きる人生をずっと生きて、ほんの気まぐれで見始めたプデュ。その果てで出会った最大の推しは迅くん、君だ。
何度も、何度も愛を伝えてきたね。
君がいたからこんなにもこの番組を、そしてこの番組に懸けられた夢を背負って生まれたINIというグループをこんなにも愛せる。全部、君のおかげなんだ。大好きな推しが18歳という若さでその身を捧げるグループそのものに、やっぱり幸せになってほしいんだ。
できる限り多くの人の共通認識になりたいと思うのは自然なことで、きっと誰しもが自分の信じるアイドルがそうであってほしいと願っている。INIの持つ「なんでもない日も自然とそこに居てくれる」その暖かさは、まだ見ぬ未来のアイドルの新定義になる、そんなポテンシャルがあると思う。
未曾有の状況下に置かれて一年半近くが経ち、いつまで経っても光の見えないこの日々にだんだんと悔しさ・憤りを感じるようになった。「人生で一番楽しい時期なのにね」とたらればを言われたって失われた私たちの数年は却ってこないからこそ、この数年に何かしらの価値があってほしいと思う。
全てを懸けられるその存在に出会えたから、この数年を恨まずに済んだ。こんなご時世に、本気で君の未来を願っている。一度きりの人生でアイドルと共に生きることを選んだこの選択を、アイドルを好きでいるこの時間を一秒だって後悔したくないからこそ、出会えた君をただ必死に見つめている。
・その景色が喉奥に刺さって抜けない
アイドルがやっぱり好きだな、と思う。俯いた夜も真っ暗な朝も、その存在があるだけでなんとか前を向けるのは七色のペンライトが、喉奥まで響く音が作り出すその光の海の景色がずっと喉奥に刺さって抜けないからだ。
まだまだ、新しいアイドルの定義になるかもしれない星たちはこれからも無数に現れる。いつだって乗り換えられる世界の中でいま、この11人に懸けたい。
まだデビューする前の11人だけど、どんどんそれぞれのメンバーの持つ強さや個性、達観した感性や圧倒的な存在感の虜になっている。自分の推しはさることながら、しっかりと11人に向き合えているのはある種、奇跡かもしれない。それは迅くんがデビューメンバーになれたという喜びもそうだし、何よりも迅くんが"INIに居て当たり前"になる未来のことが何にも代えがたいほど嬉しい。
とんでもないアイドル戦国時代、そして直接会うことが叶わない、なんとも難しい時代に生まれた夢のことを手放してはいけないと本気で思う。
それほど、その存在に救われている。
結局、アイドルって何なのかは答えは出ない。きっと、答えは出ないままでいい。信じたいと思えるその人たちが作り上げる軌跡の過程を見つめることで、その人たちの目指すオリジナルの物語が、唯一無二の答えになる。
だからINI、この夢を託すよ。アイドルを応援することは人一人の人生を棒に振るほどの体力がいる。それでもいいと思えるほど、アイドルの作るステージは眩しい。
真っ暗な夜空に、流れ星を降らせるみたいに。星にも、虹にもなれる皆に、夢中にならせてほしい。
いよいよアーティストとしてデビューするその未来を考えるたび涙が出そうな気持ちになる。11人の未来が楽しみで幸せで仕方ないから、託せるよ。
デビューまであと少し。ちっぽけなオタクの全力を、皆の夢に注がせてね。
8.18 with all my love, Shio