"All the world’s a stage, And all the men and women merely players" について | "As You Like It"/お気に召すまま
"As You Like It" は、16世紀にシェイクスピアによって書かれた喜劇です。その中の第2幕第7場のセリフに、 "All the world’s a stage, And all the men and women merely players" というものがあります。世界は舞台、人はみな役者。―― 人に用意された生は、広大な時間の中のほんの刹那にすぎません。私たちの細胞は、エントロピー増大の法則に抗い、何とか秩序を保ち続けようとします。しかし、その期間は約100年程度。そして細胞の崩壊とともにカオスへと発散していきます。宇宙規模の視点では、ほんの小さな点ですが、私たちの意識、現存在としての視点から見ることのできる生の時間は、有意義なものです。この生の時間、すなわち舞台の上で役を演じることのできる時間、その中で、構造主義的には決められた役、もしくは実存主義的には自ら選択した役を演じていかなければいけないのです。生と死によって人には制限があり、登場と退場をコントロールすることはできません。それでも今、舞台の上にいて何かしらの役を演じることができていることが重要であり、貴重なことだと思います。退場があるからこそ全力で役に徹することができるのかもしれません。すでに役が割り合ててあるのなら自分のやりたいことをして、欲するものを実現しようとすべきだとも思います。好きなマンガですが、「バガボンド」の一節を思い出しました。
また、人はとてつもなく大きな世界を構成している役割の一端を担っています。自分の周りの社会、環境との関わり合いを認識することも必要です。そしてたまたま同じ舞台上に居合わせた人々との出会いに感謝すべきだと感じます。自分の居場所を見つけ、受け入れていくことが大事だと考えます。素晴らしい戯曲に触れること。それもまた役割の1つかもしれません。