プラごみ対策の終わりは来ない、かも?
このArtsをサステナブルと考えて解釈したらどうなるであろうか?人間の命は儚いほど短い、しかし人間は自然と共にサステナブルに未来へと生きていかなければならない。本来は医学の道というArtとしてヒポクラテスは言い表していますが、ヒポクラテスがより大きな視点で言い表している事、自然の中における人間の健康、と言う観点で考えるとこうなるのではないでしょうか?「儚い命がけの人間は、サステナブルで生きるべきということを次世代に伝えていくと共に、世代を超えて人間の本質的なあるべき姿を伝え、そして人間社会をサステナブルな社会に「戻す」事に全力を尽くさなければならない」。
はじめに
今回のnoteは、3年ぶりの海外出張で参加した、UNEPアジア太平洋地域チームがバンコクで開催したメコン川流域におけるプラスチックモニタリングに関するプロジェクトワークショップ参加のメモです。3年ぶりの海外出張となった今回、久しぶりすぎて、出張に何を持って行ってたっけ、というところから準備が始まりました。ついに海外出張が再開されたので、今年は色々と予定が入ってきています。でもまだ完全にコロナが終息したわけではないので、感染防止対策は常に必要です。ちなみにバンコクでは、既にマスクしなくても良いとされていますが、混雑するところ、屋内などでは、まだ多くの方がマスクをして生活をしています。しばらくはまだマスク生活が続きそうですね。
プラスチック汚染対策:我々が忘れている事
目の前に現れた緊急を要する課題に対して、我々は二つの事を忘れがちです。一つ目は、その緊急課題は、我々が目の前の利益を追い求めて、その長期的な影響を考えてこなかったこと。二つ目は、その緊急課題への対策として緊急的な対策に注力しすぎて、本質的な解決に向けた行動がおろそかになる事、です。気候変動もしかり、水俣病や水銀汚染もしかり、その他化学物質・廃棄物汚染もしかり。、人間がいつもその汚染に気が付くときは、既にその汚染度合いはかなり進行してしまってから。逆説的かもしれませんが、過ちに気が付かない限りその汚染は気が付かない、というのが、人間でしょう。
でも、人間はその過ちを繰り返しています。目の前の利益を求めるために、その長期的な影響を考えてこなかった、いや、考えてきたけども、見て見ぬふりをしていた。きっとその影響はここに住んでいる自分たちや自分たちの時代には影響がないと。その影響を知らなかった時代は、まだ良かったかもしれません、なぜなら少なくとも科学的な根拠や知見が少なく、その影響を客観的にとらえることができなかったからです。でも今環違います、既に我々は気が付いています。しかも、この問題は最初の環境問題ではないのです。
我々は二酸化炭素などの地球温暖化物質を排出し続け、これらは気候変動の原因物質です。過去には水銀が含まれる工場排水を出し続けて、水俣病を発症させました。今でも、金を採掘するために水銀を使用しています。そして、プラスチック。プラスチックはミラクルな素材です。どんな形にも製造することができます。プラスチックがあるからこそ、例えば難民キャンプへ安全新鮮な飲料水や食料を届けることができます。
私たちは「プラスチック汚染」という言葉を使います。プラスチック汚染の原因物質は、もちろんプラスチックです。世論もプラスチックがあるから、このようなプラスチック汚染を引き起こしている、と言う新聞報道やウェブサイトを多数見かけます。でも、本当にそうでしょうか?
「環境問題全てに言えますが、人間が原因である」という当たり前のことを、環境問題はきっと誰かが解決してくれる、という無責任な考えとして、プラスチックがプラスチック汚染を引き起こしている、二酸化炭素が気候変動を引き起こしている、水銀が水俣病を引き起こしている、だからこれらの物質が悪い、というトーンが世論となっていないでしょうか?
すべて私たちが悪いのです。人間が二酸化炭素を排出するから気候危機が行っている、人間が水銀を排出するから水俣病を引き起こした、人間がプラスチックを排出するからプラスチック汚染を引き起こしている。人間が変われない限り、残念ながら、我々は今後も新たな環境問題を引き起こし続けるでしょう。
木を見て森を見ず:プラスチックごみをみてごみ全体を見ず
一つことわざを使いたいと思います。木を見て森を見ず。目の前の事柄だけを注目して、その全体的な影響を見ないことを言い表します。こプラスチック汚染はその典型的な事例です。プラスチック汚染というテーマが世の中に出すぎていて、プラスチックさえ何とかすればこの問題が解決される、というトーンの説明やそれに向けた活動が非常に多いと思います。
でも、廃棄物分野の目線で見ると、プラスチックはわずかな量なのです。我々は年間約3.1億トンのプラスチック廃棄物を排出してますが、都市ごみに占めるプラスチック廃棄物は約13%、その都市ごみが廃棄物全体に占める要はわずか4%しかありません、廃棄物全体の中でプラスチック廃棄物が閉める要は0.06%、とわずかです。プラスチック汚染は喫緊の重要課題です。プラスチック廃棄物を敵視絵に管理することがプラスチック汚染対策の一つである事には間違いありませんが、廃棄物全体を適正に管理しない限り、プラスチック廃棄物問題は絶対に解決しません。
地球は年間約580億トンの天然資源を作り出していますが、我々はその倍以上の約1200億トンもの天然資源を掘り出しています、そして年間約560億トンから580億トンもの廃棄物を排出しています。この全体像を把握した上で、循環経済の観点からプラスチック廃棄物対策を打っていく事が重要です。
だからこそ普段のその一歩が重要なんです。
これらを踏まえて、UNEPにおける廃棄物担当部署では、国・都市別廃棄物管理戦略のプロジェクトを継続しています。廃棄物全体を見つつも、廃棄物問題に関係する例えば貧困やジェンダー、経済的・社会的問題などをリンクさせた廃棄物管理戦略の策定・実施を行っています。廃棄物問題は、もちろん廃棄物だけの問題ではなく、我々の人間社会における様々な要因が複雑に絡み合った結果として排出されるものであるため、廃棄物問題を解決するためには社会全体を見なければなりません。つまりごみ問題を見て社会全体を見ず、ではだめなのです。社会全体を見た上で、では廃棄物問題への対策をどのように打ち出していくか、というのが重要です。
UNEPにおいて廃棄物管理担当の僕のチームでは、社会全体を見ながら長期的な目線で廃棄物管理問題を解決するため、引続き、国・都市別廃棄物管理戦略プロジェクトを実施しています。これは、廃棄物問題を引き起こしている社会経済的要因を踏まえた上で、少なくとも今後10年間の廃棄物管理戦略を策定し、それを実行するプロジェクトを2015年より実施しています。今まで、ブータン、カンボジア、インドネシア、モルディブ、モンゴル、ミャンマー、ネパール、スリランカ、ベトナムで国別廃棄物管理戦略を策定し、今年後半からこの一部の国でその廃棄物管理戦略がいよいよ始まります。また、この中でも直近に廃棄物管理戦略を策定したインドネシアとスリランカでは、プラスチック汚染対策を前面に打ち出しています。
儚い命の人間がもたらしたその破滅的な環境破壊は、人間の未来世代に負の遺産として受け継がれていく…