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地球を守るためには、やはり、その小さな一歩が大切です

さて今回はちょっと違う目的での記事を書いてみることになりました。仕事の一環としてコミュニティーラジオにちょこっと出演することになったので、その内容を考えるために文字を書いてみることにしました。

今回出演することになったのでは、エフエム・キタ、通常は愛称としてウメダFM Be Happy!789といわれている大阪どまんなかのエフエムラジオ番組です。大阪市から打診があったのですが、エフエム・キタは環境省のCHOOL CHOICEに賛同して、地球温暖化対策活動推進事業の補助事業者として、ラジオを通じて市民の皆様へ地球温暖化の普及啓発等を行っているとのことです。この一環として、ウメダFM平日午前の番組Be Gourmet!の中で、Be Gourmet! Wendsdayの10分ぐらいに出演することになりました。ラジオに出演するのは人生初(で最後?)なので、楽しい経験になりそうです。

でも今回ラジオに出ることになって改めて自分に対する問いを立ててみました。

①楽しさ:楽しいことは時間を忘れる、無我夢中になる、もっとやりたくなる。幸せなことに僕は仕事が楽しいし、多くの同僚と忙しい中も楽しさを見つけて日々生活しています。もちろん家族との時間も大切ですし、こっちももっと楽しいです。地球環境を守ることも楽しさを感じることができないだろうか?基本的に、環境関連というのは、正直、めんどくさいと思う人が普通だと思います。例えばごみの分別、そのまま出せればさぞ楽だし、と考えるのが人間の本性。地球環境を守ることが楽しい、と思ってもらえるようにするには何が必要でしょうか?

②力のある言葉:今から思えば、僕は小中学校と基礎学力ができる時期には理数系は得意だったけど、国語に苦手意識があり、その意識がそのまま成績に直結していた。国語に加えて英語も。いわゆる典型的な理系人間の枠に自らはまって、「僕は理系の頭だから文系は苦手」と間違った意識を持ったまま大人になってしまった。でも国語が苦手ということは、理解不足が足らない、情報を正確に理解できない、という状態で、今に至り、この年になって気が付く次第。国連の職員として、例えば国際会議や専門家会議、各種講義や講演等で、環境に関する難しい情報を伝えるのも一つの仕事だけど、これらの情報に関する自分の思いを伝えるということはできていないことを痛感するここ最近。情報は伝える、それに価値はあるけど、地球環境を守るために多くの人がアクションを取ることを促す「言葉」の力を磨かないといけない、と思うこの頃です。力のある言葉を身に着けることはそう簡単ではありませんが、誠実のある力のある言葉が心から出るような人間を目指したいです。

③いのち輝く:2025年大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。その「いのち輝く」とはどいう意味であろうか?人生の中で僕は2回ほど万博会場に行ったことがある。始めていったのが1985年のつくば万博(国際科学技術博覧会)、ちょうど10歳の少年だったころ、言い換えれば理系少年だったころ、僕の未来はこんなすごい世界なんだ、とパビリオンや会場の未来社会に目を輝かせながら楽しんだ記憶があります。2回目が1989年の横浜博覧会、ちょうど中学生の時。ここでも、未来はこんな技術がある生活になるのか、と楽しんだ記憶があります。では2025年の万博は?万博のウェブサイトを見ると未来社会へのつながり、SDGsとSociety 5.0 の次世代社会の情報が載っていて、ワクワクします。でも「いのち輝く」とは何であろうか?よくよく考えると、人間以外のすべての動植物は、いつもいのち輝いている。人間だけがこの悩み、「いのち輝くとは」を考え続けている唯一の存在、まぁ、だから理性を持った動物なんだろうけども。それに悩むのが人間の苦しさでありつつ、使命でもある。では人間が「いのち輝く」ためにはどうすればよいのか?哲学的な答えは明確、「自然と一体化した生活をすること」。でもここでの悩みは、ではどうやって?それができないから、地球環境が破滅に向かっていると思う。気候変動等の地球環境汚染に対する地球の声は小さかった、ので、人間が気が付くのにも250年くらいかかった。でも今回の声は明らかに違う、この世界的大流行の声は。これでも私たちは何もしないのですか?人間の命が輝く前に、いのち輝いている動植物を絶滅させ、そして自らもそうなる運命かもしれません。

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環境を守るために命を輝かせよう!

DJ:今日は大阪に唯一ある国連機関、国連環境計画の本多さんにお越しいただきました。本多さん、よろしくお願いします。

本多:こんにちは、よろしくお願いします。

DJ:まずは国連環境計画について教えていただけますか?

本多:国連環境計画(United Nations Environment Programme、UNEP)というのは、国連の中で環境問題解決に特化した国連組織です。約700名ほどの職員がいて、日本人職員は20名ほどです。本部はケニアのナイロビにあり、パリやジュネーブ、バンコクなど世界中に事務所があります。その一つが、廃棄物担当部署が国際環境技術センター。大阪市鶴見緑地公園内にあります。

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DJ:具体的にはどのようなお仕事をされているのですか?

本多:一言でいうと、廃棄物管理に関する開発途上国支援となります。でも開発途上国における廃棄物問題というのは、法律を制定して実施するだけとか、日本の廃棄物処理技術を現地持って行って実施する、とか単純ではありません。もちろんこれらも重要な事項の一つですが、人間とは何なのか?人の暮らしを豊かにするためにはどうするべきなのか?例えば、2025年大阪・関西万博のテーマ、「いのち輝く未来社会」の「いのち輝く」とはどういう意味なのか、と言う哲学的な要素も重要になってくる、答えのない仕事をしています。

DJ:答えのない仕事なんですか。

本多:自分たちが進んだ先が答えになる、というのが正確な言い方かもしれません。ではここから少し具体的に説明しましょう。開発途上国における廃棄物の現状は、悲惨なものです。その辺の河川や環境中に捨てる、集めて管理されていない処分場に捨てる、プラスチックごみはそこら中にあるといった感じです。日本と開発途上国の現状はかなり違います。日本はごみ処理は世界の最先端を行っていますが、世界標準からすると、進みすぎていると言ったほうがよいでしょう。

DJ:進みすぎ?私は普通に分別していますが。

本多:日本人は分別するのが当たり前ですが、開発途上国は分別する習慣はありません。そもそもちゃんとした処分場がないので、その辺にポイ。とりあえず集めて郊外の処分場にポイ、というのが当たり前なんです。ラジオですみませんが、これがその現場の写真です。アフリカケニアの首都ナイロビ近郊の処分場です。

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DJ:これが現状なんですか?(写真をみて何か感想いただければ幸いです)。ポイ捨てが当たり前の世界。

本多:そうなんです、でもこれが唯一の方法なんです。地球丸ごと一個で考えると、私たちは1時間当たり大阪ドームの約1/6個分のごみを排出しています。つまり1日で大阪ドーム4個分のごみ。一年では約20億トンのごみが世界中から排出されています。そのうち、ちゃんと処理されているのは、その半分。残り半分はこのような写真の、いわゆる不法時現場に捨てているのみ。この影響で、年間2兆円もの環境汚染を生じているともいわれています。

DJ:2兆円もですか!!

本多:お金でいえば2兆円で済みますが、一度汚染された地球環境や一度けがれた生物多様性は二度と戻ってきません。私たち人間は甚大な環境汚染を起こしながら日々生活しています。つまり、地球環境を犠牲にして社会的欲求を満たしてきたのです。もう一つ重要なことがあります。このような不法投棄現場にはプラスチックなどのたくさんの資源があります。それを回収するために、世界中では1000万人ぐらいの人たちが、この過酷な不法投棄現場から資源を回収しています。でも日々の収入は数百円程度。リサイクルのために仕事しているけど、彼らは貧困層の人たちです。

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DJ:開発途上国の現状はこうなんですね。知りませんでした。

本多:日本に住んでいる日本人にとっては知らなくて当たり前です。でも私のような仕事をしていると、関空から飛行機に数時間乗るだけで、そのような現場にたどり着きます。同じ2020年を生きていて、こうも現状が違うのか、と人生観を見直すぐらいの衝撃の世界、逆を言うと、いかに日本人は恵まれているか、ということを認識しいます。

DJ:私たちに何かできるのでしょうか?

本多:その私たちに何かできるのでしょうか?というのも、私たち国連職員の使命の一つです。開発途上国において廃棄物からの環境汚染をなくすこと、そしてこの1000万人もの人が幸せを感じる、豊かさを感じるサステナブルな社会を作り上げることです。

DJ:どのように作り上げることができるのですか?

本多:地球上には76億人もの人たちが住んでいます。多種多様な言語や生活習慣で日々生きていますが、一つだけ共通していることがあります。それは、すべての人が幸せになりたい、豊かな生活を手に入れたい、ということです。それには経済的や社会的、人間的に生きるために必要最低限の条件を満たす必要がありますが、究極的には、それぞれの人が持っている価値観の中で豊かさを感じることができる社会を築いていかなければなりません。たとえ過酷なごみ処分場の上でごみを拾う生活をしていたとしても、その仕事の意義を感じてもらい、そこから自分自身の問いと答えを見つけてもらうことが、一番重要なことなんです。法律整備や環境技術導入、最近はITやAI導入で社会を良くしていくという話しを聞きますが、それはあくまでも手段。持続可能な開発目標2030、いわゆるSDGsも手段の一つと考えた方が良いでしょう。人々が自らの手で生活習慣を変えない限り、例えば世界から貧困問題や地球環境問題はなくなりません。

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DJ:そうなんですね。日本に住んでいる私たちはどのように考えるべきでしょうか?

本多:例えば身近な例として。マイバック。今年の7月からプラスチック製レジ袋が有料化になりました。有料化だからマイバックを使う、のではなく、自分がマイバックを使うことで資源の無駄をなくし、地球環境に貢献しているという誇りを持ちましょう。地球環境を守るためにできること、身の回りにたくさんヒントがあります。国連機関が100個のことをするよりも、100人の人たちが毎日ひとつ環境にやさしいアクションをすることが重要です。皆さんが一日1個の環境にやさしい活動をする、大阪市の約270万人もの人たちが一日1個の環境にやさしい行動をする、世界の76億人の人たちが毎日1個の環境にやさしい行動をする、それを365日続けることが重要です。マイバックを持つと他のアクションもしてみたいと思いませんか?その気持ちをもって毎日生活しましょう。皆さんのそのアクションが地球を救います。

DJ:では本多さんが実際に実施しているプロジェクトは何かありますか?

本多:今年6月に新たなプロジェクト、UNEPサステナビリティアクションしました。これは、世界の地球規模環境問題解決に向けて最前線に立っているUNEPと、私たちの生活に一番近くにいて誰もが知っているユニクロのファーストリテイリング株式会社、セブンイレブンのセブン&アイホールディングス株式会社、EARTH MALL with Rakutenとの斬新な組み合わせで、私たちの暮らしを変えてサステナブルを目指そう、という活動を開始したところです。例えば、皆さん普段の生活で、セブンイレブンでお弁当買って、ユニクロで服を買って、楽天でオンラインショップを楽しんでいると思います。その普段の生活がすべて地球環境にやさしい、開発途上国支援につながっている、と考えたらどうでしょうか?大阪にいながら、実は皆さんのその普段のアクションが地球を救ってるかもしれません。その仕組みを皆さんとともに作っていきたいと思います。

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DJ:さて、そろそろお別れの時間となりますが、最後にリスナーの皆さんへ、何かメッセージをお願いします。

本多:気候変動問題や廃棄物問題などの地球環境問題を解決するためには、私たちの日々の暮らしの中のその心がけが重要です。自分はこの地球上に自然とともに生きている、たまにはスマホをおいて自然と直接触れてその楽しさを感じる、そこには生物や植物が命を輝かせて生きています。そこから肌で感じた楽しさ、そして命の輝きを忘れずに普段の生活を送ることによって、私たちの心も満たされるでしょう。それが地球環境問題解決につながる一歩となります。

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