“クトゥルフ神話TRPG”って何?!(キーパーの遊び方編)
こんにちえ。ほぼ元探索者の星野チエです。
今回は“クトゥルフ神話TRPG”において、キーパーとしての遊び方について簡単に解説していこうとおもいます。
キーパーは事前の準備があったり、セッション中にもやることが多くて大変とおもわれがちですが・・・私もそう思います。
ですが、プレイヤーとして何回かセッションの経験をして“クトゥルフ神話TRPG”の遊び方を理解すればなんとなくやってみたくなりますし、キーパー経験を重ねれば慣れてきて楽しかったりします。
では、そんなキーパーにはどんな役割があるのか、がんばって解説していきます!!!
1.キーパーとして参加するうえで必要なもの
プレイヤーとして参加する場合には以下のものが必要となります。
・ルールブック
・シナリオ
・ダイス
・筆記用具
用意するもの自体はプレイヤーとあまり変わりませんが、キーパーにはシナリオというものの準備が必要となってきます。
それから、キーパーはルールブックを常に手元に置いておくといいでしょう。キーパーはそのセッション中のあらゆる出来事を処理しなければならず、そうしたとき、すぐにルールブックを参照できるとセッションの進行がスムーズになります。
以上で挙げたものは必要最低限のものであり、もっと凝ったことがしたい!という人は小物やBGMを用意したりしますね。
2.シナリオを探そう
“クトゥルフ神話TRPG”で遊ぶためには、そのセッションそのセッションごとにシナリオを用意しなければなりません。
いままでの記事の中でシナリオについての言及をいくつかしてきましたが、改めて説明すると、どのような背景で事件が起こり、どのようにして探索者が巻き込まれ、どのような行動をすれば情報が得られるか、どのような情報があるか、どのようにすれば事件が解決するか・・・物語の背景や全体のあらすじや描写、探索者の技能などの行動によって得られる情報などが書かれた台本がシナリオです。キーパーはこのシナリオをもとにして司会となってセッションの進行をおこないます。
さて、そんなシナリオはどうすれば手に入るかというと、まずはルールブック自体にシナリオが4本収録されていますし、ほかにもサプリメント(ルールブックに対して追加要素を提案する本)にも収録されていたり、コミックマーケットなどでも同人誌としてシナリオ集が頒布されていたりします。
そして、インターネットが普及してバーチャルな存在である私のようなものがこうして言葉を発信できる便利な時代、当然のようにインターネット上にて無料で公開されているシナリオというのもごまんとあります。個人のサイトによって公開されているパターンも多いですが、「pixiv」や「クトゥルフ神話TRPGやろうず」に多くのシナリオが投稿されているので、ここらへんから探してみるのがおすすめです。
実際にキーパーをやらなくても、単純な読み物としておもしろいシナリオはたくさんあるので、軽い気持ちで読んじゃうのもいいかもしれませんね?
3.セッションをやる前にしておくこと
一緒に遊ぶ人や遊ぶためのスペースを確保する・・・というのはおいといて、プレイヤーと違ってキーパーはセッションをする前にやっておくべきこと、事前準備があります。
それはとてもシンプルなことですが、シナリオを用意して、そのシナリオをよく読んで理解することです。
セッション中、そのシナリオにおけるすべての事柄を知っているのはキーパーだけで、プレイヤーはキーパーの口から語られる描写や提案にを頼りに行動することしかできないので、キーパーがシナリオに対しての理解が不十分だとセッションが滞ってしまいます。バスガイドさんが迷子になってしまったら後ろをついていくツアー参加者もどうしようもなくなって立ち往生するしかなくなってしまうみたいな感じです。
それから、これもまた凝ったことがしたいキーパーは紙として渡したい資料の印刷や、シーンにあったBGMのセットリストを用意しておくなどの準備をしたりしますが、やはり必須ではないです。あるといい感じにはなります。
4.セッション中にやること
・シナリオの概要をプレイヤーに事前説明する
物語の真相まで語る必要はありませんが、そのシナリオがどういう雰囲気のシナリオかをあらかじめプレイヤーに伝えておくことで、それが探索者の創造のヒントになったり、プレイヤー側のシナリオに対する心構えを整えることができます。
(例1)
舞台は現代日本のA県。友人同士である探索者たちは共通の友人であるNPCの星野チエから頼み事があると言われ、とある喫茶店に集まるところから始まる。
このシナリオでは街中を歩き回って情報収集をする機会が多く、また戦闘が発生する可能性が高い。
と、このように事前説明をすれば「A県に住んでいる、あるいは縁がある」「探索者同士は友人」「さらに星野チエという友人がいる」「<運転>のような屋外で使うような技能や戦闘系の技能が役に立ちそう」ということがプレイヤーは理解し、これらの要素をもとにして創造された探索者を用意してくれます。こうした要素を持った探索者の存在はセッションの進行を円滑にしてくれます。
・描写する、NPCを演じる
シナリオに書かれたシーンを描写したりNPCを演じたりすることによってプレイヤーの行動を促し、そうして進行していくのが基本です。
(例2)
キーパー「そこは薄汚れた六畳間。探索者たちが入ってきたドアから見て、中心には万年床とおもわしき黄ばんだ布団、奥にはベランダ、左側の壁には大量の技術書やこの部屋の主が書いたとおもわれる研究資料が挟まれたファイルがぎちぎちに詰め込まれた本棚、右側の壁には空になったコーヒー缶のゴミが山のように積んであるデスクがあります。さて、探索者たちはどのように行動しますか」
・プレイヤーの提案に対してリアクションする
前項のようにキーパーがおこなった描写を手がかりに、プレイヤーたちは探索をはじめます。そうしたときプレイヤーたちは「これをしたい」と宣言するので、キーパーはそれに対して有効かどうか判断してプレイヤーに伝えてあげます。
(例3)
プレイヤー1「本棚のファイルから最近の研究について知りたいです」
キーパー「いいですよ。最も日付が新しい資料は2019年10月20日のもので、A4サイズ3枚分のレポートですが、医学的な用語が多く見受けられます。<医学>に成功すればしっかりと理解できそうです」
プレイヤー1「<医学>に成功しました」
キーパー「あなたの探索者はそのレポートに書いてある内容が理解できました。それでは情報を出しますね───」
キーパーがおこなった描写に対して、プレイヤーが行動申請というリアクションをし、キーパーもまたリアクション、それに対してまたプレイヤーがリアクション・・・といった連鎖によってセッションは進行していきます。
(例4)
プレイヤー2「世界を一瞬で滅ぼす最強の呪文をいますぐ唱えて世界を一瞬で滅ぼしたいです」
キーパー「あなたの探索者はそのような呪文を習得していないのでできません。プレイヤー1さんの探索者がレポートを読んでいる横で妙ちきりんな口上とジェスチャーをする奇人になってしまいますよ」
例4は極端すぎますが、このように無理なものは無理、できないことはできないとしっかりとプレイヤーに教えてあげるのも重要です。こうした否定をおこなうときでも厳しく言わず、ユーモアを持って柔らかく対応するとイケてるキーパー感がでます。
・アドリブで対応する
「プレイヤーはシナリオの全容を知らない」ことから前項の例4ほどではなくとも、シナリオやキーパーの想定を外れた「シナリオには書かれていないが探索者ができてしまいそうなこと」をプレイヤーが提案するというのはセッション中によく起こります。というか起こらないことがないです。
こうしたことが起きた場合、キーパーはアドリブによる判断でセッションが破綻しないように落としどころを提示しなければなりません。おそらくキーパーをするうえで最も難しい技術ですが・・・これも慣れてくることで自然に処理できます。
慣れないうちは「すみません。それをされてしまうと困っちゃいます」とその行動をされるとどうしようもなくなってしまうという旨を伝えたり、「その提案を受け入れたいけど、処理がおもいつかないので一緒に考えてくれませんか?」とプレイヤーの知恵も借りたいという旨を伝えたり、自分ひとりですべてやろうとせず「キーパーが困ってることをぶっちゃける」といいでしょう。プレイヤーの多くもキーパーを困らせてつまらないセッションになることを望んでいないので協力してくれるはずです。
4.セッションの終わりにやること
探索者が生還しているならば正気度ポイントの回復などのボーナスを与えたり、シナリオの全容に関するネタバレをおこなったりします。「探索者があのときこんなことしてたらどうなったの?」といったプレイヤーからの疑問に対して答えたり、一緒になって考えてみたりするこの時間が意外とおもしろかったりします。
5.最後に
毎度のことながら簡単ではありましたが、以上が「キーパーってこういう感じに遊ぶよ!」という解説でした。
今回の解説ではキーパーのやることを最低限、簡単にまとめたものなので「キーパーってやっぱり難しいじゃん!!!」とおもわれてしまうかもしれません。
最初に言ったとおり、私もそうおもっています。プレイヤーと違って基本的にキーパーをやる人はセッション中は自分ひとりで、その自分ひとり判断でセッションの雰囲気は大きく変わってしまうから責任は重大そうに感じてしまいます。
しかし、「この素晴らしいシナリオをプレイヤーに楽しんでほしい!」「思い通りの演出ができ!」「プレイヤーに楽しんでもらった!」「アドリブは難しいけど、こなせたときの爽快感がたまらない!」といったプレイヤー側では得られないようなキーパー独自の楽しみというのも確かにあります。
また、プレイヤーもキーパーとおなじく“クトゥルフ神話TRPG”を楽しみたいとおもって参加している仲間であって敵ではないので、自分ひとりでは処理できないことはプレイヤーにも相談してしまってもいいのです。
なので、キーパーをやることを恐れず、試しにキーパーとして遊んでみてほしいです。
なんかちょいといい感じのことを言ってまとめられました感が出たのでこの辺で今回の記事をしめたいと思います。
また次回の記事もよろしくお願いします!!!