“クトゥルフ神話TRPG”って何?!(探索者の創造編)
こんにちえ。ほぼ元探索者の星野チエです。
前回は“クトゥルフ神話TRPG”の全体に関するざっくりとした説明をしました。
第2回目の記事にしてどこから説明しようか迷った結果、「オリジナルキャラクターを作るのっておもしろいですよね」ということで、今回は「探索者の創造」、いわゆるキャラメイクについて、これまたやっぱりざっくりと説明していきます。
“クトゥルフ神話TRPG”でプレイヤーが演じて動かすキャラクター、探索者を作るためにはまず「探索者シート」という、その探索者の名前などのパーソナルデータやパラメーターを書き込むための紙が必要なのですが、これはルールブックなどに載っているものをコピーして使うのが一般的です。
しかし、このマガジンはいままで“クトゥルフ神話TRPG”をまったく知らなかった人に向けたものなので、この記事を読んでる人の中でまだルールブックなどを手に入れていない、探索者シートが手元にない人もいるでしょう。そんな人は、ちゃんとした探索者シートではありませんが以下のサイトさまを並べて本記事を読めばちょいとわかりやすくなるかもしれません。
・キャラクター保管所 さま
・クトゥルフWEBダイス さま
また、探索者の創造に必要となる詳しいデータなどは残念ながらこの場に載せることができないので、そのあたりはご了承ください・・・。
そして、こちらの記事にて解説を交えながら実際に探索者を創造しているので、参考にしてみるのもいいかもしれませんね。
1.探索者シート
まず、キャラクター保管所さまを開いていただくと、さまざまな項目がでてきて、さっそく難しそうな雰囲気を漂わせていますが、一度覚えてしまえば簡単なので安心してください。
今回の説明で触れていくのは、
・能力値
・技能
・パーソナルデータ
だけです。こうしてみるとなんかできそうな気がしてきませんか?
2.ダイスの振り方
本格的な探索者の創造の説明をする前に覚えておいていただきたいのがダイスの振り方で、“クトゥルフ神話TRPG”ではあらゆる場面においてダイスの出目によって結果を出すことが多く、その度に「◯D△」という指示が出されます。
これは「△面ダイスを◯回振る」という意味で、たとえば「3D6」であれば「6面ダイスを3回振る」、「1D100」であれば「100面ダイスを1回振る」といった具合になります。
これらは今回の説明にも関わってきますし、なによりこのゲームを遊ぶ上で必要な知識なので、覚えておきましょう!!!
3.能力値
探索者の創造をするうえで最初にやらねばならないのが、能力値の決定です。
能力値とは、その探索者の身体的能力や知的能力を数値化したもので、「この探索者は頭がいい」「この探索者は背が高くて力が強い」、といったことを決定します(ポケモンでいえば「こうげき」とか「すばやさ」みたいな感じですね)。
前章でれたように、この能力値はダイスを振って決定します。
**●3D6 **最低3、最高18、期待値10.5
・STR
・CON
・POW
・DEX
・APP
●2D6+6最低8、最高18、期待値13
・SIZ
・INT
●3D6+3最低6、最高21、期待値13.5
・EDU
当然ですが、これらの数値は高ければ高いほど優秀となりますが、最高値を出せるまで振り直しができるというわけではなく、(ローカルルールによりますが)基本的には1発勝負となります。
以下より能力のざっくりした説明をします。
●STR
Strength、筋力に関する能力です。
その探索者がどれだけ力強いかを決定し、この数値が高ければ高いほど重いものを持ち上げたりできますし、低ければ低いほど非力で力仕事が苦手ということになります。
●CON
Constitution、体力に関する能力です。
その探索者の身体がどれだけ丈夫かを決定し、この数値が高ければ高いほど健康的で活気のある身体ということになりますし、低ければ低いほど不健康で病弱ということになります。
●POW
Power、精神力に関する能力です。
その探索者の精神力がどれほど強いかを決定し、この数値が高ければ高いほど精神的に安定してることになりますし、低ければ低いほど逆に不安定ということになります。
●DEX
Dexterity、敏捷性に関する能力です。
その探索者がどれほど素早くて手先が器用かを決定し、この数値は高ければ高いほど足が速かったり精密な作業が得意だったりしますし、低ければ低いほど鈍足で不器用ということになります。
●APP
Appearance、外見に関する能力です。
その探索者の容貌を決定し、この数値が高ければ高いほど美しく、低ければ低いほど醜いということになります。
●SIZ
SIZE、体格に関する能力です。
その探索者の身長や体重を決定し、この数値が高ければ高いほど背が高かったり体重が重かったりしますし、低ければ低いほど背が低かったり体重が軽かったりします。
●INT
Intelligence、知性に関する能力です。
その探索者の頭の回転を決定し、この数値が高ければ高いほど細かいことをよく覚えていたりしますし、低ければ低いほど考えなしで行動しがちだったりします。
●EDU
Education、教育に関する能力です。
その探索者が身につけた教養を決定し、この数値が高ければ高いほど時事に関する知識に強かったりしますし、低ければ低いほどものを知らなかったりします。
以上が基本的な探索者の能力ですが、これらの能力をもとにした副次的な能力もありますので、また以下より説明します。
●耐久力 (CONとSIZの端数切り上げ平均値)
いわゆるヒットポイントで、なんらかの要因(高所からの落下、神話生物からの攻撃など)によってこの数値が0になってしまった場合、その探索者は死を迎えて2度と使用できなくなります。
●マジック・ポイント (POWと同値)
ごく普通の社会生活を送っている探索者たちは最初から呪文を使えるわけではないのですが、探索の最中に呪文を使ったり、あるいは敵によって呪術的な攻撃を受けたりすることで、このマジック・ポイントは消費されます。
耐久力と違ってこの数値は0になっても気絶程度で済みます。
●ダメージ・ボーナス (STRとSIZの合計)
たとえば、同じ「パンチする」という行為でもひょろひょろガリガリな人とムキムキマッチョな人では威力が違ったりする・・・というのを表したのがこのダメージ・ボーナスです。前者であればパンチの威力にマイナス補正がかかりますし、後者であればプラス補正がつきます。
また、ルールブックに「STRとSIZの合計が32の場合はこれくらいの補正がつくよ〜〜〜」というのを示した「ダメージ・ボーナス表」なるものがありますが、ここにそのまま載せるのもアレなので、ルールブックを参照してください・・・!!!
●年収 (1D10)
その探索者がどれほど裕福かを決めます。これもダメージ・ボーナスと同じくルールブックに1D10に対応した年収の表があります。
4.探索者の職業
古今東西、さまざまなゲームにおいてキャラクターにはジョブというものが設定できますが、この“クトゥルフ神話TRPG”でも同じように「職業」というものを設定します。
ルールブックには職業のサンプルとして警官、探偵、医師にミュージシャンとさまざまな職業が記載されており、この中からどれかひとつを選びます。選び方としては前章で触れた能力値や年収を参照して適したものを選ぶというのがルールブックからのおすすめですが、私としてはその探索者に与えるバックグラウンドの設定によって選んでしまってもいいとおもいます。
職業はその探索者がどのような人物でどのように神話的事件に巻き込まれるかを決める要素でもあり、次章にて説明する「技能」にも大きく関わってきます。
5.技能
<目星>、<聞き耳>、<図書館>と山括弧を用いて表記されたこれらの技能は、いわばその探索者が使える技のようなもので、ゲーム中はこの技能を多用して情報収集や戦闘、治療などをおこなって攻略していきます。
たとえば・・・
ビンに詰められた異臭を放つ液体が有毒か調べたい。<化学>に成功した。それが有毒であるとわかり、すぐにフタを閉めた。
屋敷の周りにつけられた足跡はなんの動物か調べたい。<生物>に成功した。カニに近い足跡だが、それにしても大きすぎる。探索者の知識のなかにこのような足跡を残すカニは存在しない。これは新種か、あるいは・・・。
といった具合に知りたいことや、したいことに対応した技能を使うことで情報を得たり、上手に行動することができます。
●技能の使い方
技能を使用する場合、プレイヤーはキーパーに技能の使用を申請し、許可された場合は1D100をおこない、出目がその技能の成功値を下回ったら成功となり、キーパーは処理をおこないます。
例1
探索者・星野チエはビンに詰められた異臭を放つ液体が有毒か、自分の化学的見地から調べるために成功値1%の<化学>をおこなったが、1D100の結果は78で失敗。星野チエはその液体の正体に気づかない。
例2
探索者・星野チエは2m以上あるフェンスを乗り越えるために成功値40%の<登攀>をおこない、1D100の結果が23だったため、苦もなくフェンスを乗り越えることに成功した。
●技能を決める
探索者シートに記載されている技能にはすべて「どのような人間であれ、最低でもこの程度の知識や技術力はある」として、<目星>であれば25%、<経理>であれば10%と、あらかじめ初期値が設定されていて、これらはどの探索者でも使用することができます。
しかし、初期値は1%や5%程度のものが多く、最も成功値が高い<こぶし>ですら50%がいいとこであり、どれも成功しづらくなっています。
そこで、探索者の創造では「その探索者がどのようなことができる人物か」を決めるために技能の成功値を伸ばすことができます。
ただし、技能の成功値は99%が限界となっており、1D100の結果が100だった場合はいかなる場合でも失敗となります。
●職業に対応した技能
探索者は選択した職業に対応した技能(ルールブックに記載されている)の成功値を伸ばすことができます。これらは「その職業の者ならば身につけていてもおかしくはない技能」であり、プレイヤーは探索者のEDU×20ポイント分をこれらの技能の初期値に対して加算することができます。
●個人的な興味の技能
探索者たちの人生はなにも職業のためだけに生きていたわけではなく、個人的な興味、趣味によって身につけた知識や技術を持っているはずです。これらを反映するためにINT×10ポイントを分を好きな技能(<クトゥルフ神話>を除く)の初期値に対して自由に加算することができます。
これらの技能というものは、プレイヤーが探索者を創造するうえで自由に設定できるパラメーターであり、探索者の彩りともなるものです。「効率的な攻略を視野に入れた技能の選択」、「その探索者のキャラクターを視野に入れた技能の選択」、など自分なりに楽しんでポイントを割り振ってしまいましょう!!!
●能力値によって決定される技能
その探索者の能力値によって決定されるのが、<アイデア>、<幸運>、<知識>です。それぞれINT、POW、EDUに対応しており、これらの能力値を5倍したものがそのまま技能の成功値となります。またこれらの技能に対して個人的な興味の技能などのポイントを割り振ることはできません。
●正気度ポイント
技能ではありませんが、前項のように能力値によって決定されるのが、その探索者が現在どれほどの正気を保持しているかを表す「正気度ポイント」です。これはPOW×5で初期値が決定されます。
わざわざ初期値と書いたのには理由があり、この正気度ポイントは探索中に神話的生物との邂逅や友人の死など、正気を失わせるような出来事と探索者が対面したとき減少していくからです。
これは“クトゥルフ神話TRPG”というゲームにおいて重要な要素であり、おもしろさともいえます。これについてはまた別の機会に詳しく説明しますね。
6.パーソナルデータ
能力値と技能値を設定してしまえば、探索者の創造は9割くらいは終わったようなものですが、やはりオリジナルのキャラクターを作るならば名前や生い立ちなどの設定は欠かせませんよね。
その探索者はどんな名前で、どこで生まれて、どんな学校に通って、どのような職について、どんな性格で、どんな趣味を持っているのか・・・詳しくする必要はありませんが、その探索者はプレイヤーが演じて動かすキャラクターです。設定があらかじめ固まっているほうが探索者をプレイしやすく、また、その探索者に対する愛着もわいてくるはずです。
7.最後に
探索者の創造の説明は以上です。最初のうちは数字がいっぱいで大変とおもわれるかもしれませんが、慣れてしまえば数分程度で作れるようになり、そうなってくると新しい探索者が作るのが楽しくなってきたりします!!!
私ももとはこのように作られたのだなぁとおもうと、感慨深いやら気恥ずかしいやら、複雑な気分です。私を作った人に対して、この世に生んでくれたことには感謝しますが、あからさまに悪意のあるネーミングをしたのはいかがなものかとおもっています。私はもうこの名前で生きてきてしまったのでなんとも言えませんが、正義の探索者につける名前じゃなかったでしょう・・・。
またしても長くなってしまいましたが、今回はこの辺で。まだ“クトゥルフ神話TRPG”で遊ぶ予定がないという人でも、とりあえずオリキャラ作りとして、本記事を参考に探索者の創造をしてみてはいかがでしょうか。
それではまた次回もよろしくおねがいします!!!
8.今回出てきた用語まとめ
●探索者シート
自分が使う探索者の能力値や技能成功値、パーソナリティなどを書き込む、探索者の履歴書的なもの。
●◯D△
「△面ダイスを◯回振る」を短縮した指示。3D6ならば6面ダイスを3回振る、1D100なら100面ダイスを1回振る。
●能力値
どれだけ力持ちでどれだけ頭がいいかなど、探索者の身体的な能力や知的能力を数値化したもの。
●職業
探索者の職業。職業に対応している技能は職業によって変わってくる。
●技能
探索者が使える技で、これを駆使して情報を収集したり戦闘したりする。1D100で判定する。