“クトゥルフ神話TRPG”って何?!(プレイヤーの遊び方編)

こんにちえ。ほぼ元探索者の星野チエです。

このマガジンではいままで、“クトゥルフ神話TRPG”とはなにか、探索者の創造、おすすめのリプレイ動画について解説してきましたが、今回からはいよいよ、実際にどうやってプレイをしていくかについて解説をしていこうとおもいます。

以前の記事にて、“クトゥルフ神話TRPG”を遊ぶうえで必要な参加者としてキーパーとプレイヤーの2種類の役がある紹介しましたが、それぞれでやることが違い、とくにキーパーは覚えることもやることも多いので、この記事ではまずプレイヤーとしての遊び方について解説していきます。

かなり言うのが遅くなった感は否めないですが、当マガジンでは実際に集まって遊ぶオフラインセッション(逆にインターネットを用いて画面の向こうの人と遊ぶことをオンラインセッションと言ったりします)を想定して解説しています。

1.プレイヤーとして参加するうえで必要なもの

プレイヤーとして参加する場合には以下のものが必要となります。

・ルールブック
・筆記用具
・ダイス
・探索者シート

あれだけ分厚くて複雑な事柄がたくさん書かれているルールブックの内容をすべて頭の中に記憶しておくことはできませんし、セッション中には「あれ、ここのルールってどうなってたっけ?」となるシーンが多いため、セッション会場に最低でも1冊はあったほうがいいですし、参加者全員が持っているとなおのことよかったりします。

また、“クトゥルフ神話TRPG”という遊びは1回のセッションで何時間もかかったりと長丁場になりやすいので、必要に応じてごはんやお菓子、飲み物などがあったりするといいかもそれませんね。


2.探索者の創造

会場に全員集まり、キーパーから「今回はこんな感じのシナリオだから、こういう探索者だといいかも」という説明を受けたうえで、ほかのプレイヤーと話し合いながら探索者の創造をやっていくといいかもしれません。

というのも、シナリオにもよりますが「探索者同士はあらかじめ知り合いだといいかも」とか「こういう技能があると見せ場があるかも」といった、導入をスムーズにしたりシナリオを楽しむための事前の情報があったりするので、これらに合わせて探索者を創造すればスムーズかつ楽しいセッションができるからです。

探索者の創造ができたら、ほかの参加者たちに探索者を紹介しましょう。自分の探索者はこんな名前で、こんな能力値で、こんな技能が使えて、こんな生い立ちがある、こんな性格の探索者ですとあらかじめ認知しておいてもらうことで、ほかの参加者も「この探索者はこういう人だから、こんな雰囲気で関わっていこうかな」と実際のロールプレイのイメージを持ってもらいやすくなります。

プレイヤーがセッション前にすべき主な準備は探索者の創造くらいなので、これさえ終えてしまえばすぐにセッションがはじめられます。


3.シナリオの流れ

これも、シナリオやキーパーによってそれぞれではありますが、シナリオのおおまかな流れとしては以下となります。

導入

探索→情報整理→推理

ラストシーン

エンディング

だいたいのシナリオはこのようなフローチャートを基盤として成立してる場合がほとんどです。

シナリオを知っているキーパー側からは明確にこの区切りがわかる一方で、プレイヤー側にはよくわかりませんが、わかっていなくても問題はありませんし、何回かやって慣れていくうちに「そろそろ終盤だからどういう風に解決するか考えておかなきゃ」みたいに感づけるようになったりもします。


4.導入

みなさんと同じように平和で社会的な生活をしている探索者が、どのようにして神話的事件に巻き込まれていくのかを描くのが「導入」です。

これは探索者が非日常へと踏み込むきっかけであり、同時にそのシナリオにおける探索者の目標が提示されたりします。

簡易的ですが、たとえば、

(例1)
穏やかな日曜日の朝、今日は家でごろごろして終日過ごすと決め込んでいた探索者のもとに、ただ事ではない様子の友人A子が訪れる。
友人A子は「私の友人であるB郎と連絡が取れない。昨日の夜8時までC公園で一緒におしゃべりをして別れたとこまで確認できてる。不安だから一緒に行方を探してほしい」と探索者に頼み込み、探索者はそれを了承し、B郎の行方を探すこととなる。

といった感じのやりとりが導入でおこなわれます。

例1の場合、このシナリオにおける探索者の目標は「B郎を探すこと」となり、それを果たすべく「探索」をしていくことになります。


5.探索

“クトゥルフ神話TRPG”でよく言われる「探索」とはおもに情報収集のことを指したりします。

導入で得られるわずかな情報をもとに、新しい情報を入手し、さらに次の情報を求めて行動する・・・というのが探索の基本です。

(例2)
プレイヤー「私の探索者はB郎の姿を最後に確認できたというC公園に向かいます」

このように行動宣言をしてキーパーの許可がおりたら実際に行動したという処理がおこなわれます。

(例3)
キーパー「C公演はブランコや鉄棒、砂場、お手洗いがあるくらいのなんの変哲もない小さな公園です。公園に着くと思い出したかのようにA子は『昨夜のB郎は具合が悪そうで何度もお手洗いにいってたのが印象的だった』と言います」

場所を移動すればキーパーがその場所の風景描写などをおこなうので、これをもとにまた行動をおこなっていきます。

(例4)
プレイヤー「お手洗いが怪しそうなので見てみます。<目星>で変わった様子があったか調べたいです」

探索という行動には技能がつきものだったりします。これはプレイヤーから宣言して使うこともできますし、キーパー側から提案して使う場合もあります。例4では普段注意しなければ気づかないような視覚情報に気づくことができるかもしれない<目星>という技能を使っています。

(例5)
キーパー「<目星>に成功すると、個室トイレの中のトイレットペーパーの備蓄にB郎の財布が埋もれてたことに気づきます。またこれが意図的ではなく、落としてしまった結果そこにあるということもわかっていいでしょう」
キーパー「B郎の財布の中身はわずかな現金やカード類が主ですが、とくに目を引くのは電話番号つきで『星の智慧派東京教会 D山』と書かれた1枚の名刺です。この財布のなかにある名刺はこれだけだったので探索者は気になりました」

技能に成功すれば、新しい情報を手に入れることができます。例5でいえば<目星>で注意深くトイレを確認した結果、B郎の財布を見つけたうえに怪しい名刺まで見つけることができました。探索者は今回得た情報から次は名刺に記載された電話番号に連絡する、星の智慧派という団体について調べる、など次の行動に繋げることができます。

ただ、得られる情報のすべてが次の情報を得るための手がかりになるわけではなく、それはシナリオの背景を描くフレーバーだったり、そのときは意味をなさなくともほかの情報と統合することで後々の判断に影響するものだったりします。

なので、出てきた情報はなるべくこまめにメモと確認をし、整理しておくといいでしょう。


6.ラストシーン

どのようなシナリオであれ、事件の解決をする瞬間、ラストシーンというものが訪れます。

事件の解決方法、これもまたシナリオによってそれぞれで、たとえば諸悪の根源を戦闘で打倒する、神話生物を退散させる、閉じ込められた閉所から逃げ出す、なんらかの選択をする・・・などなどが挙げられます。

これらのラストシーンにおいても探索によって収集してきた情報が活きてくる場面が多いです(というか情報収集をしないとここに行き着けませんしね・・・)。

戦闘での解決なら対象の弱点、神話生物の退散であれば呪文などによる方法、閉所からの脱出であれば抜け穴の場所、なんらかの選択であれば正しい選択を選ぶための根拠・・・などの情報を得たうえでラストシーンに挑むことで、導入における目標や探索者の生還を達成する確率が高くなります。

ラストシーンを乗り越え、探索者が生還すれば減ってしまった正気度を回復できたり、金銭が得られたり、技能の成功率が向上したりとボーナスが得られ、その探索者をまた別のシナリオで使うことができます。

7.最後に

簡単ではありましたが、プレイヤーとしての“クトゥルフ神話TRPG”の遊び方の解説でした。

とにかく、「探索者を創造する、情報を集める、集めた情報で事件を解決する!!!」というのがプレイヤーのやることなので、こうしてみるとわりとできちゃいそうな気がしてきますよね(当然、覚えなきゃいけないルールはたくさんたりますが・・・)。

今回はこのあたりで終わろうとおもいますが、次章にて本題からすこし派生したりしなかったりする余談を書いておきますので、お暇があれば是非目を通してもらえたらなと。

では、また次回もよろしくおねがいします!!!


8.余談

●セッションを楽しむコツ
世間一般的にTRPGには上手い下手はないと言われたりしますが、頭がいい人、ルールを熟知してる人、面白いことが言える人・・・これらはたしかに優れた人たちだとおもいますが、私個人が考えるTRPGが上手い人とは「空気が読める人」です。

楽しむことはとっても重要なことですが、自分の楽しさばかりを優先させたりせず、ほかの参加者の楽しみを許容し、出るとこは出る、譲るとこは譲るができる人は、人と人の対話によって物語を紡ぐこの遊びにおいて重要だとおもいますし、こうしたお互いのすこしずつの譲り合いがあってこそ、セッション自体の楽しさがぐっと際立つのではないでしょうか。


●役に立つ技能
シナリオごとによって活躍する技能は変わってきますが、多くのシナリオにおいて使いどころがある、汎用性の高い技能というのはたしかにあったりします。

たとえば、視覚的な違和感に気づける<目星>、聴覚的な違和感に気づける<聞き耳>、書籍関係からインターネットの調査までできる<図書館>、ほかの探索者の発狂状態を解除したり興奮気味のNPC(キーパーが動かすキャラクター)を落ち着かせる<精神分析>、専門的な知識からの検分や探索者の耐久力を回復ができる<医学>・・・などは汎用性が高いように感じています。

ただ汎用性が高いという理由で、創造する探索者、創造する探索者すべてがこれらに特化したものだとどれも同じの一辺倒になってしまうのが悩みどころですね・・・。

ちなみに私のおすすめ技能は<武道:立ち技系>と<キック>です。私もこれでにっくき神話生物たちをけちょんけちょんにしてやったもんです。


●汎用性のある探索場所
「Aという場所を訪れたら、Bという場所が怪しいという情報が出たからBにいく」といった具合に、提示された場所に行って探索していくのが基本ですが、こうした提示された場所以外からも情報が得られることが多々あるので、その一例を紹介していきます。端的にいえば「困ったらとりあえずここにいく!!!」です。

・図書館
技能にも<図書館>があるくらい、図書館という場所は情報の宝庫だったりします。未解決事件を報じた過去の新聞記事から地方伝承が綴られた古書物、あるいは神話的知識が記された魔導書そのものがあったりなかったり・・・気になる文字ベースの情報が手に入る場所としてはメジャーです。

・インターネット
場所ではありませんし、現代に限定されてしまいますがインターネットも探索の対象として優秀だったりします。本ほど詳しい情報は得られませんが、SNSでの噂などによってリアルタイムな情報が得られたりする可能性があります。

・警察署
失踪事件や殺人事件関係ならば警察もそれらを認知している場合があります。彼らはいつどこでどのようなことが起きたかを知っていますし、探索者の行動次第ではそれらの情報をこっそりと教えてくれるかもしれません。

ただ、警察は頭数と力を持っているものの、大体の場合は神話的事件への対応は鈍く、探索者が通報したとしても「デタラメはよすんだ」とたしなめられてしまう可能性が高く、彼らが事件を解決してくれることも協力してくれることもまずありませんし、むしろ探索において不法侵入など法を犯さざるを得ない状況におかれる探索者にとっては厄介存在だったりも・・・。




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