【小説】彼女の色に届くまで
著者:似鳥 鶏
出版社:KADOKAWA
発売日:2020/2/21
文庫 : 352ページ
画廊の息子で幼い頃から画家を目指している緑川礼こと主人公の礼は
幼いころこそ才能がある!ともてはやされていたが学年が上がり高校生になるころには美術展の公募にも落選続き、画家としても一歩も踏み出せず友人も筋肉マニアの1人のみ。
冴えない学園生活を送っていた緑川は、学校の絵画破壊事件の犯人にされそうになる。
その窮地を救ってくれたのが、無口で謎めいた同学年の美少女、千坂桜だった。
ひょんなことから接点が生まれる2人の青春アートミステリー。
紆余曲折あって2人は高校、大学、社会人といっしょにすごすことになるのだがその度に絵画にまつわる事件に巻き込まれ、
その度に解決をしていく千坂。
そして生まれる違和感。事件に隠された真相とは…。
ざっくりネタバレなしで語るとそんな感じの作品でした。
正直に言いましょう。
最終章に入るまであんまり惹き込まれる感じはなかったです。
じゃあおもしろくなかったんか。と思われたかもしれませんが違います。
すべてのおもしろさは最終章にあると言っても過言ではない。
私はそう感じました。
最終章を読むと今までの話、1~4章の物語と事件がすべての種まきだったことがわかります。
4章まで読んできてすごく全体的に違和感というかすっきりしない感があって、でもこの違和感にずっと気づけないまま最終章に突入するのです。
そして読み進めていくと私自身の違和感に主人公の緑川が気づかせて、1つ1つ違和感や謎を紐解いてくれるのです。これがすごい気持ちいい!
でもこれで終わりじゃなかった。
読んでいる私自身も、緑川も気づいてない最後の事実であり1番の真実。これもまたそうきたか…!という感じで。どんでん返しでしたね笑
読み終わってからだから言えるのですが4章まででなんともいえない違和感
とおもしろい!と言い切れないこのおもしろさを残していくのすごくないか…?とシンプルに感動してしまいました笑
最後の最後の真実にもしかすると複雑な気持ちが出てくる方も一部いるのではないかと思うところもありましたが「物語」として深く考えず納得する要素かなと私は思います。
ミステリーや謎解き、または青春という単語に期待してる人には物足りなさはあると思うが「青春アートミステリー」と言われるとしっくりくる。
そんな作品でした。
私が買ったのは電子ですが表紙がめちゃくちゃいいですよね。
綺麗。そしてタイトルの「彼女の色に届くまで」これもちゃんと
最終章まで読むと納得がいくタイトルとなっています。
「アート」とうたっているだけあってやはり専門的な言葉や有名作品等が出てくるのですが基本的に注釈で説明があるしストレスにはならないかなと思う。私自身芸術には疎いですが問題なく読めました。
あとはネタバレにならない程度に思ったことを書くと、価値やイメージのための「らしさ」が正しいのかどうか。大きいテーマではなかったと思うのですが少し考えさせられました。あとは純粋に天才がうらやましいな。と笑
最後にこれだけは言いたい。風戸くんは良いぞ。
この小説が気になる、読んでみたいと思った方へ
私個人として最初から最後まで疾走して読める作品かというとそうではないなというのが感想です。中だるみしたタイミングもありました。が
1~4章までが種まき、最終章からが本番だと思うのでどうか
覚えた違和感を忘れずに、ぜひ最終章まで読んでみてほしいです!
P.S.
4月から毎月最低1冊は活字の本を読む。を目標にしているので
のんびりですが自分の記録としてあげていきたいなと思ってます。
基本電子ですが活字の本はやはり紙で読みたいですよね
読みたい本は沢山あるのでペースあげられたらいいなと思いつつ
すでに5月ですが、5月は紙の本にしてみようかな
GW中に本屋さん巡りしにいこうと思います!では。