組織で仕事をするうえで何よりも考えないといけないことは、「みんな自分がいちばん合理的だ」と思っているということだ。

さすがに私は自分よりも年齢も経験も上の人は、こんなことは当たり前にわかっていると思っていたのだが、実はそうでもないようだ。

若い人の陥りがちな考えだとばかり思っていた。「自分の考えが、いちばん合理的で、いちばん正しい」と思うのは、悪い意味で若い考えだと思ってきた。

しかしここ5年くらいのあいだに、実はそんなことはないとわかった。むしろほとんどの人が、「自分がいちばん合理的だ」と思っている。

勝手に思っているぶんには問題ない。しかし、この考えは、端的に「ほかのやつらは自分よりアホだ」という考えと表裏一体である。「なんでこんなこともわからないのか」「ふつうはこう考えるはずなのにこんな判断をするのはおかしい」といった考えを生む。

しかし、実際には相手もほとんど自分と同じように合理的に考えているのだ。合理的に判断しているのである。みんな組織を良くしたいし、良くしようと思っている。業務改善もする気なのだ。

ただ、持っている情報が違うのだ。また、立場が違うのだ。見えているものが違う。だから、結論が異なる。それだけである。

したがって、合意に至るためには、お互いに情報を提供しあって、どこかで合意できる案を探るしかない。これは大変だが、そうしないとどこかで不具合が起こる。小さな不具合でも、それは不満を生む。

私はこんな状況を何度も何度も経験してきた。だから、すでにあるもの、検討されていまそうなっていることを変えるのには慎重になる。「いまこのようなシステムになっているのにも、なにか合理的な理由があったのだろう」とまず考える。

これは、他者に対するリスペクトの問題でもある。

仕事をしていると、ここのところでモヤモヤすることが多い。しかし、自分ができる範囲で、ゆっくり話をしていくしかない。相手がどんな理由で、なぜその案を出しているのかを考え、歩み寄りたい。

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